2026年1月23日金曜日

クスノキミバエ(Bactrocera hyalina)

 これもアオギリの落ち葉です。一見してミスジミバエ Bactrocera scutellata、しかし何か違うような、と思えば、和名の由来でもある胸部背面の3本線のうち中央の一本がありません。それに両側の線もかなり短小です。さらに脚の色も薄く、翅の前縁に沿って暗色になるはずの領域もほとんど色がついていません。しかしそれらの違いを除くとやはりお馴染みのミスジミバエによく似ています。
それでは同属別種か、と考えてネット情報を漁っているとこちらの報文が見つかりました。おとなり韓国で従来から知られていた Bactrocera 属2種と、同属で新たに確認された1種についてのレヴューです。従来からの2種はお馴染みのミスジミバエとカボチャミバエ B. depressa ですが、3種目の B. hyalina の標本写真を見ると胸背の縦線が両側の1対しかないことや翅の前縁の色が薄いことなど、今回撮影したものによく一致することが分かりました。それ以外の識別点を英語の記述から翻訳ツールを頼りに抜き出して見ると、上額眼縁剛毛(frontal setae )が2対のみ(ミスジやカボチャは3対)、小楯板端剛毛は1対のみ(ミスジやカボチャは2対)、翅には狭くてかすかな前縁帯(costal band)が辛うじて確認できる、とあります。他に、脚は後腿節(hind femur)が褐色である他はほぼ全体が淡黄色、と説明されていますが、添付された標本画像を見るとこれはおそらく後脛節(hind tibia)の誤りでしょう。以上の特徴は下の画像からも確認できるので、これは Bactrocera hyalina (ミバエ科・ミバエ亜科)として間違いないのではないかと思います。ネット上には日本語の情報がほとんど出てこないのですが、学名で検索していると、双翅目談話会会誌 「はなあぶ」No.56 (2023年11 月発行)の目次に「靱公園(大阪市西区)で見つかったクスノキミバエBactrocera hyalina」というタイトルがありました。本を見ていないので内容は分かりませんが、大阪でも確認されているようです。またこれでようやく和名を知ることが出来ました。
いつ頃のデータかよく分かりませんが、こちらによると本種は九州や中部・北陸から報告されているようです。またこちらの台湾の報文を見ると、台湾・タイ・中国でも記録があり、ホストとしてクスノキ科とモクレン科が挙げられています。

見つけた時高倍率レンズをつけていて、交換も面倒だったので画面一杯になってしまいました。前縁帯(翅の前縁に沿った帯状の着色部分)はごくかすかです。体長は約6mm。

上の写真からの一部拡大。小楯板端剛毛は1対のみです。





上額眼縁剛毛は2対です。

以下は比較のために、2024年1月の記事に使用したミスジミバエの画像から拡大したものです。

小楯板端剛毛は2対あります。

上額眼縁剛毛は3対です。

(2026.01.12・舞子墓園)


0 件のコメント:

コメントを投稿