2019年9月17日火曜日

オオカバフスジドロバチ(エントツドロバチ)

オオカバフスジドロバチ Orancistrocerus drewseni は最近ではエントツドロバチと呼ばれることが多いようですが、こういうものは最初に覚えた名前に愛着があるもので、特に間違いでなければ元の和名を使いたくなります。
そのオオカバフスジドロバチが、公園の東屋の木製の手摺の裏側に巣を造っていました。

ちょうどトレードマークの「煙突」を建設中で、10分おきくらいに泥玉を運んできます。泥玉と言っても材料はよく乾いた土で、それを自分の唾液で練って作るものです。(土を採集する様子はこちらに出しています。)

泥玉を持ち帰るとまず頭から巣に入り、その奥で向きを変えて頭を出し、建設中の煙突の縁を延ばす作業を始めます。

手摺は下の段までの間が50cmほどしかなく、真下から撮るにはファインダーは覗けないので、可動式モニタを起こして横から見ながらの撮影です。下から見ると手摺の材木の接続部に隙間があって、巣の本体はその中に作られているようです。


煙突の中で体をゆっくり回転させながら泥を塗りつけていきます。

だいぶ伸びてきました。

泥を搬入する瞬間を捕えたいのですがなかなかタイミングが合いません。1枚目の写真から約50分、作業はまだまだ続きそうでしたが足腰が痛くなってきて引き揚げました。
煙突が完成すると次はガの幼虫を狩って巣に搬入する仕事を始めるはずです。その様子は大昔のフィルムカメラ時代に一度撮ったきりなので、翌日の夕方再度現場を訪れて1時間ばかり見張っていましたがハチは姿を現さず、その次の日は雨で、それきりあきらめてしまいました。

(2019.08.25・明石公園)

2019年9月16日月曜日

モンクロシャチホコ若齢幼虫

サクラの葉の裏の、モンクロシャチホコ Phalera flavescens 幼虫の集団です。

集団を作るのは3齢までだそうですが、これは何齢でしょうか。

体長は8mmから9mmくらい。

シャチホコガ科にしては、割合普通の格好をした毛虫です。

葉面には足場の絹糸が張り巡らされています。


終齢幼虫はこちらに出しています。

(2019.09.03・明石公園)

2019年9月15日日曜日

イトダニ科の一種とアメイロアリ

土留めの丸太の上でオオハリアリの死骸に赤いダニ。

こちらと同じ、イトダニ科 Uropodidae の一種です。体長は約1.4mm。

しきりにアリの口器のあたりを探っているように見えます。

口器からアリの体液でも滲み出てくるんでしょうか。

やがて立ち去っていきました。

その後にアリが一匹。

アメイロアリ Paratrechina flavipes だと思います。体長約1.7mm。

(2019.08.25・明石公園)




2019年9月14日土曜日

チャタテ科 の一種(Anomaloblaste sp.)とムナボシヒメグモ

アカメガシワの幹に妙な姿勢のチャタテムシがいると思ったら、クモの獲物になっていました。

体長約2.6mmくらいの幼虫ですが、見事に太っています。クモは後ろ向きですが、ムナボシヒメグモの幼体と思われます。

これも同じ木です。こちらのムナボシヒメグモは3mm近くの体長があるので、おそらく成体でしょう。

こちらでも同じ組み合わせ。この場所は格好の狩場になっているようです。チャタテ幼虫の体長は約2.5mm、クモは約1mm。

すぐそばでは、同じチャタテムシの幼虫たちが何事もないように食事中です。

成虫もいました。翅端まで約3.2mm。こちらと同じ、チャタテ科 Amphigerontinae 亜科の Anomaloblaste 属の一種だと思います。

(2019.08.11・明石公園)


2019年9月13日金曜日

クロガネモチの実に産卵するニッポンオナガコバチ

初めて見た、ニッポンオナガコバチの産卵です。

いつも通っている公園のクロガネモチの赤い実からこのニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum (Ashmead, 1904) が出て来ることを知ったのは9年前の11月末のことです。それ以来毎年晩秋から初冬にかけて同じ木でこのハチの発生を確認していたのですが、産卵行動はまだ一度も見ることが出来ず、その時期も分かりませんでした。

これまでにもこのハチの産卵が見たくて度々足を運び、実が膨らみ始める8月から10月にかけては特に注意していたはずなのですが、見逃していたようです。

形も色も同属のモチノキタネオナガコバチ Macrodasyceras hirstum Kamijo によく似ていますが、産卵管がはるかに短いので簡単に見分けられます。

上と同じ個体です。

これも同じ。産卵管を抜き始めたところです。

これはまた別の個体。

これで産卵時期は分かりましたが、まだ疑問が残ります。このハチの♀は冬の間、各種の木の葉の裏や落ち葉の間で越冬している個体がたくさん見つかるのですが、それらの♀が夏を越して9月の産卵時期までどこかで待機しているというのは考えにくいことです。また今回産卵していた♀はどれも翅端まで2.5~3mmくらいで、これまでに撮影した越冬中の個体よりもひとまわり小型であることからも、新たな世代の♀なのではないかと推測されます。とすれば、これらの♀はどこで育ってきたのか、言い換えれば冬を越した♀たちはどこで産卵しているのでしょうか。
このニッポンオナガコバチはクロガネモチの他に、同じモチノキ属の数種の樹木の実に寄生することが知られていて、そよ風さんのブログではナナミノキBABAさんのブログではソヨゴハンマーさんのブログではウメモドキの実から、それぞれこのハチが羽化してくる場面が紹介されています。しかしいずれも11月初旬から中旬にかけての観察で、多少前後したとしても9月の産卵には間に合いません。
それと関連して、この産卵を見る1週間ほど前に同じ公園で、ニッポンオナガコバチと思われる♂を1匹撮影しています。

翅端まで3mmくらいで、サクラの葉の裏にいました。♀と違って産卵管が無いのでモチノキタネオナガコバチと見分けにくいのですが、そちらはひと回り大柄なので、これはニッポンオナガコバチとして間違いないと思います。とすれば、産卵していた♀たちと同じ世代でしょう。
このハチはこのあたりでは個体数の多い種で、特に越冬中の♀はいたるところで目にします。それらの♀たちが冬が明けてからどこへ産卵に行くのか、いつか突き止めたいものです。

(2019.09.11/♂の写真のみ09.03・明石公園)

ニッポンオナガコバチについては以前のブログでたくさん記事を書いているので、ここで主なものをリンクしておきます。


2019年9月12日木曜日

カマバチに寄生されたミドリグンバイウンカ・他

ミドリグンバイウンカの翅の下に、なにやら黒いものが。


カマバチに寄生されているようです。

幼虫嚢のせいで翅がちゃんと閉じていません。これでも飛べるのかな、と思っていると元気に飛んで逃げて行きました。

(2019.08.25・明石公園)

少し前にこんなものも見ていました。

ノブドウの葉の裏についていた、同じミドリグンバイウンカの幼虫の脱皮殻ですが、やはりカマバチの幼虫嚢らしきものを付けています。

終齢だったようですが、きれいな脱皮殻なので多分無事に羽化したんでしょう。

しかしカマバチの幼虫嚢も抜け殻です。寄主の脱皮に合わせて自分も脱皮し、引き続き同じ寄主にくっついているんでしょうか。記事の最初の成虫も、そんな風に幼虫の段階から寄生されていたのかも知れません。

(2019.08.09・明石公園)

次はさらに別の日に撮ったものです。

ムクノキの葉裏のアオバハゴロモ幼虫ですが、背中にはやはりものを付けています。

この幼虫も、お荷物をつけたまま無事に成虫になれるんでしょうか。

幼虫嚢の長さは約1.5mm。手前の茶色いのは、どこからか飛んできてくっついた草の種か何かです。

(2019.07.25・舞子墓園)

こんな風に、カマバチに寄生され幼虫嚢を背負わされたウンカ・ヨコバイ類は時々見かけるのですが、カマバチそのものは未だ見る機会がありません。いつかその産卵現場を撮ってみたいものです

2019年9月11日水曜日

キセルガイの一種

朽木の上を這っていたキセルガイの一種です。

殻高は約20mm。ナミギセルだと思いますが、殻口部の形の分かる写真を撮っていないので断定は出来ません。

ちょっと失礼して殻を裏返してみました。

体を伸ばして体勢を立て直そうとします。



無事に起き直りました。

(2019.08.09・明石公園)