2024年12月9日月曜日

晩秋のハラビロカマキリ幼虫

 11月以降、孵化したばかりと思われる季節外れのハラビロカマキリ幼虫をちらほら見かけました。今年は10月に入っても夏のような高温が長く続いたので、少し早めに産み付けられた卵が孵化してしまったのかと思いますが、ネット情報を探すと今年に限らず、またハラビロ以外でもカマキリ類の卵が年内に孵化してしまうのは特に稀な現象でもないようです。これらの幼虫が生きて冬を越せるとは思えませんが、これも温暖化の影響なんでしょうか。
写真の2匹はそれぞれ別の日に同じ
公園内で撮ったものですが、場所はかなり離れているので別々の卵から生まれたものだと思います。


アカメガシワの葉の上で。体長約10mmです。

こちらは赤くなりかけたヌルデの葉。大きさは同じくらいで、どちらも1齢でしょう。

上と同じ個体。

(2024.11.12/12.03・明石公園)


2024年12月4日水曜日

ホソミイトトンボ♂

 石垣から伸びた草にとまったホソミイトトンボ Aciagrion migratum です。すぐに逃げられたのでこの1枚しか撮れませんでしたが、レンズに手前の草がかぶって後半身がぼやけてしまいました。腹部の付け根に生殖器のふくらみが見えるので♂でしょう。体長は約39mmです。
成虫で越冬する種で、冬の間は写真のような枯葉色をしていますが、春になって成熟するとこちらのような色になります。その名の通り“糸”トンボの中でもひときわ細長い体つきをしています。


(2024.12.03・明石公園)


2024年11月30日土曜日

クヌギハケタマフシに産卵するオナガコバチ科の一種(Torymus sp.)

 アベマキの葉裏に出来たクヌギハケタマフシに、金属光沢に輝く美しいオナガコバチが産卵していました。大きさや体色の異なる2種がいて、どちらも以前コナラの枝先のナラメリンゴフシに産卵していた種によく似ています。おそらくTorymus 属ではないかと思いますが、確かではありません。同じ虫こぶに産卵するハチとしては、この秋だけでイソウロウタマバチカタビロコバチナガコバチに続いて4種目ですが、一種類の虫こぶがずいぶん多種類のハチに狙われるものです。

これは小型の種で、体長約3mm。虫こぶに口をつけたまましばらくじっとしていました。

同種と思われる別個体が産卵中。

上に同じ。

若干赤みが強い体色ですが、これも同種と思われます。

気がつけば、背面をほとんど撮っていませんでした。

こちらは大型種で、体長約4mm。1匹しか見つかりませんでした。

産卵を始めます。

産卵管を引き寄せて、

背伸びをしながら虫こぶに突き立て、

穿孔が始まると鞘が離れ、産卵管が虫こぶに挿入されていきます。

虫こぶは固そうに見えますが、意外に易々と入っていくようです。


(2024.11.20・明石公園)


2024年11月28日木曜日

シンジュキノカワガ・繭づくり

 クスノキの幹でシンジュキノカワガの幼虫が繭を作りはじめていました。
虫仲間に教えられて最初にこの幼虫を見たのは9月の初めで、すでにその時にもいくつかの繭が見つかっていたのですが、11月半ばも過ぎてまだ活動していることに驚きました。前回幼虫を見た数本の細いシンジュには幼虫もまだ数匹残っていて、繭を作っていたクスノキはそこから園路をはさんで10mばかり離れた場所です。

朝の9時過ぎ、地上1mちょっとの高さです。場所を決めたばかりのようで、周囲の樹皮をせっせと齧っていましたが、まだ繭らしい構造はまだほとんど見えません。幼虫の体長は約38mmです。

昼過ぎに見に来ても仕事はほとんど進んでいませんでした。

翌日、やはり9時過ぎに現場を訪れると、繭はほとんど完成していて(左下)、すぐ隣で別の幼虫が新たに工事を始めていました。

木屑を綴り合せた繭の、中心線上の細い隙間から幼虫の体が覗いています。

最後の仕上げをする幼虫の顔が見えます。

最後は隙間の左右を引き寄せて閉じるようです。

新たに来た方の繭はすでに左右の壁がだいぶ出来上がっていて、その間から身を乗り出して繭の材料を集めています。


材料の節約のためかかなり隙間の多い造りです。


樹皮から小さなかけらを齧りとっては繭の壁に付け加えていくという作業の繰り返しですが、かなり動きが素早くてここぞという瞬間がなかなか撮れません。

最初は1、2時間で仕事を終えそうな勢いだったのですが、たびたび長い休止が入るので思ったほどには捗らず、完成を見届けるのはあきらめました。

これは最初の繭、午後2時前の状態です。

元のシンジュの木には緑の葉も残り少なくなっていましたが、まだ数匹の幼虫が頑張っていました。
この季節に蛹化したものがいつごろ羽化するのか気になるところですが、ネット上では今年も各地でこの蛾の大発生が報告されていて、従来日本では越冬できないと言われていたのも怪しくなってきているようです。

(2024.11.19~20・明石公園)

2024年11月25日月曜日

キクグンバイ

 普段から好んで撮っている小さな虫の中でもグンバイムシ類は特にお気に入りですが、このキクグンバイ Galeatus spinifrons は初めてです。キクの害虫として知られていて、ヨモギ類にもつくということですが、なぜかこれまで見る機会がありませんでした。
いつもの虫仲間がノジギクの花壇で見つけた1匹を撮らせてもらったのですが、1匹いたのだからまだまだ他にもいるだろうと思ってその場では数枚撮っただけで済ませたのが間違いで、後で戻ってきて探しまわっても1匹も見つかりませんでした。折から公園内の別の場所で菊花展が開かれていたので、そこから偶然飛来した個体だったのかもしれません。
翅端まで3mmばかりの小さな虫ですが、その造形には驚かされます。



(2024.11.19・明石公園)

2024年11月23日土曜日

ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula

 以前にはこの公園でも冬場に木の葉をめくって歩くといろいろなコバチ類が見つかったものですが、10年ばかり前からそれが急激に少なくなってしまいました。はじめの2~3年は年による変動くらいに思っていたのですが、以後毎年減り続ける一方で一向に回復の兆しはありません。もちろんコバチに限らずほとんどの昆虫が種数、個体数ともに減ってきているのですが、冬場の虫探しの大きな楽しみだっただけに全く残念です。
この ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula Kamijo, 1976 も以前ならごく普通に見られたコバチの一つですが、この日見つけたのは久しぶりです。1枚のイスノキの葉の裏に6匹も集まっていたので、同じ寄主から羽化してきた兄弟姉妹ではないかと思いましたが、周囲を探してもそれらしい残骸は見つかりませんでした。
この種の特徴や判別点については、記載された上條先生からいただいたコメントがこちらの記事にあります。その記事に深度合成画像を載せた個体は♀と判定していただきましたが、BABAさんの記事では♂の深度合成画像が見られます。やはり上條先生からのコメントによれば、この種は腹部の形以外に外見上の雌雄差がほとんどないそうです。








(2024.11.07・明石公園)

2024年11月20日水曜日

クモヘリカメムシ 越冬前?集団

 先日も出したばかりのクモヘリカメムシですが、いつもの公園では今年は例年になく数が多かったような気がします。草むらを歩く足元から次々とび出してくるというような光景はさすがに11月に入るとあまり見られなくなりましたが、あちこちの木の葉の裏でじっとしているのが目につき、さらに写真のように多数の個体がクワの葉の間に集まっているのを見つけました。この場所でこのまま冬を越すわけではないと思いますが、これも越冬の準備かも知れません。

枝の入り組んだ場所にいたので一部しか画面に入っていませんが、全部で10匹くらいいたようです。

(2024.11.07・明石公園)