2021年11月30日火曜日

チンチニディウム(Tintinnidium sp.)

 これはチンチニディウム Tintinnidium の一種だと思います。殻(ロリカ)に収まったツリガネムシと言った格好ですが、以前に掲載したビンガタカラムシカメガタカラムシアナトックリカラムシなどと同じ有鐘目(カラムシ目)に属し、ツリガネムシの仲間ではありません。古い図鑑ではツボコムシという和名も使われていますが、あまり一般的ではないようです

ロリカにくっつけているのは主に珪藻の殻です。図鑑やネット上の画像では砂粒などが多いようですが、材料は周囲で手に入るもの次第ということでしょうか。

細胞はツリガネムシのような柄でロリカの底に付着しています。


動画です。


(2021.10.11・明石公園 桜堀にて採集)



2021年11月29日月曜日

エピスティリスとエリヒゲムシ

 エピスティリス Epistylis は群体性のツリガネムシで、こちらのようにケンミジンコなどに付着しているものもよく見かけますが、今回のものはこちらの記事と同じようにどこにも付着せずに水中を漂っていました。おそらく同じ種ではないかと思います。いくつかの群体を見ていると、柄に多数のエリヒゲムシ(襟鞭毛虫・エリヒゲムシ目 Choanoflagellida)の一種を付けたものがいました。以前のブログで普通のツリガネムシ(Vorticella sp.)の柄に付いていたものを紹介していますが、今回の方がやや小型のようです。



エピスティリスの群体は各細胞の繊毛の運動によりおおむね柄を先にして移動していきます。

動きを止めたところで倍率を上げて撮影。この写真で見るとエリヒゲムシは長短3本の鞭毛を持っているように見えますが、両側の短いのは中央の鞭毛を取り巻く「襟」の切断面が線状に見えているものです。

鞭毛も細胞本体もかなり高速で振動しています。



「淡水微生物図鑑」のよればエピスティリス属では囲口部の縁の繊毛列は1、ないし2列のみだそうです。

動画です。


(2021.10.11・明石公園 桜堀にて採集)




2021年11月26日金曜日

ケシキスイの一種

 落ち葉の裏にくっついていた小甲虫です。ケシキスイ科だと思いますが、目立った特徴もなく、属の見当もつきません。体長は約2.7mmです。






(2021.11.19・舞子墓園)

2021年11月23日火曜日

リゾソレニアの一種(Rhizosolenia ?robusta)

大型の珪藻ですが、船型というか、ミカンの皮かタマネギの一片のような独特の形をしていて、初めて見た時はもっと大きな珪藻の破片かと思いました。実体顕微鏡暗視野ではきれいな青色に光って見えます。リゾソレニア(ツツガタケイソウ)の一種で、手持ちの図鑑やネット上の画像を調べた限りでは Rhizosolenia robusta という種に一致しますが、近縁の別種なのかもしれません。厚みがあってごく一部にしかピントが合わないので深度合成してみましたが、そのためかえって立体像が想像し難くなったようでもあります。
写真は2つの細胞をそれぞれ暗視野と明視野で撮ったものですが、最初のものは(船の形に例えるなら)船底をスライドガラスにつけた状態、2番目はやや横倒しになった状態ということになります。





(2021.11.16・西舞子海岸にて採集)

2021年11月21日日曜日

ヤスマツコナジラミ

 ヤスマツコナジラミ Pentaleyrodes yasumatsui は以前のブログでも一度出していますが、あまり見ないものなので今回は持ち帰って深度合成撮影をしました。

もともと薄っぺらな体形なので深度合成しても新鮮味はありません。

同じ葉についていた別個体。体長はどちらも1.2~1.3mmの間です。

3匹目の個体の前部。眼は無いようです。

同じく後部。

見つけたのは前回と同じくカゴノキでした。

(2021.11.19・舞子墓園)

2021年11月20日土曜日

サメハダツブノミハムシ

 アカメガシワでは常連のサメハダツブノミハムシ Aphthona strigosa です。気温が下がってきたせいか葉をつまんでも逃げもせずに撮らせてくれました。体長2.5mmくらいです。



眉根に皺を寄せて怒ったような面付です。
ところでこのハムシ、成虫はいくらでも見つかるのですがそれらしい幼虫はまだ見たことがありません。アカメガシワのどのあたりで大きくなるんでしょうかね。

(2021.11.15・明石公園)

2021年11月19日金曜日

ナシケンモンの幼虫

 アカメガシワの葉の上に乗っていた赤い毛虫です。ナシケンモン Viminia rumicis の幼虫だと思いますが、体長が35mmくらいあるので終齢でしょう。周りの葉には食痕もなく、ちょっと不自然な感じがしたのですが、蛹化前の静止状態なのかも知れません。


じっとして動かないので各部のアップを撮っておきました。毛虫の毛や棘は種によって様々で面白いものですが、この毛虫は鋭い棘の間から多数のごく細い羽毛状の毛が生えています。






(2021.11.15・明石公園)

2021年11月17日水曜日

マルトビムシの一種

 落ち葉をひっくり返したりしているとよく見つかる、お尻の両側に白い紋のあるマルトビムシです。濡れ落ち葉の裏にいました。側面から撮れなかったので体長は分かりませんが、画面長辺が約1.4mmです。


(2021.11.15・明石公園)

2021年11月15日月曜日

アオムキミジンコの一種(Scapholeberis sp.)

ネタがないので5月の写真です。
種の特徴がはっきり写っていないので確実ではありませんが、おそらくタイリクアオムキミジンコ Scapholeberis kingi だと思います。


正面から。


背面から。

(2021.05.24・姫路市 姫山公園の池にて採集)

2021年11月13日土曜日

ヌサガタケイソウの一種?

わりあい大型の種なので撮影してみた珪藻です。ヌサガタケイソウ(Tabellaria 属)か、でなければオビケイソウ(Fragilaria 属)あたりが近そうな気はしていますが、どちらでもないかも知れません。殻の表面に並んでいる細かな点紋がきれいです。




(2021.08.31・明石公園 桜堀にて採集)

2021年11月11日木曜日

ユスリカを捕えたアリグモ幼体

 モチノキでユスリカの仲間を捕えていたアリグモ Myrmarachne japonica の幼体です。

若齢で、体長約2.5mm。



ハエトリグモの仲間は網膜の動きによって主眼の色が変わります。



(2021.11.04・明石公園)

2021年11月9日火曜日

蛾の卵と孵化幼虫

 ヨウシュヤマゴボウの葉の裏に産み付けられていた蛾の卵です。おそらくヤガ科の一種で、昨年出したものと同じか、近い種ではないかと思います。

1個画面からはみ出しましたが、数えると176個。その数をこれだけ整然と産み付けるのにどのくらいの時間がかかるんでしょうか。

卵の直径は0.6mmくらいです

一週間後に覗いてみると、孵化が始まっていました。
* 2021.11.16・訂正*
同じ株の葉についていたので同じ卵塊と思い込んでいましたが、あらためて写真を見て一週間前のものとは別の卵塊であることに気がつきました。同種だと思いますが、同じ♀が産んだものでしょうか。

20匹足らずが孵化してきたようですが、残った卵のうち黒く変色しているのは寄生されているのか、あるいは死んでしまったんでしょうか。


空になった卵殻はあらかた孵化幼虫に食べられて残っていませんが、その底、と言うか葉面への接着面は金色に光っています。


(2021.10.30/11.04・明石公園)

2021年11月8日月曜日

チマダラヒメヨコバイの羽化

クワの葉の裏にチマダラヒメヨコバイautoneura mori の成虫や幼虫がたくさん集まっていたので、羽化や脱皮が見られないかと葉っぱを順に裏返していくと、見つかりました。

すでに体の大部分が出ています。

ちょっと角度を変えようとわずかに目を離した間に脱皮を終えていました。

レンズから逃げるように歩きまわりますが、その間にも翅が伸びてきます。


前翅がほぼ伸びきりました。


続いて後翅も。

体色が整うにはまだ時間がかかりそうです。

別の葉にいた幼虫です。体長約2.2mmで、終齢でしょう。

これは近くのイヌビワにいた成虫です。翅端まで約2.6mm。

(2021.11.04・明石公園)