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2025年3月30日日曜日

アカアシノミゾウムシとヤドリノミゾウムシ(深度合成)

 冬場のケヤキの樹皮めくりではアカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes とヤドリノミゾウムシ O. hustacheiという、大変良く似た小さなゾウムシが一緒に見つかることがあります。実際、自分でも最初の頃はすべて同じ種だと思っていました。体色と大きさに違いで見分けられるようなのですが、保育社の甲虫図鑑を見ても、ネット上の記事を拾い読みしてみてもそれ以外の外見上の違いについては言及がありません。そこで先日、散歩がてらに心当たりのあるケヤキで両種を採集してきて、何か明確な違いが見つからないか、深度合成画像で見比べてみることにしました。
しかし例によってこのサイズの甲虫は扱いが難しく、折りたたまれた脚を拡げることがどうしてもできません。図鑑の画像などではどれもきれいに展脚されていて、しかるべき方法でやればできることなんでしょうが、私の技術では標本を傷つけずに展脚することはほぼ不可能なようです。あきらめてそのまま撮影しました。よく似た両種の違いを見つけてやろうと意気込んではじめた割には、重要な部分の多くが写真では見えないというまったく不満足な結果に終わってしまいましたが、とりあえず出来上がった画像を並べておきます。

まず、アカアシノミゾウムシ。体色変異の多い種ですが、これは触角と脚および上翅が赤褐色で他が黒色のタイプです。






次がヤドリノミゾウムシ。こちらの種は体色が安定しているようです。時間の都合で顔面の拡大は省略しましたが、本種の深度合成画像は以前の記事にも出しています。




以上の画像を見る限りでは、体色と大きさのほかにアカアシの方が若干細身のように見えますが、それ以外にははっきりした違いは確認できないようです。

(2025.03.20 神戸市西区伊川にて採集)

2025年2月23日日曜日

アカアシノミゾウムシ

 先日、ヨツモンヒメテントウの古い記事にいただいたコメントに、この冬はアカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes をほとんど見かけない、とありました。気になったのでその後何度かケヤキの樹皮下を調べてみたのですが、確かに少ないようです。以前なら、ほんの小さな樹皮のかけらの裏にぎっしりとひしめき合っているような光景も珍しくなかったものですが、今回あらためて探してみると、あちこち散発的に1匹、2匹といった大変寂しい結果でした。ごく最近まで珍しくもない普通種だと思っていた虫が、次々と希少種の仲間入りをしていきます。
写真は、川の土手に生えたケヤキの樹皮下で見つけた、色違いの2匹です。



(2025.01.31・神戸市西区伊川)

2025年2月8日土曜日

チャバネキクイゾウムシ?

 これもケヤキの樹皮の下から出てきたもので、キクイゾウムシの一種です。この仲間はどれも小さくて名前調べも難しいのですが、甲虫図鑑や日本産ゾウムシデータベースなどを参照した結果、赤褐色の上翅などの特徴からチャバネキクイゾウムシ Kojimazo lewisi としました。ただ、同じデータベースには同属でよく似たササチャバネキクイゾウムシ K. pictus も掲載されていて、標本画像だけではどこが違うのかよく分かりません。ということで、タイトルには疑問符をつけておきます。体長は、口吻の先まで計って約3.4mmです。






(2025.01.31・神戸市西区伊川)



2025年2月6日木曜日

ケヤキ樹皮下のヨツモンヒメテントウ

 先日、一昨年のヨツモンヒメテントウ Nephus yotsumon の記事にコメントをいただいたので、今年もいるかと思って同じケヤキを見に行きました。多少遠慮しながら樹皮を適当に捲っていくと、前回は1匹しか見つからなかったのが今回は何匹も出てきます。ただ、前回は大量にいたノミゾウムシ類やクロハナカメムシをはじめ樹皮下で越冬中の虫は少なく、急速な減少傾向はここでも変わらないようです。







(2025.01.31・神戸市西区伊川)



2024年11月12日火曜日

ササの葉のヒメハダニカブリケシハネカクシ

 スゴモリハダニ(Stigmaeopsis 属)に寄生されて独特の白い筋が入ったササの葉を、日の光に透かしてルーペで眺めていると、大きな黒い影が視野を横切っていきます。追いかけてよく見ると、ハダニ食いのヒメハダニカブリケシハネカクシ Oligota kashmirica でした。体長1.2mmばかりのハネカクシで、ササの葉で見たのは初めてです。お尻を上げた姿勢で葉面を歩き回るのを、捕食行動を期待してしばらく見ていましたが、それらしい場面を撮れたのは一度だけでした。レンズに追い回されて食事どころではなかったのかもしれません。撮影後、まわりの同じような白い斑入りのササの葉を調べるとかなり高い確率で見つかりました。

天幕の外に出てきていたハダニを捕らえたようです。

あとはひたすら歩き回るばかりでした。



(2024.10.10・明石公園)

2024年11月10日日曜日

キボシチビヒラタムシ♂

 絡み合ったクズの蔓をかき分けていると、ちょっと格好の良い甲虫が見つかりました。ヒラタムシの仲間で、体形はオオキバチビヒラタムシの♂に似ていますが、やや大きくて翅に目立つ紋があります。保育社の甲虫図鑑で調べると、オオキバとは別属のキボシチビヒラタムシ Laemophloeus submonilis でした。♂の前胸背板と頭部は幅広い、とあるのでこれも♂でしょう。普通は朽木や樹皮下で見つかる仲間なので、こんな場所にいたのが不思議です。体長は、大あごの先までで約4.5mmです。






(2024.10.10・明石公園)


2024年9月8日日曜日

コクロヒメテントウ

 センダングサの葉を裏返すと、小さなテントウムシのペアがいました。上翅の先にオレンジ色の部分が見えることや雌雄の顔面の色の違いなどから、普通種のコクロヒメテントウ Scymnus posticalis だと思います。検索すると以前のブログにも10年以上前に出していました。特徴的な姿の幼虫はこちらにあります。






(2024.09.03・明石公園)

2024年8月27日火曜日

ツツゾウムシのペアが沢山

 アラカシの枯れ枝で、ツツゾウムシ Carcilia strigicollis のペアを見つけました。撮影しながら周りを探すと、同じ枝にまだ何組ものペアがいて、背中の♂と交尾しながら♀が口吻で樹皮に産卵用の穴を開けていたり、♂を背負ったまま産卵中の♀もいます。この公園ではあまり見ない種ですが、集まるところには集まるもんだと感心しました。

こちらの♀は産卵中です。林の中の非常に暗い場所で、思い切ってシャッター速度を遅くしたので盛大にブレてしまいました。

こちらも産卵中ですが、♂の方が大きいペアです。

こちらでは♀がせっせと樹皮に穴を開けています。

上と同じ。

こんなペアもいました。

(2024.07.25・明石公園)

2024年8月24日土曜日

産卵するヤノトラカミキリ

 一か月以上も前に撮ったものです。半分枯れたエノキの幹で、ヤノトラカミキリ Xylotrechus yanoi が産卵していました。歩き回りながらあちこちで産卵管を差し込んでいくのですが、あまり低いところまでは降りてきてくれなかったので、写真は1枚だけです。
公園内で立ち枯れになった樹木は倒れたり枝が落ちたりすると危険なので、多くはやがて伐採されることになります。エノキの枯れた幹にはいろいろな虫が集まってくるのでわれわれのような虫好きには貴重ですが、この木も来シーズンは姿を消しているかもしれません。


(2024.07.20・明石公園)


2024年7月28日日曜日

クリイロヒゲハナノミ

 頭上に垂れ下がったコナラの枝葉の間に、なにやら甲虫らしきシルエットが見えたので手繰り寄せてみると、これまで見たことのない大型のハナノミでした。この仲間の常で頭部を胸元に埋めるような格好で枝につかまっていますが、この姿勢でも体長は15mmもあります。このあたりの平地で見かけるハナノミと言えばほとんどが体長数ミリの小型種ばかりで、滅多に見ない大型種のミツオホシハナノミでも10mmちょっとですから、この大きさには驚きました。保育社の甲虫図鑑を見ると、模様のない茶色一色でこの大きさの種はクリイロヒゲハナノミ Macrotomoxia castanea 一種で、ネット情報なども合わせるとこの種で間違いなさそうです。全く動く気配もないので安心していたら、ちょっと目を離した隙に消えていました。

尾節版が太短く、ハナノミらしくありません。



図鑑の説明にもありますが、とても大きな複眼です。


(2024.07.20・明石公園)

2024年6月28日金曜日

ヒメコブハムシの幼虫

 先日ヒメコブハムシの産卵を撮影したイタドリの群落を約3週間後に見に行くと、期待通り糞ケースを背負った幼虫がいました。最初、多くの食植性の幼虫のようにイタドリの葉っぱについているだろうと漠然と考えてしばらく無駄な努力を続けた後、ふと気が付いて産卵場所と同じ葉柄の付け根のあたりに目を向けるてようやく、細長い塔の形をした糞ケースが見つかりました。同じ枝の3カ所についていた10個足らずの糞ケースはどれもほぼ同じ大きさ(高さ2.3mm前後)で、同じ卵塊から生まれた兄弟かも知れません。撮影を始めると葉柄を茎をひょこひょこと歩きはじめるものもいました。



同じコブハムシ属の糞ケースでも、こちらこちらに比べるとかなり細身です。色が濃くて縦に畝が走っているケースの上部5分の3ほどが、もともと卵を蔽っていた部分だと思います。

意外に速く歩きます。


試しに1個、葉の上で倒してみると、中から幼虫が身を乗り出してきてすぐに起き直りました。

周りを探すと、まだ孵化していない卵塊も見つかりました。周囲の齧り跡は、母虫によるものと思われます。

(2024.06.20・明石公園)