2023年6月30日金曜日

花蜜を吸うクチナガハリバエ

 クチナガハリバエ Prosena siberita がマサキの花の蜜を吸っていました。このハエが花蜜を吸うところは以前にも一度撮影したことがありますが、大抵はこんなふうに木の幹でじっとしている印象があって、花に来ているのはあまり見かけません。それにしても、普通に花蜜を吸うだけならこんなに長い口吻は必要ないように思えますが、何か他に大事な使い道があるんでしょうか。




(2023.06.24・明石公園)


2023年6月29日木曜日

カナムグラヒメゾウムシ

 アカメガシワの葉の上にいた小さなゾウムシです。はじめ花外蜜腺を吸っているように見えたのですが、レンズを近づけると裏に回りこんでしまいました。体長約2.8mmです。
保育社の甲虫図鑑で調べるとヒメゾウムシ亜科のどこかに入りそうなのですが、特徴が
一致する種が見つかりません。そこで多少とも似ている種名でネットを検索していると、いくつかのサイトでカナムグラヒメゾウムシ Psilarthroides czerskyi という、有力候補になりそうな種が紹介されていました。こちらこちらの標本写真を見ても違いが見つかりません。食草のカナムグラはこの場所でも少なくないし、大きさや分布情報から見てもこの種で間違いないでしょう。上記甲虫図鑑では Psilarthroides 属が亜科の検索表にだけ登場しますが、それに含まれる種は収録されていませんでした。





(2023.06.24・明石公園)

2023年6月28日水曜日

イヌビワハマキモドキ

 アカメガシワの葉にとまっていたイヌビワハマキモドキ Choreutis japonica です。近づくとすぐに逃げることが多くアップでは撮りにくい蛾ですが、この時はしばらくじっとしていてくれました。きれいな模様ですが、11年前の写真と比べると微妙に違います。




(2023.06.24・明石公園)

2023年6月27日火曜日

フタイロチビジョウカイ

 これは以前のブログで種不明のジョウカイボン科の一種として出したものと同じ種だと思います。その記事には当時、Minoru-Tさんからフタイロチビジョウカイではないかとのコメントをいただいたのですが、同種については手元の甲虫図鑑にもごく小さな写真と簡単な説明しかなく、ネット上にも種を特定できそうな情報が見つからなかったので、タイトルはそのままにしていました。しかし今回改めて探してみると、こちらこちらの資料が見つかり、どちらにも同種の標本画像が載せられています。それらと見比べた結果、前回の記事の個体も今回の個体も、4年前にMinoru-Tさんからいただいたコメントのとおりフタイロチビジョウカイ Malthinellus bicolor で間違いないと判断しました。

カクレミノの葉裏にいました。体長約3.3mmです。



(2023.06.20・舞子墓園)


2023年6月26日月曜日

イチモンジハムシ

 イヌビワの実を齧っていたイチモンジハムシ Morphosphaera japonica です。小さな木ですが、葉や実を食べているのがざっと十数匹数えられました。



(2023.06.17・明石公園)

2023年6月25日日曜日

ヒメガマのガマキスイ

 若いガマの穂(詳しい方に訊くとヒメガマだそうです)に小さな甲虫が集まっていました。苞の隙間にも入りこんで、交尾中のペアも多く、また♀は花穂に産卵しているように見えます。
キスイムシ科と見当をつけてネット検索すると一発でそれらしいのが出てきました。ガマにつくガマキスイ Telmatophilus orientalis Sasaji,1987. です。ところが確認のために開いた保育社の甲虫図鑑にはその名がありません。1985年の発行時にはまだ記載されていなかったのです。しかしキスイムシ科の属の検索表にはTelmatophilus 属への言及があり、函館から記録されているT.typhae という種が紹介されていました。
図鑑の検索表には Telmatophilus 属(Telmatophilinae 亜科)は「跗節第2、第3節は下前方に葉片状に伸長する」とあります。ちょっとわかりにくい説明ですが、多数のボツ写真の中に跗節の様子が分かるカットがあって、それを見て納得しました(最後の写真)。九大の目録には同属からT. orientalis とT. typhae の2種しか載っていないので、これで同定はほぼ間違いないと思います。こういうこともあるので、毎度大量に生産されるピンボケ写真もすぐに捨ててしまうわけにはいきません。




♀は腹端を花穂に差し込んでいるように見えます。

体長は2~2.4mmくらいです。

♂の後脚。矢印の部分が「葉片状に伸長」した跗節第2、第3節です。

(2023.06.10・明石公園)

2023年6月24日土曜日

アオガネヒメサルハムシの雌雄

 ノイバラの花の中で、小さなハムシが花粉を食べていました。アオガネヒメサルハムシ Nodina chalcosoma だと思います。保育社の甲虫図鑑には食草はノブドウ・テリハノイバラ・ノボタンなど、とあるので、普通のノイバラにいてもおかしくはないでしょう。体長は2~2.5mmくらいです。

たくさんいましたが、棘に気をつけながら枝を持って撮影しようとするとほとんどは逃げてしまいました。

比較的協力的だったペアです。

♀の顔がボケていますが、♂を背負ったまま花粉を食べていました。

甲虫図鑑では「♀では上翅側方に3本の隆起条を有し、そのうち中央の1条は短い」。♂の脚に隠れて長さまでは分かりませんが、確かに♀だけに「3本の隆起条」が見えています。

別の花にいた1匹。♂のようです。

(2023.06.20・明石公園)

2023年6月23日金曜日

クロハナボタル

 コナラの葉の裏で交尾していた黒いベニボタル。こういう甲虫は葉にふれた途端ポロリと落ちたり飛んで行ってしまったりということがほとんどですが、交尾に夢中だったのか、葉をそっと引き下ろして撮影する間なんとか逃げずにいてくれました。クロハナボタル Plateros coracinus だと思います。
Plateros 属には同じように黒くてよく似た種が何種かあって、保育社の甲虫図鑑の検索表を辿ると本種かウスグロハナボタル P. nozirianus のどちらかになるのですが、両者の区別点は交尾器の形状しか記されていません。しかしウスグロの方は分布域も狭く普通種でもないようなので、ここではクロハナボタルとしておきます。






(2023.06.20・舞子墓園)

2023年6月22日木曜日

コハモグリガ属の一種(Phyllocnistis sp.)

 クサギの葉の裏で銀色に光っていた小さな蛾です。頭端から翅端まで2.4mmほどしかありません。以前にも似たようなものを出しているはずだと思って調べてみると、こちらこちらの記事が出てきました。今回もそれらと同じコハモグリガ属 Phyllocnistis(ホソガ科コハモグリガ亜科)の一種だと思いますが、どちらとも種は異なるようです。



(2023.06.20・舞子墓園)

2023年6月21日水曜日

ホシガタモの一種

 これは単細胞の緑藻類で、ホシガタモの一種です。ホシガタモ属(Staurastrum スタウラストルム)には様々な形の多数の種が含まれていていますが、どれも細胞中央の括れをはさんで両側が同じ形をしていて、それぞれを半細胞と呼ぶそうです。写真は各半細胞から3本の突起が放射状に伸びている種ですが、そのままでは全体にピントが合わないので、カバーガラスで押さえてやや潰れた状態で撮影しました。


(2023.04.19・明石公園の池で採集)

2023年6月20日火曜日

コガネコバチ科の一種(深度合成)

 2か月ほども前にスタック撮影したデータがそのままになっていたのを、ようやく合成処理しました。撮影にも手間と時間がかかりますが合成・レタッチ作業も同様で、つい後回しになってしまいます。コガネコバチ科(Pteromalidae)の一種ですが、属は分かりません。











(2023.04.23・舞子墓園にて採集)

2023年6月19日月曜日

ミカヅキモ2種(深度合成)

 大型のミカヅキモ Closterium 2種です。どちらも20枚前後撮影して深度合成しました。1枚目はこちらと同じでしょう。細胞の形や大きさ、葉緑体全体に散らばった多数のピレノイド(丸い粒々に見えます)から Closterium ehrenbergii だと思いますが、この種にはいくつもの変種が存在するようで、そのうちどれに該当するのか分かりません。2枚目は C. acerosum あたりと考えていますが、同じような形の種は他にもあって、違いがよく分かりません。こちらと似ていますが、長さと太さの比率がかなり異なるので、別種かも知れません。



(2023.05.19・明石公園の池で採集)

2023年6月18日日曜日

クロオオアリ

 土留めの丸太の上の2匹のクロオオアリ Camponotus japonicus です。よく見る光景ですが、大あごを絡ませ触角で叩き合って、どんな情報を交換しているんでしょうかね。
そんなことは別にして、この黒光りする質感が好きです。





(2023.06.10・明石公園)


2023年6月17日土曜日

明石公園で見つかったツシマトリノフンダマシ

 ご近所の虫仲間のIさんから、明石公園でツシマトリノフンダマシ Paraplectana tsushimensis を見つけたと連絡をいただきました。
ツシマトリノフンダマシは対馬ではじめて発見された南方系の種で、本州南部から南西諸島にかけての各地から報告されてはいるものの、個体数が極めて少ない稀種だそうです。ひょっとすると明石近辺ではこれが初記録かも知れませんので、当ブログで紹介させていただくことになりました。以下に掲載した写真はすべてIさんの撮影データをお借りしたものです。




トリノフンダマシの仲間は昼間はいつ見てもこのように葉裏でじっとしていますが、暗くなると活動をはじめ、大きな円網を張るそうです。

(2023.06.13・明石公園)