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2024年10月13日日曜日

コナジラミの一種と不明ダニ

 雑草のように生えたクワの幼木の葉を裏返すと、白いコナジラミの成虫がたくさん群れていました。頭から翅端まで1mm前後の小さな虫です。種類は分かりませんが、幼虫や蛹は、例えばこんな姿をしています。


大半はすぐに飛んでいきましたが、何とか残った連中を撮影。

こんなふうに2匹が仲良く寄り添っていることが多いのですが、雌雄のペアでしょうか。ただし交尾は確認できませんでした。

この2匹は前脚に何かくっつけています。

こちらでも。

ダニのようです。体長は0.15mmくらい。

このひとは2匹もつけています。

何匹もくっつかれると歩くもの難儀なようです。なんというダニなのか見当もつきませんが、コナジラミが専門の寄生者でしょうか。

(2024.09.29・明石公園)


2024年9月25日水曜日

キリの葉のタバコカスミカメ

 キリの幼木の大きな葉を裏返すと、このタバコカスミカメ Nesidiocoris tenuis がたくさんついていました。
このカメムシを初めて見たのは約5年前で、やはりキリの葉の裏でした。この公園には大きく成長したキリの木は少ないのですが、幼木はいたるところに生えてきます。その葉では必ずと言って良いほどヒメイトカメムシが群れているのですが、タバコカスミカメが見つかる場所は限られていて、この日見つけたのも5年前に初めて見た場所の近くでした。
今回は交尾中のペアも多く、またヒメイトカメムシの死骸を吸汁しているものもいました。タバコカスミカメはアザミウマやコナジラミなどの農業害虫を捕食するため生物農薬としての利用が進められているようです。キリの葉に集まっているのは、粘つく腺毛に捕まった微小昆虫が目当てなのかも知れません。関係があるのかどうかわかりませんが、農林省のサイトを見ると、このカメムシが好むゴマとクレオメを増殖に利用する方法が紹介されていて、調べてみるとどちらの植物にも葉に粘着性の腺毛が存在するようです。

交尾中のペア。ヒメイトカメムシのように逃げ回らないので撮影は楽でした。

左が♀で、産卵管が見えます。

よく見ると、ヒメイトカメムシの脚の先あたりに口吻を突き刺していました。おそらくすでに死んでいたものだろうと思いますが、あるいはこんなに大きな獲物を襲うこともあるんでしょうか。


あちこち刺点を変えて吸汁しています。

ヒメイトカメムシと同様、粘着性の腺毛の間を自由に歩き回れるように特に適応しているのではないかと思います。

体長約1.5mmの幼虫。

(2024.09.17・明石公園)


2024年9月4日水曜日

キマダラカメムシの産卵と孵化幼虫

 3年前にもほぼ同じものを出していますが、サクラの葉裏で産卵していたキマダラカメムシ Erthesina fullo です。1か月近く前に撮った写真です。

ここ数年で急速に増えてきた外来種で、この公園でもいたるところで見かけますが、ちょうど産卵中に出くわす機会はなかなかありません。

反対側から。残念ながら見つけた時にはほぼ予定の数を産み終えていたようで、まもなく立ち去ってしまいました。

これは別の日に見た、セイタカアワダチソウの葉裏で孵化した幼虫たち。このカメムシは卵を産み付ける植物をあまり選ばないようです。

(2024.08.10,07.25・明石公園)


2024年8月21日水曜日

ヒラタグンバイウンカ

 今日はいつもの公園で内輪の“観察会”。ビーティング用の小道具を用意していた虫仲間がススキの葉を叩くとこのヒラタグンバイウンカ Ossoides lineatus が落ちてきました。ずいぶん以前にもっと標高の高い場所で撮影したことはありますが、平地の公園で見るのは初めてです。もっといるかも知れないと皆で当のススキの株をかき分けてみれば、葉裏にとまっているのが何匹も見つかりました。この公園でもよく見られるミドリグンバイウンカに似ていて、その頭部を薄く長く引き伸ばしたような格好の美しい虫です。これまでこの公園で見たことが無かったのが不思議ですが、少し離れた場所のススキでは1匹も見つかりませんでした。同じ公園の中でも発生はごく局部的なのかも知れません。

体長約8.6mmです。




(2024.08.21・明石公園)

2024年7月26日金曜日

グンバイカスミカメ 成・幼虫

 ヒメグンバイに寄生されたアベマキの葉裏で、久しぶりにグンバイカスミカメ Stethoconus japonicus を見つけました。グンバイムシ類を専門とする捕食性のカメムシです。各種グンバイムシのコロニーの中によくいるのですが、小さい上に姿かたちが獲物によく似ていて、ルーペでも使ってじっくり探さないとなかなか目にとまりません。この日は同じ枝の数枚の葉の裏で成虫や大小の幼虫を数匹見つけましたが、残念ながら捕食の場面は見られませんでした。

成虫です。頭から翅端まで約4mm

小循板が角のように突き出しているのが特徴的です。

別の成虫の顔。

体長約1.1mmの若齢幼虫。

上と同じ。この大きさの幼虫でも、こちらのように立派に狩りをします。

これもまだ若齢ですがやや大きくなっています。

体長は1.8mmほどで、翅芽が伸び始めています。

これでおそらく終齢でしょう。

体長約2.6mm。

ところどころにヒメグンバイの遺骸が仰向けになって残されていました。グンバイカスにカメが成虫を襲う際にはこんなふうにまず獲物を裏返し、腹面から体液を吸います。

少し離れた場所で無事に暮らしているヒメグンバイ。

(2024.07.04・明石公園)



2024年7月4日木曜日

ウズラカメムシ

 普通種ですが当ブログでは初登場のウズラカメムシ Aelia fieberi です。イネ科の草の細い茎や穂にとまっていることが多いのですが、これはイタドリの葉の上に載っていました。ちょっと変わった風貌のカメムシです。




(2024.06.20・明石公園)


2024年6月29日土曜日

交尾中のイトカメムシ

 アカメガシワの葉の上で交尾していたイトカメムシ Yemma exilis です。今年は全国的にカメムシの大量発生が話題になり、大概の日本人ならカメムシがどんなものかは知っていると思いますが、この虫を見てカメムシと分かる人は多くないでしょう。弟分のヒメイトカメムシはこのあたりではキリの葉以外でほとんど見たことがありませんが、こちらはそれほど好き嫌いが無いようで、様々な植物の上で見かけます。近づくと雌雄繋がったままゆっくりと歩きはじめ、浅い被写界深度に2匹を収めるのにちょっと苦労しました。


ちょうど♀が、何かの虫の死骸を見つけたようです。

(2024.06.20・明石公園)


2024年6月15日土曜日

羽化直後のダルマカメムシ

 エノキの幹を眺めていて、小さな白いものが動くのが見えたのでルーペで確認するとダルマカメムシ Isometopus japonicus でした。羽化直後と思われます。近くに脱皮殻か幼虫でも見つからないかと探すと、1匹だけ成虫がいました。口吻で樹皮を探りながら歩き回っていて、餌を探しているんでしょう。この種はカイガラムシ類を捕食すると言われていて、このような行動はよく見かけますが、実際に捕食している場面はまだ見たことがありません。
特に探していたわけでもありませんが、今年はこれが初めて見るダルマカメムシでした。幼虫を見るには時機を逸してしまいましたが、以前のブログには何度か出しています(2010,2011,2019)。


翅端まで約3mmです。



これが本来の体色です。

体のわりには長い口吻です。樹皮の割れ目を探っているようですが、どんな獲物がいるんでしょうか。


(2024.06.07・明石公園)

2024年6月9日日曜日

ツマキヘリカメムシ

 イタドリに絡んだヤブガラシの蔓に、多数のツマキヘリカメムシ Hygia opaca が集まっていました。と、書きましたがツマキヘリカメムシは同属のオオツマキヘリカメムシH. lativentris と酷似していて、外見ではほとんど区別がつかないとされています。一番分かりやすい違いは♂の交尾器端の突起ですが、今回見つけた集団はほとんどの個体が交尾中で、肝心の部分が見えません。とうことでどちらの種かはっきりしないことになりますが、撮影した個体の中では体長が10mmを超えるものはいないようなので、とりあえず表題はツマキヘリカメムシとしました。





(2024.06.01・明石公園)

2024年5月25日土曜日

チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫たち

 ここ2年ほどの間にいつもの公園でも急速に数を増やしてきたアミガサハゴロモに似た外来種 Pochazia shantungensis は、チュウゴクアミガサハゴロモという和名が付けられたようです。今年はさらに増えそうな気配で、公園内いたるところ、さまざまな植物で白い綿毛のような蠟物質を纏った幼虫を見かけるようになりました。写真はクワの枝に群がっていた若齢幼虫です。




(2024.05.25・明石公園)

2024年5月19日日曜日

ヒメグンバイの産卵

 ようやくヒメグンバイ Uhlerites debilis の産卵を撮影することができました。クヌギやコナラ、アベマキなどに極めて普通なグンバイムシで、春から夏にかけてはこちらのような、葉裏の主脈に並んだ産卵痕もいくらでも見つかるのですが、産卵の場面はこれまでどうしても撮影することができなかったのです。それがこの日は幸運にも、それぞれ別の木で2匹の産卵行動を見ることができました。

最初の♀です。頭上のアベマキの葉裏で、主脈の上に陣取っているグンバイが見えたので引き下ろして覗いてみると、ちょうど産卵管を差し込んでいました。

数枚撮るうちに産卵を終えたようで、やはり警戒しているのかそのまま立ち去ってしまいました。腹端から粘液のようなものが出ているように見えます。

すぐ近くの別の木、昨年10月に大量の成虫が集まっているのを見た同じアベマキですが、ちょうど産卵管を突き刺したばかりのメスがいました。周りをうろついていた別個体が手前にぼやけて写っています。



産卵中の♀が気になるのか、他個体も見守って(?)います。足元の黒い球は排泄物でしょう。

産卵管を抜いたところ。ここまで6~7分かかりました。

同じ♀が、今度はさきほど産卵したあたりに口吻を立てています。

深く突き刺すでもなく、口吻の先で探っているように見えます。

やがて口吻を立てていたあたりに産卵管を突き刺しました。以前掲載したナシグンバイの産卵でも同じような行動を見ましたが、産卵管のための下穴でもあけているんでしょうか。

上の部分拡大。産卵管には細かな筋が多数入っています。


所要時間はやはり6分ほどでした。先の2例と同様、産卵管を抜いた後に粘液のようなものが盛り上がっていますが、これはやがて固まって産みこまれた卵を守る役目を果たすのではないかと想像しています。

(2024.05.11・明石公園)