これもアオギリの落ち葉です。一見してミスジミバエ Bactrocera scutellata、しかし何か違うような、と思えば、和名の由来でもある胸部背面の3本線のうち中央の一本がありません。それに両側の線もかなり短小です。さらに脚の色も薄く、翅の前縁に沿って暗色になるはずの領域もほとんど色がついていません。しかしそれらの違いを除くとやはりお馴染みのミスジミバエによく似ています。
それでは同属別種か、と考えてネット情報を漁っているとこちらの報文が見つかりました。おとなり韓国で従来から知られていた Bactrocera 属2種と、同属で新たに確認された1種についてのレヴューです。従来からの2種はお馴染みのミスジミバエとカボチャミバエ B. depressa ですが、3種目の B. hyalina の標本写真を見ると胸背の縦線が両側の1対しかないことや翅の前縁の色が薄いことなど、今回撮影したものによく一致することが分かりました。それ以外の識別点を英語の記述から翻訳ツールを頼りに抜き出して見ると、上額眼縁剛毛(frontal setae )が2対のみ(ミスジやカボチャは3対)、小楯板端剛毛は1対のみ(ミスジやカボチャは2対)、翅には狭くてかすかな前縁帯(costal band)が辛うじて確認できる、とあります。他に、脚は後腿節(hind femur)が褐色である他はほぼ全体が淡黄色、と説明されていますが、添付された標本画像を見るとこれはおそらく後脛節(hind tibia)の誤りでしょう。以上の特徴は下の画像からも確認できるので、これは Bactrocera hyalina (ミバエ科・ミバエ亜科)として間違いないのではないかと思います。ネット上には日本語の情報がほとんど出てこないのですが、学名で検索していると、双翅目談話会会誌 「はなあぶ」No.56 (2023年11 月発行)の目次に「靱公園(大阪市西区)で見つかったクスノキミバエBactrocera hyalina」というタイトルがありました。本を見ていないので内容は分かりませんが、大阪でも確認されているようです。またこれでようやく和名を知ることが出来ました。
いつ頃のデータかよく分かりませんが、こちらによると本種は九州や中部・北陸から報告されているようです。またこちらの台湾の報文を見ると、台湾・タイ・中国でも記録があり、ホストとしてクスノキ科とモクレン科が挙げられています。
2026年1月23日金曜日
クスノキミバエ(Bactrocera hyalina)
2026年1月18日日曜日
枯葉の間で越冬するツヤアオカメムシ
アラカシの、重なり合った枯葉の間にきれいな緑色が覗いているのでそっと広げてみると、ツヤアオカメムシが3匹出てきました。2023年の夏の大発生して、次の冬には越冬個体がいたるところで見られましたが、前回の冬はあまり見かけませんでした。それがこの冬はまた少し増えているようで、落ち葉の中などでもよく見つかります。
こちらの記事によれば、ツヤアオカメムシは山のスギやヒノキの実で育つということで、この公園では卵も幼虫も見たことがないように思います。
2025年12月29日月曜日
2025年12月27日土曜日
2025年12月20日土曜日
ニセケバエ科の一種(?Apioscatopse sp.)
シュロの葉の裏で交尾していたニセケバエ科の一種です。以前のブログに「?Scatopse sp.」として載せたものによく似ていて、おそらく同種ではないかと思いますが、改めてネット情報を探して見ると、「廊下のむし探検」のこちらの記事が見つかりました。このブログではいつも採集した標本を専門文献を駆使して詳細に検討されているのですが、この記事でApioscatopse 属ではないかとされている標本の翅脈が今回撮影したものによく一致します。さらに同じ記事で、Scatopse 属の翅脈の特徴も示されていますが、そちらの方は明らかに異なります。ということで、全くの他力本願ですが以前のブログに出したものも今回撮影したものも、どちらもApioscatopse 属の可能性が高そうだという結論に至りました。
2025年7月19日土曜日
ヌカカ科の一種(?Forcipomyia sp.)の蛹
アベマキの幹の、樹液が流れて真っ黒になった部分を見ていると、樹皮の割れ目に何やら幼虫のようなものが集まっていました。暗くてよく見えないのでとりあえずフラッシュで撮影してモニタを確認すると、幼虫ではなく蛹です。おそらく双翅目と見当をつけて、こんな場所に縁のありそうな科の蛹の画像を探していると、有力候補が見つかりました。ヌカカ科の Forcipomyia 属で、 “Forcipomyia pupa”で検索するとよく似た写真や図が見られます。Forcipomyia 属は国内でも数十種が記録されているようで、北隆館の原色昆虫大図鑑にも5種が収録されています。以前のブログには同属と思われる幼虫を出しています。
2025年5月15日木曜日
マガリケムシヒキの産卵
最近いつもの公園でご一緒することの多い虫探しの達人のFさんが、産卵中のマガリケムシヒキを見つけました。イネ科らしき枯草の折れた茎の先端にとまり、腹端を茎の穴に差し込んでいます。幸い、何枚か撮る間その姿勢でいてくれましたが、まもなく腹端を抜いて飛んでいきました。茎の穴を覗き込んでみると、内径0.7mmばかりの筒の奥に詰め込まれた複数の卵が見えます。この季節、公園を歩けば必ず何匹かは見かける普通種ですが、?十年も虫撮りをやっていて産卵行動を見たのはこれでやっと二度目で、一度目は14年も前のことでした。貴重な場面を見つけてくれたFさんに感謝するほかありません。
その一度目では、本種がエノキの樹皮の隙間に腹端を差し込んで産卵していました。林の中で見かけることの多い種なので産卵も樹幹で行われるのかとその時は解釈していましたが、今回は完全に開けた場所なのが意外です。
ムシヒキアブ類の幼虫は、生態が分かっているものでは地中や朽木の内部で他の虫や幼虫を捕食して暮らしているものが多いようなので、この卵から孵化した幼虫もおそらく地面に降りて地中生活を送るのでしょう。以前に一度、アラカシの枯れ木からトゲツヤイシアブが羽化してくるところを見たことがあります。
2025年5月8日木曜日
エノキハトガリタマフシとエノキトガリタマバエ幼虫
エノキの葉に、小さな砲弾型の虫こぶが出来ていました。タマバエ科のエノキトガリタマバエ Celticecis japonica によって作られた、エノキハトガリタマフシと呼ばれる虫こぶです。
2025年5月5日月曜日
オドリバエ科 Rhamphomyia SP.
先日のクロアシボソケバエにちょっと似ていますが、こちらはケバエではなくオドリバエの仲間です。アカメガシワの、その名の通り赤い毛におおわれた新葉の上に乗っていました。幸い翅脈もはっきり写っているので、いつも参考にしている三枝豊平さんの“日本産双翅目の図解検索システム Ⅰ オドリバエ科”の検索表を辿ってみると、いくつか写真では確認できない部分も残るものの、Rhamphomyia(ホソオドリバエ属)の特徴によく一致します。MNDの翅脈図を見てもよく合っているのでこの学名でネット検索すると、昔の自分の記事が出てきました。今回と同様♂個体で非常によく似ていますが、翅の色が少し違うように見えるので別種かもしれません。それにしても、撮った写真もその後の身元調査も13年前と全く同じことをやっているのに我ながら笑ってしまいます。こちらの記事の♀も同属だと思います。
2025年5月3日土曜日
クロアシボソケバエ
引き続き三木山森林公園で撮った虫です。
何の木か忘れましたが、葉裏にとまっていた真っ黒のケバエです。ネット上には同種と思われる画像がクロアシボソケバエ Bibio holomaurus としてたくさん見られますが、おそらくよく似た種も多いだろうし、何か決め手があればと思って探すと、運よく「廊下のむし探検」でこの種が取り上げられていました。このブログでは毎回、採集した標本の各部の顕微鏡写真を示しながら、専門論文の検索表から同定のポイントを嚙み砕いて詳しく説明されていて、私のような素人には大変参考になります。今回撮影した写真をその記事に照らして調べてみると、いくつか確認できない部分は残りますが多くの特徴は一致しました。他に酷似種が存在しなければクロアシボソケバエとしてよいと思います。
2025年4月19日土曜日
ジェーンアシワガガンボ?
いつもの公園で多数のガガンボが発生している、という情報をいただいたので、早速見に行ってきました。場所は幹が地上付近で数本に分かれたエノキで、その幹の間に出来た窪みに溜まったわずかな水の中から羽化してきているらしいのです。最初に出かけた日は強い西風が吹いていてあまり期待していなかったのですが、幹の周りで♀2匹♂3匹が見つかりました。♂は風にも負けずときどき飛び回っています。また小さな水たまりには一見何かの糞のような黒っぽい抜け殻がいくつも残されていました。さらにその二日後に見に行くと、交尾中のペアひと組の他に2、3匹の♂が、やはり落ち着きなく幹の周りを飛び回っていました。羽化した成虫が何日間もその場に留まっているとは思えませんし、今回情報をくれた方の話からも、どうやらしばらくの間は連日羽化が続いていたようです。
さてこのガガンボの種名ですが、ネット上でジェーンアシワガガンボ Tipulodina joana として多数の画像が見られるものによく似ています。中でも「廊下のむし探検」のこちらの記事では同種の特徴が詳しく調べられていました。ただこの Tipulodina 属にはもう一種、T. nipponica(ニッポンアシワガガンボ)という種が存在して、両種を区別する特徴については上記の記事にもほとんど説明がありません。そこでさらに探してみると、「YAHOO!知恵袋」という質問サイトにこちらのような記事がありました。孫引きになりますが、東海大学出版の「日本産水生昆虫」によるとT. joanaは「後脛節基部近くに幅の広い白色帯を有し、ふ節は広く黒色」、T. nipponicaは「後脛節は基部近くに幅の狭い白色帯(3mm)、ふ節は第1ふ小節と第5ふ小節の一部を除き白色」ということです。その説明をもとにあらためて画像を調べてみると、今回のガガンボはやはりジェーンアシワガガンボでよさそうだという結論に達しました。ただしふ節については、♂ではほぼ黒色ですが♀では各脚に白、あるいは淡色の部分があり、少し疑問も残るので、タイトルには“?”をつけておきます。
2025年4月7日月曜日
ビロウドツリアブ
春先の野山を歩くとよく目につくビロウドツリアブ Bombylius major ですが、撮影したのは久しぶりです。最近は町中の公園ばかり徘徊しているので目にする機会が減ったという事情もありますが、かなり敏捷な虫で見つけてもたいがい撮る前に飛んで行ってしまうということもあります。たかが普通種という気持ちもあって時間をかけて追い回す気にもなりません。それが今回の個体は珍しく大人しくしていてくれたので以前のブログで2016年に出して以来9年ぶりに登場することになりました。
ツリアブの仲間はどれも寄生性ですが、この種はヒメハナバチ類に寄生するそうです。そして他のツリアブ類と同様、産卵の前には地上に降りてお尻を砂地にこすりつけ、腹端にある「砂室」に砂粒を取り込むと言う面白い習性が知られています。卵に砂をまぶして寄主の目を誤魔化すためと言いますが、それがどんな風なカムフラージュなのか、以前にもちょっと資料を探してみましたが具体的な説明は見つかりませんでした。この砂集めの様子は本種ではまだ見たことがありませんが、以前にスキバツリアブやマエグロツリアブで同じ行動を撮影しています。


















































