2020年11月30日月曜日

カクレミノのアオモンツノカメムシ

 アオモンツノカメムシ Elasmostethus nubilus のホストとしてはヤツデが知られていますが、近所の公園ではヤツデで見られることは少なく、同じウコギ科のカクレミノでより多く見られます。

2枚重なったカクレミノの葉の間にたくさんの黒い影が見えます。

拡げてみるとやはりアオモンツノカメムシ。

幼虫と成虫が入り混じっていますが、ちょうど羽化の時期のようで、幼虫はほとんどが終齢です。

羽化直後の、体色がまだ薄い成虫もいます。

葉の表で日向ぼっこをしている成虫もいました。

(2020.11.26・明石公園)

2020年11月25日水曜日

ニッポンオナガコバチ・メスの誕生と待ち受けるオスたち

 この10年来、毎年のようにニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum の発生を見ているクロガネモチの木で、赤い実のついた枝に多数の♂たちが集まっていました。実の中で羽化し、脱出してくる♀を待ち受けているので、こちらも♂と一緒に待っていれば♀の誕生を見ることが出来るはずです。スチール写真は以前にも撮ったことがあるので、今回は動画でその瞬間を狙うことにしました。

今回は静止画は撮らなかったので、上の写真は二つ目の動画からの切り出しです。
たくさんの実をつけたクロガネモチの枝のあちこちに♂が集まっている中で、特にその動きの激しい場所があれば♀の出現が近い徴です。今回は午前中一杯粘って2匹の♀の脱出を撮ることが出来ました。普段は持ち出すことのない三脚を準備し、風に揺れる枝をカメラ側から伸ばした半田付け用のアームの先に固定して撮影しています。背景音は鳥の声に散策する人の声、公園の樹木を伐採するチェーンソーの音に遠くを走る電車の音等々です。

まず1匹目。


次は2匹目。♀は動画の途中で一度頭を出しますが、頭上♂たちの争いに怖れをなしてか、引っ込んでしまいます。


このニッポンオナガコバチについては以前のブログをはじめたころから何度も記事を書いていますが、その主なものは昨年9月のクロガネモチの実に産卵するニッポンオナガコバチの末尾にリンクをまとめています。

(2020.11.17・明石公園)

2020年11月22日日曜日

ヒラタアブ幼虫に産卵するヒラタアブトビコバチ

 ヤブガラシの葉の裏で、ヒラタアブの一種の幼虫に産卵しているトビコバチがいました。以前のブログでも一度紹介したヒラタアブトビコバチ Syrphophagus nigrocyaneus だと思います。


前回見たのと同様に、片方の後脚を持ち上げてその下から産卵管を伸ばしています。

ヒラタアブ幼虫の後端部に移動して再び産卵管を突き刺しますが、刺される方は全く動きません。

産卵姿勢はやはり同じで、産卵管以外、ホストの体には触れていません。余計な刺激を与えるのを避ける為ではないかと推測していますが、真相は如何に。



ヒラタアブの種名は分かりませんが、幼虫の体長は約4.5mm、ハチは1.7mm。刺点を変えながら何度も産卵を繰り返しているようでした。
以前、ヒラタアブの蛹に産卵するのを見たヒラタアブコガネコバチ Pachyneuron groenlandicum は、このヒラタアブトビコバチに2次寄生するそうです。

(2020.11.16・明石公園)

2020年11月20日金曜日

ナカオビキリガ

 これはナカオビキリガ Dryobotodes intermissa だと思います。
コナラの幹にいたのですが、こんなふうにじっと動かずにいてくれるとつい翅の鱗粉をアップで撮りたくなります。





(2020.11.16・明石公園)


2020年11月19日木曜日

ヒゲナガホソクチゾウムシ

 イヌビワの葉裏にいた小さくて真っ黒なゾウムシ。ヒゲナガホソクチゾウムシ Pseudopiezotrachelus placidus で合っていると思います。体長は口吻を除いて約2.3mmです。





(2020.11.16・明石公園)

2020年11月18日水曜日

ヒトスジコガタハネオレバエ?

黄色く色づいたカクレミノの葉の上で交尾していたハネオレバエの一種です。この時期ヤツデやカクレミノでよく見かける種で、以前のブログに掲載した際に、(交尾器を見ないと確定は出来ないが)おそらくヒトスジコガタハネオレバエ(Psila kanmiyai)だろうとのコメントをいただきました。




何枚も撮るうちに嫌がって葉の裏に回り込んでしまいました。
交尾の後、♀はおそらくカクレミノやヤツデの実の近くに産卵するのではないかと推測されますが、まだ現場を見たことがありません。

(2020.11.16・明石公園)

2020年11月17日火曜日

イスノキのヤノイスアブラムシ

 イスノキの葉を見上げると、小さな平べったい虫がたくさん。

一次寄主 二次寄主のコナラから戻って来た、ヤノイスアブラムシ Neothoracaphis yanonis の有翅虫です。

すでに周りにはこれらの有翅虫から生まれたと思われる幼虫も沢山います。

出産が見られないかと探したのですが、どれも腹部が小さくて、すでに終わった後のようでした。

幼虫は小さなもので体長0.5mm前後です。これで1齢でしょうか。干渉色が出ているのか、ワックスが青く光っています。これらの幼虫が成長して無翅卵生虫となり、交尾・産卵するんでしょう。

この時見た一番大きな幼虫(あるいはすでに成虫)で、体長約0.9mm。傍らの脱皮殻にもパイプ状のワックスがそのまま残っていて、やはり青く光っています。

(2020.11.16・明石公園)

ヤノイスアブラムシに関連する記事はこれまでに何度も出しているので、大雑把に生活環を追ってまとめてみました(日付の右は記事のタイトルではありません)。

2018/04/19 イスノキで虫えいを形成し始めた幹母
2013/04/13 同上
2010/05/21 イスノキハタマフシの中の幹母と幼虫たち
2012/10/21 コナラの無翅成虫と有翅幼虫
2019/11/07 コナラでの無翅成虫の出産
2013/12/04 イスノキの有翅虫と無翅卵生虫
2014/01/15 年末までコナラに残っていた有翅幼虫

2020年11月16日月曜日

フジツボ類のノープリウス幼生

 久しぶりに近所の海岸でネットを曳いてきたら、ウジャウジャ入っていました。

フジツボの仲間の、ノープリウス nauplius 幼生です。






動画です。


(2020.11.13・西舞子海岸にて採集)

2020年11月11日水曜日

ノブドウの葉の不明ヨコバイ幼虫

 ノブドウの葉の裏にたくさんいたヨコバイの幼虫です。初めて見たもので、特徴的な外観ですが種名が分かりません。

翅芽が大きいので終齢でしょうか。体長約2.4mmです。


(2020.11.05・明石公園)

2020年11月10日火曜日

Aaroniella sp.(クロフチャタテ科)の奇妙な行動

 先月も出したばかりのクロフチャタテ科 Aaroniella sp.ですが、この日は奇妙な行動を目撃しました。いつ見てもじっと樹幹に張り付いたままほとんど動きのないこのチャタテが4匹、アラカシの幹で追いかけっこをするように活発に歩きまわっていたのです。
翅を震わせながら互いに体を頻繁に接触させるので、最初は求愛・交尾行動かと思ったのですが、よく見ると参加者はすべて♀です。時々1、2匹が圏外に出て一休みしたりすることもありましたが、撮影しながら見ていた約30分の間、同じ場所で休みなくこの行動が続いていました。いつまでも同じ行動を続けているので一旦その場を離れましたが、1時間後にもどって来た時には完全に動きが止まり、4匹すべていつも見るように身じろぎもせずに樹皮に貼り付いていました。あの騒ぎは何だったのでしょうか。

1匹だけ体色がやや白っぽい個体もいますが、すべて♀です(♂は複眼がかなり大きい)。


勢い余って(?)頭上に張り巡らした糸に翅を取られるものもいます。




動画です。手持ちで揺れが激しく、見苦しいのはご勘弁ください。


そして、その場を離れて約1時間後。

4匹とも完全に動きを止めていました。

(2020.11.05・明石公園)



2020年11月9日月曜日

クサギのコナジラミ・羽化

クサギの葉の裏で羽化しているコナジラミを見つけました。
コナジラミの羽化を見るのは初めてですが、見つけた時にはすでにほぼ全身が出てしまっていて、2分もたたないうちに蛹殻を離れて歩きはじめました。残された蛹殻を見ると長い刺毛があって、以前のブログでクサイチゴコナジラミ(Pealius rubi Takahashi,1936)ではないかとしたものと同じかも知れません。







体長はこの状態で約0.85mmです。

蛹の抜け殻は長さ約0.7mm。長い刺毛が見えます。

別の葉にいた成虫です。やはり羽化直後のようで、すでに翅は伸びていますが、まだワックスの白い粉に覆われていません。

(2020.11.05・明石公園)