2023年3月31日金曜日

アベマキ新葉のノミゾウムシ産卵痕

 アベマキの新葉に見覚えのある産卵痕がありました。

矢印の部分で葉の先が少し折れていますが、以前にカシワノミゾウムシがこれと同じ産卵痕を残すのを観察しています(こちら)。ただし今回の方が時期が早く、葉もまだ小さいので同種ではないかも知れません。周囲を探せば産卵痕はたくさん見つかるものの、犯人の姿はありませんでした。いずれにしてもノミゾウ類であることは間違いないと思います。

前回の観察では、まず口吻で穿孔したあと、体を反転して産卵していました。

生れた幼虫はこちらのように葉肉の中で育ちます。

(2023.03.29・明石公園)


2023年3月30日木曜日

コバネヒョウタンナガカメムシ

 石垣の上にいたコバネヒョウタンナガカメムシ Togo hemipterus です。越冬明けの個体でしょう。普通種なのですでに何度も掲載したような気がしていましたが、調べると今回が初出のようです。



(2023.03.25・明石公園)

2023年3月25日土曜日

モチノキハマダラミバエ

 モチノキの幹にきれいなハエがとまっていると思って撮影してみると、モチノキハマダラミバエ Prochetostoma expandens でした。翅の斑紋が非常に薄いので別種のように見えましたが、翅脈や腹部の黒紋などの様子から同種に間違いなさそうです。この種は春に羽化するそうなので、翅の色が薄いのは羽化後間もないせいかもしれません。この公園では、4月末から5月初めにかけて産卵のために特定のモチノキの実に集まるのを観察していますが、年による変動が大きいようで、ここ2年ほどはほとんど見ていませんでした。今年は見られるかと期待しているところですが、どうでしょうか。3年前の産卵の様子はこちらにあります。またこの種の生活史など詳しい情報はこちらをご覧ください。



(2023.03.22・明石公園)

2023年3月24日金曜日

ウヅキコモリグモ

 昨日の記事のナナホシテントウの幼虫や蛹を撮影していた時に、足元の草むらからとび出して石垣に上がってきたウヅキコモリグモ Pardosa astrigera です。すばしこいクモですが、石の間に入りこむ寸前に立ち止まってくれたので何枚か撮ることが出来ました。お尻に卵嚢をつけた♀です。この季節、草地を歩くといくらでも走り回っているのが見られますが、珍しくもない上に逃げ足が速いので、撮影したのは久しぶりです。♀は、卵が孵化した後もしばらくの間小さな子どもたちを背中に乗せて歩き回るそうですが、まだ撮影する機会がありません。




(2023.03.22・明石公園)

2023年3月23日木曜日

蛹化するナナホシテントウの幼虫たち・つづき

 1週間前、たくさんのナナホシテントウの幼虫が蛹化を始めていた石垣を再び見に行きました。

前の記事2枚目と同じ場所です。あちこち歩き回っていた幼虫も多くがすでに蛹になっていました。

早々に羽化した成虫も2,3匹見かけました。

まだ蛹化前の幼虫も。腹端を固定して動かなくなった段階を前蛹と呼ぶそうです。

脱皮を終えたばかりの蛹。体を起こして背伸びするような動作を繰り返します。

仲間の蛹を食っている幼虫もいました。

(2023.03.22・明石公園)

2023年3月19日日曜日

クヌギカメムシ 1齢から2齢への脱皮

 昨年秋に久しぶりに産卵を見たクヌギカメムシの卵は今年の2月11日にはすでに一部が孵化し、3月3日に見た時には1齢から2齢への脱皮が始まっていました。下の写真は3月15日に撮影したもので、2齢から3齢への脱皮の様子です。

これは脱皮前の2齢幼虫。体長1.9mmほどです。

集団のあちこちで脱皮が始まっていました。

2齢に比べると触角がずいぶん長くなっています。

ほぼ全身が出ました。

こちらは別個体。


(2023.03.15・明石公園)

2023年3月18日土曜日

ウスベニスジナミシャク

 アラカシの幹の、日陰側にとまっていたウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans です。越冬明けにしては翅が傷んでいないと思っていたら、早春から4月頃にかけて出現する種なんだそうです。

前翅長約13mmです。




(2023.03.15・明石公園)

2023年3月16日木曜日

蛹化するナナホシテントウの幼虫たち

 4月並みの陽気のもと、南に面した石垣にナナホシテントウ Coccinella septempunctata の幼虫がたくさん集まっていました。すべて終齢のようで、足元の草むらから蛹になるための足場を求めて登ってきたのでしょう。腹端を石の表面に固定し、頭を下にしてぶら下がっているものもいれば、まだうろうろと歩き回っているもの、またすでに変態を終えた蛹もちらほら見えます。下向きにぶら下がったものはときどき体を持ち上げるような動作を繰り返し、今にも最後の脱皮が始まるかと思わせるのですが、たくさんいるわりにはその場面を見ることはできませんでした。







(2023.03.15・明石公園)

2023年3月10日金曜日

モンツキダニ属の一種 Trhypochthonius sp.

 アキニレの若木の、ウロコ状にめくれ上がった樹皮を1枚剥がしてみると、裏側に黄色いダニが密集していました。胴体後方の両側に大きな黒っぽい油腺が透けて見える、モンツキダニ科の一種で、4年前に出したものと同種でしょう。こちらのAclerisさんの記事でモンツキダニ科4属の特徴がまとめられていて、そのうち胴感杯と胴感毛があって背毛が棒状(先が広がらない)なのはモンツキダニ属 Trhypochthonius なのだそうです。それらの特徴が写真から確認できるので、同属と判断しました。

みんな内側に頭を向けて押し合いへし合いしていました。体長は0.6から0.7mmくらいです。

ちょうど裏返しになっていた個体です。生殖門板(中央付近)と肛門板(後部)が見えます。



円い体が光を通すので、上から照明すると下の部分が明るく光ります。

上の写真の一部拡大です。後体部表面の細かな亀甲模様と、単純な棒状の背毛が見えます。

(2023.02.25・神戸市西区伊川)

2023年3月6日月曜日

ムネボソアリの巣

 川の土手に立つムクノキの、地面近くの樹皮をめくってみるとアリの巣が出てきました。突然巣を暴かれて黒っぽいアリが右往左往しています。撮影時はトビイロシワアリと思っていましたが、帰宅して写真をよく見ると違っていました。各部の特徴を調べてみると、ムネボソアリ Temnothorax congruus のようです。樹上性で、枯れ枝などに営巣するそうです。

手前にピンボケで女王が写っているのですが、動き回る働きアリ気をとられて撮影時には気がつきませんでした。






最後にようやく気付いて撮った女王アリです。

(2023.02.25・神戸市西区伊川)

2023年3月3日金曜日

オオバコトビハムシ

 体長1.8mmばかりの微小はハムシです。ケヤキの樹皮下でたくさんのクロハナカメムシや名前の分からない小型のハナカメムシなどと一緒に隠れていました。以前にもやはりケヤキの樹皮下でみつけたことがあって、おそらくオオバコトビハムシ Longitarsus scutellaris だと思っています。ただし同定にはあまり自信がないので、一度食草のオオバコの上にいるところを見たいものです。






(2023.02.25・神戸市西区伊川)

2023年3月1日水曜日

コナチャタテ科 Embidopsocus sp.

 これまでに何度も掲載しているコナチャタテ科 Embidopsocus 属の一種です。いつもの公園の一角にある数本のアキニレの樹皮を捲ると必ず見られたものですが、3年前の記事以来その存在を忘れていました。
久しぶりに探してみると、体長1.6mm前後の成虫からその半分くらいの幼虫までたくさんいました。ただサイズから成虫と見られる個体も多くがまだ白っぽく、本来の体色の出ているものは数えるほどです。樹皮下という環境のせいもあるのかも知れません。
この Embidopsocus はコナチャタテ科の中でも、より原始的な特徴を残し他グループだそうです(こちらの記事への psocodea さんのコメント)。






(2023.02.22・明石公園)