2022年5月31日火曜日

ヌクレアリア(Nuclearia sp.)

 ヌクレアリア Nuclearia というアメーバ状の単細胞生物ですが、いわゆるアメーバ動物(アメーバ動物門 Amoebozoa)ではありません。「プランクトンハンドブック 淡水編」によれば「近年の研究では菌類に近縁であることが示されている」ということで、藻類などを捕食するそうです。近所の川で採取して2週間ほど放置していたサンプルの中で見つけました。

細胞の中心付近にピントを合わせています。目玉焼きのように見えるのが核です。

これは細胞表面で、収縮胞が見えます。

動画です。


(2022.05.06 撮影)

2022年5月30日月曜日

タケノホソクロバ(改題)

* 2022.05.31・タイトル・記事訂正 *

記事を公開して間もなく、明石の蛾達のYAMKENさんからこれはブドウスカシクロバではなくタケノホソクロバ Artona martini であるとご指摘をいただきました。この仲間はいずれの種も藍色の光沢をもっていて、ブドウスカシクロバはそれが体全体に現れもっとはっきりしている、またこの仲間の翅の鱗粉は羽化後に振り除かれるのではなく羽化時のままで、明石付近でYAMKENさんが確認されている中で翅が透かさないのはタケノホソクロバのみ、ということです。タイトルを訂正しておきます。YAMKENさん、ありがとうございました。
なお、調べてみると
以前のブログに同種の幼虫を掲載していました。

昨日の記事のブドウスカシバと紛らわしい和名ですが、これはブドウスカシクロバ Illiberis tenuis だと思います。アケビの葉の上にいました。同属のウメスカシクロバやリンゴハマキクロバも普通種でよく似ていますが、藍色の光沢が強いのでブドウスカシクロバと判断しました。翅全体が不透明で「スカシ」になっていませんが、おそらく羽化直後で鱗粉が落ちていないせいでしょう。前翅長約10mmです。





(2022.05.20・明石公園)

2022年5月29日日曜日

ブドウスカシバ

 公園のエビヅルの葉の間を飛んでいるドロバチ、と思えばスカシバの仲間でした。やがてすぐ隣のクレマチスの蕾にとまったところを撮影、ブドウスカシバ Nokona regalis のようです。有名なブドウの害虫ですが、♀らしいのでエビヅルの枝に産卵しようとしていたのかも知れません。高い位置だったので背面からは撮影できず、すぐにまた飛んで行ってしまいました。



(2022.05.20・明石公園)


2022年5月28日土曜日

アラカシの幹で産卵する Anastatus(ナガコバチ科)

 昨日の記事に出したシロモンコバネナガカメムシを探している間、このナガコバチの一種(Anastatus sp.)を何度も見かけました。こちらこちらのように、昆虫の卵に寄生卵を産みこむ寄生バチです。苔の間や樹皮の割れ目を触角で探りながらうろついているので、おそらくそのような場所に寄主の卵が隠れているんでしょう。今にも目当ての卵を見つけて産卵を始めるのではないかと期待して追いかけましたが、いつまでも歩き回るばかり。音を上げかけた頃、ちょっと目を離した隙に立ち止まって産卵管を突き刺していました。


体長約3.2mm。美しい寄生バチです。


長時間費やした挙句、肝心の産卵シーンはちょっとピンボケでした。こんな場所に卵を産む寄主は何者でしょう。

(2022.05.22・明石公園)

2022年5月27日金曜日

今年も出てきたコバネシロモンハナカメムシ

昨年6月はじめに種名不詳のハナカメムシ幼虫として掲載したものが実は最近記載された新種、コバネシロモンハナカメムシ(Temnostethus mirificus・和名は仮称)だったということは記事に追記した通りですが、同じ場所のアラカシの幹で今年は幼虫・成虫ともに見ることができました。

これは今年初めて見た幼虫。この日、このハナカメムシを探しに他県から来訪された方のお供をすることになったのですが、その方が発見されたものです。体長約2.1mm。この日見付かったのはこの1個体だけでした。(5月7日)

約2週間後に見に行くと、すでに成虫が出てきていました。口吻で苔や地衣類の間を探りながら足早に歩き回ります。体長は約2.4mm。

ときどき、餌を見つけたのか口吻を差し込んだまま長い間じっとしていることがあります。何を食べているのか分かりませんが、先に触れた他県からのお客様との話の中で昆虫の卵のようなものではないかという推測が出ました。そうであればこの行動の説明もつくし、また今回このハナカメムシを探している間に同じ場所を卵寄生のナガコバチ(Anastatus sp. )が徘徊しているのを何度か見かけているので、可能性はありそうです。

この幼虫はおそらく終齢でしょう。成虫と変わらない大きさです。


 
動きも成虫と同じで、ときおり動きを止めて口吻を差し込んだままじっとしています。

体長1.6mmほどの若齢幼虫もいました。(以上2-6枚目:5月20日)

その2日後、成虫や終齢幼虫の他に羽化直後の成虫を見つけました。この状態では体長が2.8mmほどもあります。外骨格が固まるまで腹節間の膜が伸びているんでしょう。美しい色彩なので羽化途上のものがいないか探しましたが、見つかりませんでした。(5月22日)

(2022.05.07,20,22・明石公園)

2022年5月25日水曜日

ヒゲナガハナノミ♀

 ノゲシ(あるいはオニノゲシ?)に来ていた♀のヒゲナガハナノミ Paralichas pectinatus です。以前はこの公園でもよく見かけたのですが、ここしばらく撮影の機会がありませんでした。体長は約12mm。大量に繁殖したアブラムシの甘露が目当てだったようです。






(2022.05.20・明石公園)

2022年5月24日火曜日

セグロアシナガバチ肉団子づくり

 街灯の支柱にとまって肉団子を作っていたセグロアシナガバチ Polistes jokahamae です。この時期ですから越冬した女王かも知れません。見つけた時には獲物はすでに見る影もなく噛み潰されていましたが、鱗翅目の幼虫だと思います。数枚撮ると飛んで行ってしまいました。



(2022.05.18・明石公園)

2022年5月23日月曜日

バラハタマフシに産卵するタマバチ

 ノイバラの葉に出来たバラハタマフシと思われる虫こぶに、小さなタマバチが産卵していました。バラハタマフシを作るのはバラハタマバチというタマバチだそうですが、その虫こぶに産卵しているのは何者でしょうか。手元の「虫こぶハンドブック」によれば、この虫こぶで「突起が長く星状になるものには寄居蜂が見られることが多い」とあります。「寄居」とは平たく言えば居候のことだと思いますが、このタマバチもその一種なんでしょう。産卵されている虫こぶもやがて「星状」になるのかも知れません。この日は等倍マクロしか持っていなくて、タマバチのアップが撮れませんでした。

3個の虫こぶのうち一番小さなものに産卵しています。

葉をつまむと真ん中の虫こぶが脱落してしまいました。ハチが産卵している虫こぶは直径約5mmです。

(2022.05.18・神戸市西区伊川)

2022年5月22日日曜日

オフリオグレナ(Ophryoglena sp.)

これはオフリオグレナ Ophryoglena という繊毛虫です。観察を始めた時はゾウリムシに似た細長い形だったのですが撮影するに泳ぐのが速すぎ、やがて動きが遅くなった時には下のようにずんぐりした形になってしまいました。

細胞口が右上に見えます。「淡水微生物図鑑」の説明には「口部域はLieberkuhn(凹面反射鏡)、または時計皿と呼ばれる独特の構造を持つ」とあります。

細胞中心付近にピントを合わせていて、口部域の断面が見えています。中央に大きな液胞(?)ができているのは細胞が弱ってきているせいかもしれません。

棒状の大核が見えます。


動画です。


(2022.04.26・神戸市西区伊川にて採集)

2022年5月21日土曜日

ノコギリカメムシ

 ここ数年見る機会のなかったノコギリカメムシ Megymenum gracilicorne ですが、虫撮り仲間に居場所を教えて貰って久しぶりに撮影することができました。カラスウリと思われる蔓につかまっているのですが、あまり協力的ではなくて近づくとすぐに裏側にまわってしまいます。全身枯葉色の地味な装束に触角の先だけ赤くて目立つのは、何か意味があるんでしょうか。




(2022.05.17・明石公園)

2022年5月20日金曜日

クロマルカスミカメ

 河川敷の草むらにいたクロマルカスミカメ Orthocephalus funestus です。♀は短翅で和名のごとくずんぐりした体形をしているようですが、まだ見たことがありません。これは♂で、体長(翅端まで)約6.4mmです。




(2022.05.18・神戸市西区伊川)

2022年5月18日水曜日

ショウリョウバッタの幼虫

ショウリョウバッタの小さな幼虫がいました。体長は10mmほどで、初齢ではないかと思います。周りを探すと、同腹の兄弟と思われる同じサイズの幼虫が2~3匹見つかりました。

(2022.05.15・明石公園)

2022年5月16日月曜日

ヨコヅナサシガメの羽化

 いつもの公園ではここ数年でずいぶん数が減ったヨコヅナサシガメですが、この日久しぶりに羽化を見ることができました。










(2022.05.07・明石公園)

2022年5月15日日曜日

ニレハバチ

 アキニレの葉に赤黒のコントラストが目立つハバチがとまっていました。ニレチュウレンジ Arge captiva だと思います。幼虫はハルニレやアキニレを食害するそうです。体長は12mmくらいで、よく太ったお腹をしているので産卵に来た♀かも知れません。何枚か撮っただけで逃げられてしまいました。



(2022.05.05・神戸市西区伊川)

2022年5月14日土曜日

アキニレハフクロフシとアキニレヨスジワタムシ

 アキニレの葉に、たくさんの虫こぶができていました。以前のブログにも出していますが、アキニレハフクロフシだと思います。


一つ割ってみました。中にアブラムシが見えます。

アキニレハフクロフシを作るのはアキニレヨスジワタムシ Tetraneura akinire です。これが幹母でしょう。体長約1.2mm。

体長0.7~0.9mmくらいの幼虫たちは背中から白いワックスを生やしています。まだちょと貧弱ですが、これからもっと“ワタムシ”らしくなるんでしょうね。

(2022.05.05・神戸市西区伊川)