2024年11月30日土曜日

クヌギハケタマフシに産卵するオナガコバチ科の一種(Torymus sp.)

 アベマキの葉裏に出来たクヌギハケタマフシに、金属光沢に輝く美しいオナガコバチが産卵していました。大きさや体色の異なる2種がいて、どちらも以前コナラの枝先のナラメリンゴフシに産卵していた種によく似ています。おそらくTorymus 属ではないかと思いますが、確かではありません。同じ虫こぶに産卵するハチとしては、この秋だけでイソウロウタマバチカタビロコバチナガコバチに続いて4種目ですが、一種類の虫こぶがずいぶん多種類のハチに狙われるものです。

これは小型の種で、体長約3mm。虫こぶに口をつけたまましばらくじっとしていました。

同種と思われる別個体が産卵中。

上に同じ。

若干赤みが強い体色ですが、これも同種と思われます。

気がつけば、背面をほとんど撮っていませんでした。

こちらは大型種で、体長約4mm。1匹しか見つかりませんでした。

産卵を始めます。

産卵管を引き寄せて、

背伸びをしながら虫こぶに突き立て、

穿孔が始まると鞘が離れ、産卵管が虫こぶに挿入されていきます。

虫こぶは固そうに見えますが、意外に易々と入っていくようです。


(2024.11.20・明石公園)


2024年11月28日木曜日

シンジュキノカワガ・繭づくり

 クスノキの幹でシンジュキノカワガの幼虫が繭を作りはじめていました。
虫仲間に教えられて最初にこの幼虫を見たのは9月の初めで、すでにその時にもいくつかの繭が見つかっていたのですが、11月半ばも過ぎてまだ活動していることに驚きました。前回幼虫を見た数本の細いシンジュには幼虫もまだ数匹残っていて、繭を作っていたクスノキはそこから園路をはさんで10mばかり離れた場所です。

朝の9時過ぎ、地上1mちょっとの高さです。場所を決めたばかりのようで、周囲の樹皮をせっせと齧っていましたが、まだ繭らしい構造はまだほとんど見えません。幼虫の体長は約38mmです。

昼過ぎに見に来ても仕事はほとんど進んでいませんでした。

翌日、やはり9時過ぎに現場を訪れると、繭はほとんど完成していて(左下)、すぐ隣で別の幼虫が新たに工事を始めていました。

木屑を綴り合せた繭の、中心線上の細い隙間から幼虫の体が覗いています。

最後の仕上げをする幼虫の顔が見えます。

最後は隙間の左右を引き寄せて閉じるようです。

新たに来た方の繭はすでに左右の壁がだいぶ出来上がっていて、その間から身を乗り出して繭の材料を集めています。


材料の節約のためかかなり隙間の多い造りです。


樹皮から小さなかけらを齧りとっては繭の壁に付け加えていくという作業の繰り返しですが、かなり動きが素早くてここぞという瞬間がなかなか撮れません。

最初は1、2時間で仕事を終えそうな勢いだったのですが、たびたび長い休止が入るので思ったほどには捗らず、完成を見届けるのはあきらめました。

これは最初の繭、午後2時前の状態です。

元のシンジュの木には緑の葉も残り少なくなっていましたが、まだ数匹の幼虫が頑張っていました。
この季節に蛹化したものがいつごろ羽化するのか気になるところですが、ネット上では今年も各地でこの蛾の大発生が報告されていて、従来日本では越冬できないと言われていたのも怪しくなってきているようです。

(2024.11.19~20・明石公園)

2024年11月25日月曜日

キクグンバイ

 普段から好んで撮っている小さな虫の中でもグンバイムシ類は特にお気に入りですが、このキクグンバイ Galeatus spinifrons は初めてです。キクの害虫として知られていて、ヨモギ類にもつくということですが、なぜかこれまで見る機会がありませんでした。
いつもの虫仲間がノジギクの花壇で見つけた1匹を撮らせてもらったのですが、1匹いたのだからまだまだ他にもいるだろうと思ってその場では数枚撮っただけで済ませたのが間違いで、後で戻ってきて探しまわっても1匹も見つかりませんでした。折から公園内の別の場所で菊花展が開かれていたので、そこから偶然飛来した個体だったのかもしれません。
翅端まで3mmばかりの小さな虫ですが、その造形には驚かされます。



(2024.11.19・明石公園)

2024年11月23日土曜日

ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula

 以前にはこの公園でも冬場に木の葉をめくって歩くといろいろなコバチ類が見つかったものですが、10年ばかり前からそれが急激に少なくなってしまいました。はじめの2~3年は年による変動くらいに思っていたのですが、以後毎年減り続ける一方で一向に回復の兆しはありません。もちろんコバチに限らずほとんどの昆虫が種数、個体数ともに減ってきているのですが、冬場の虫探しの大きな楽しみだっただけに全く残念です。
この ヒメコバチ科 Sympiesis hirticula Kamijo, 1976 も以前ならごく普通に見られたコバチの一つですが、この日見つけたのは久しぶりです。1枚のイスノキの葉の裏に6匹も集まっていたので、同じ寄主から羽化してきた兄弟姉妹ではないかと思いましたが、周囲を探してもそれらしい残骸は見つかりませんでした。
この種の特徴や判別点については、記載された上條先生からいただいたコメントがこちらの記事にあります。その記事に深度合成画像を載せた個体は♀と判定していただきましたが、BABAさんの記事では♂の深度合成画像が見られます。やはり上條先生からのコメントによれば、この種は腹部の形以外に外見上の雌雄差がほとんどないそうです。








(2024.11.07・明石公園)

2024年11月20日水曜日

クモヘリカメムシ 越冬前?集団

 先日も出したばかりのクモヘリカメムシですが、いつもの公園では今年は例年になく数が多かったような気がします。草むらを歩く足元から次々とび出してくるというような光景はさすがに11月に入るとあまり見られなくなりましたが、あちこちの木の葉の裏でじっとしているのが目につき、さらに写真のように多数の個体がクワの葉の間に集まっているのを見つけました。この場所でこのまま冬を越すわけではないと思いますが、これも越冬の準備かも知れません。

枝の入り組んだ場所にいたので一部しか画面に入っていませんが、全部で10匹くらいいたようです。

(2024.11.07・明石公園)


2024年11月18日月曜日

トゲナシミズアブ属の一種(Allognosta SP.)

 銅色に輝く、体長16mmほどのミズアブ科の一種です。トウネズミモチの葉にとまっていました。翅脈や小楯板に棘がないことから、トゲナシミズアブ属(Allognosta)だと思います。翅がやや白濁していて翅脈の色も薄いので、羽化後間もない個体かも知れません。それでも、葉をつまんで正面から撮ろうとすると飛んで逃げて行ってしまいました。





(2024.10.31・明石公園)


2024年11月15日金曜日

クロフチャタテ科 Aaroniella sp.

 久しぶりに見つけたクロフチャタテ科 Aaroniella 属の一種です。エノキの幹に1匹づつ、お互いにかなり離れて静止していました。同じように木の幹に住むチャタテでもイダテンチャタテなどは近づくと逃げ回るのですぐ目につきますが、このクロフチャタテの仲間はほとんど動かず、樹皮に溶け込む体色ともあいまってなかなか見つけにくいチャタテです。季節のせいか、この日見たのはすべて成虫でした。写真はそれぞれ別個体です。

頭上には縦横に粗く糸を張っています。イダテンチャタテでも若齢幼虫は同じように糸を張りますが、成虫でそれが見られるのは、このあたりの樹幹で見つかるチャタテではこの種だけだと思います。特に多数が群れているところではそれが天幕のようになって、光の加減でうっすらと光って所在が知れることがあります。


頭の先から翅の先まで約3mmです。

(2024.11.07・明石公園)

2024年11月14日木曜日

ササの葉のスゴモリハダニ

 先日の記事でヒメハダニカブリケシハネカクシが狙っていた、ササの葉に寄生しているスゴモリハダニ属の一種です。以前にも同じものを出しているので今回はササの葉ごと自宅に持ち帰り、生物顕微鏡の透過光で撮ってみました。



(2024.10.18・明石公園)

2024年11月12日火曜日

ササの葉のヒメハダニカブリケシハネカクシ

 スゴモリハダニ(Stigmaeopsis 属)に寄生されて独特の白い筋が入ったササの葉を、日の光に透かしてルーペで眺めていると、大きな黒い影が視野を横切っていきます。追いかけてよく見ると、ハダニ食いのヒメハダニカブリケシハネカクシ Oligota kashmirica でした。体長1.2mmばかりのハネカクシで、ササの葉で見たのは初めてです。お尻を上げた姿勢で葉面を歩き回るのを、捕食行動を期待してしばらく見ていましたが、それらしい場面を撮れたのは一度だけでした。レンズに追い回されて食事どころではなかったのかもしれません。撮影後、まわりの同じような白い斑入りのササの葉を調べるとかなり高い確率で見つかりました。

天幕の外に出てきていたハダニを捕らえたようです。

あとはひたすら歩き回るばかりでした。



(2024.10.10・明石公園)

2024年11月10日日曜日

キボシチビヒラタムシ♂

 絡み合ったクズの蔓をかき分けていると、ちょっと格好の良い甲虫が見つかりました。ヒラタムシの仲間で、体形はオオキバチビヒラタムシの♂に似ていますが、やや大きくて翅に目立つ紋があります。保育社の甲虫図鑑で調べると、オオキバとは別属のキボシチビヒラタムシ Laemophloeus submonilis でした。♂の前胸背板と頭部は幅広い、とあるのでこれも♂でしょう。普通は朽木や樹皮下で見つかる仲間なので、こんな場所にいたのが不思議です。体長は、大あごの先までで約4.5mmです。






(2024.10.10・明石公園)