2020年8月1日土曜日

ナベカムリ3種(Arcella spp.)

水田で採ってきた水の中にいたナベカムリ(Arcella)の仲間です。

その1

殻の形がきれいな円形ではなく、70X80μmほどの少しいびつな楕円形です。こういう厚みのあるサンプルを検鏡する際には、押しつぶさないようにカバーガラスの下に適当な下駄を履かせて間隔を保っているのですが、このナベカムリは開口部を下に向けてスライドガラス上を這っているので、仮足にピントを合わせるためには作動距離の小さな高倍率の対物レンズが使えません。

殻の色が薄いので内部の様子がよく見えます。開口部の周囲の緑色の粒は取り込んだ餌(小型のミドリムシ?)でしょうか。


その2

これは開口部を上に向けてカバーガラスにくっついています。遠慮がちに仮足を伸ばしますがあまり動いてくれませんでした。殻は円形で直径約70μm。規則正しい網目模様が見えます。


その3

殻形約80μm。「その2」と似ていますが、殻は網目ではなく皺状の模様に覆われているので別種でしょう。これもカバーガラスの下面を、盛んに仮足を出して這っていました。


(2020.06.26・神戸市西区の水田にて採集)

2020年7月30日木曜日

アシダカグモ

切り株の穴から覗く毛むくじゃらの長い脚。

こわごわ覗き込むと、

やっぱりこの人、アシダカグモ Heteropoda venatoria でした。

撮影倍率から割り出すと体長約27mm。♀のようです。

折角の機会なので脚先のアップでも撮っておこうと、穴の中のクモから見えないようにしながら2、3枚シャッターを切ったところで引っ込んでしまいました。

(2020.07.20・明石公園)


2020年7月29日水曜日

コカブトムシ

いつもの公園で、たまにひょっこり出会うコカブトムシ Eophileurus chinensis chinensis です。体長約20mmの♂で、アベマキの木の根方を歩いていました。






(2020.07.18・明石公園)

2020年7月27日月曜日

テングイラガの幼虫

サクラの葉裏にくっついていたテングイラガ Microleon longipalpis の幼虫です。ただし、現在この名で呼ばれているものには数種が含まれていて、まだ整理されていないそうです。

体長は約7mm。成長すると9mmか10mmになるそうなので、終齢ではないかも知れません。

背面左右の稜線にそって規則正しく刺毛が並んでいます。


顔を覗き込んでみましたが、どこに眼があるのやら、よく分かりません。

刺毛の先端は鋭く尖っていて、これなら軽く触れただけでも突き刺さりそうです。非常に痛いそうですが、幸いまだその経験はありません。

(2020.07.18・明石公園)





2020年7月26日日曜日

ナガコバチ科 Anastatus sp. とキマダラカメムシの卵

この公園でも今話題のクビアカツヤカミキリの被害が出ているんでしょうか、1本のサクラの幹に樹脂製のネットが巻き付けられていて、そのネットにカメムシの卵がくっついていました。そしてその上にはお馴染みのナガコバチが。

卵は、その色や大きさからキマダラカメムシのもので間違いないでしょう。そしてその上にとまっているハチはナガコバチ科 Anastatus 属の一種の♀のようです。

体長は約3mm。昆虫の卵で育つ寄生バチで、産卵のために来たものでしょう。以前、もっと小さなカメムシ卵からこの Anastatus の♂ばかりが羽化してくるのを見たことがありますが、このキマダラカメムシの卵なら♀が育つのに充分な大きさがありそうです。

産卵シーンを期待してしばらく見ていましたがそのような動きは見せず、やがてネットの裏に回ってしまいました。

しばし待ってから弛んだネットをそっと持ち上げて覗き込んでみましたが、やはり何かを待っているようにじっと静止したままです。仕方なく一旦その場を離れ、1時間ほど後に戻ってみるとハチは姿を消していました。すでに産卵を終えていたのか、何らかの理由で産卵できなかったのか、どちらかなのでしょう。

(2020.07.18・明石公園)




2020年7月21日火曜日

イヌビワに集まるイヌビワオナガコバチ

たくさんの実(果嚢)をつけたイヌビワがあったので近づいてよく目を凝らすと、多くの実に1匹から2~3匹のイヌビワオナガコバチ Goniogaster inubiae がとまっていました。

ほんとに小さなハチで、久しぶりに見ると老眼が更に進んだ気にさせられます。

後方にまっすぐ伸びているのは産卵管鞘で、その中ほどから実に向かっている細い糸のようなものが産卵管です。

産卵管がほぼ付け根まで挿入されました。

全身金属光沢を纏った美しい昆虫です。

こちらは別個体で、産卵管を引き抜いたところ。再び鞘に収めるために後脚でしごいています。

手前の葉がレンズにかぶってしまいました。

同じような姿勢ですが、こちらはこれから産卵というところ。

所定の位置に産卵管の先端が刺さると、こちらのように後ずさりしながら挿入していきます。

大顎が二股のフォークのような形です。

(2020.07.18・明石公園)

このハチと、その宿主とされるイヌビワコバチについては以前のブログで何度か取り上げています。主なものは下のとおり。



2020年7月20日月曜日

ゴニウムの一種(Gonium sp.)

水田で採集したゴニウム Gonium の一種です。ユードリナやパンドナと同じくボルボックスの仲間の緑藻類ですが、それらと異なり群体を構成する細胞がすべて同じ平面上に並んでいます。和名はヒラタヒゲマワリ。図鑑やネット上で見られる画像では細胞数16のものがほとんどですが、8、あるいは32個の群体もあるそうです。

これはあまり動かずにいてくれた16細胞の群体です。外側を向いた眼点や、中心付近にあるピレノイドがよく見えます。以下、倍率はすべて同じです。

上と同じで、少しピントをずらせて撮影。鞭毛や収縮胞が確認できますが、内側の細胞には鞭毛が無いように見えます。

こちらはやや小型で、激しく動きまわっていました。

外周の細胞列に隙間が、と思って数えてみると細胞が15個しかありません。大量に行き交うミドリムシの間で交通事故にでも会ったのでしょうか。

やはり、内側の細胞には鞭毛が見えません。

動画は、3~5枚目の群体を撮ったものです。


(2020.6.26・神戸市西区の水田にて採集)