2019年12月26日木曜日

ゴンフォネマ、アクナンティディウム・他

糸状藻に付着していた珪藻の群体です。

低倍率暗視野で眺めるとキラキラ輝いてなかなかきれいです。

枝分かれした柄(粘液柄と呼ぶそうです)の先に楔形の細胞がついています。ゴンフォネマ Gomphonema の一種だと思います。


角度によって殻の形がずいぶん違って見えます。画面下の大型の個体は別種のようです。

これもゴンフォネマだと思いますが、やや大型です。

たくさん散らばっている小さいのはアクナンティディウム(Achnanthidium sp.)でしょう。

ゴンフォネマ、アクナンティディウムの他に少なくとももう一種はいるようですが、所属が分かりません。

(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)


2019年12月25日水曜日

アミメアザミウマ亜科の一種(?Anisopilothrips venustulus)

このアザミウマも以前のブログで掲載済みですが、久しぶりに撮影したので再登場です。先日出した Astrothrips aucubae とよく似ていて、同じような場所にいたこともあって初めて見た時は同種と思ったくらいですが、ezo-aphidさんから Anisopilothrips venustulus の特徴に一致する点が多いとのご意見をいただきました。こちらで標本画像を見ることが出来ます。
 Astrothrips aucubae よりやや小型で、腹部を弓なりに持ち上げた姿勢が特徴的です。

ヤツデの葉裏にいました。体長約1mm。

撮影を開始するとおもむろに身繕いをしはじめて、後脚をこすり合わせたり、

背伸び(?)をしたりしていましたが、

これが通常の静止姿勢です。

正面を向いた単眼が目立ちますが、Astrothrips aucubae のような頭部の出っ張りはありません。

(2019.12.13・明石公園)

2019年12月23日月曜日

遊走子を放出するサヤミドロ

先日出したマルサヤワムシを眺めていた際、同じプレパラートの中をこんなものが泳ぎ回っているのに気づきました。

葉緑体を持っているようですが、一端の白く膨らんだ部分の周囲に生えた繊毛を動かして泳いでいます。しかも、探せば他にも同じものがいくつか見つかりました。最初に見た時に確かにこんなものはいなかったはずなのに、と首をひねりましたが、やがて一緒に封入したサヤミドロ(Oedogonium sp.)が放出した遊走子だということが分かりました。
放出はその後も続いて、何度かその瞬間を見ることが出来ました。以下、放出の過程です。

放出直前の細胞。通常の糸状細胞と同じように見えますが、右上端の色が濃くなっています。

突然、二つの細胞の間が折れるように曲がって、下の細胞の内容物が外に出てきます。



出てきた遊走子は透明の袋に包まれています。

まだ袋に包まれていますが、すでに一端に繊毛環が出来ていて、盛んに動かしています。

やがて袋から出て泳ぎ出した遊走子は最初の写真で見た細長いひょうたん型になり、適当な場所を見つけて着生するのだろうと思います。

動画も撮りました。時間がかかるので8倍速に編集しています。

「サヤミドロ属に基づくサヤミドロ科藻類の観察と研究」(山岸高旺・斎藤栄三)という論文(こちらでダウンロードできます)に、「採集材料をシャーレ内に入れておくと、翌日くらいには、いっせいに遊走子を放出して水面に浮かんだり、シャーレ内壁の水面の位置近く付着して、数日中には、それらが糸状体に発育してくるのが見られる。採集材料をシャーレ内などに入れると、なぜ、すぐに遊走子を放出するのか、その理由はわからない。」とあります。今回の、水でプレパラートに封入したサヤミドロも同様の状態だったのでしょう。

何度かの放出場面を写真や動画に撮っている間に、カバーガラスの下は遊走子で一杯になっていました。

遊走子の放出はサヤミドロ類が行う無性生殖の手段ですが、他にもいくつかの方法による無性生殖が知られていて、また有性生殖も行うそうです。

(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)

2019年12月22日日曜日

ヤマギシモリノキモグリバエ

いつもの公園を歩き廻ってもさっぱり収穫がないので、マテバシイの葉に集まっていたヤマギシモリノキモグリバエ Rhodesiella yamagishii を捕まえて深度合成の練習台になってもらいました。
このハエの深度合成画像は数年前にすでにBABAさんが素晴らしいものを掲載されているのですが、練習中ということでご勘弁ください。




頭の後ろにダニが数匹ついていました。

ダニの種類は見当がつきません。

(2019.12.03・学が丘北公園にて採集)

2019年12月19日木曜日

アザミウマ科 Astrothrips aucubae

ヤツデの葉裏で久しぶりに見たアザミウマ。以前のブログにも掲載した、アザミウマ科・アミメアザミウマ亜科の Astrothrips aucubae Kurosawa だと思います。


体長約1.2mm。頭部にトサカのような出っ張りがあるのが特徴です。

正面から撮りたかったのですが歩きまわるのでタイミングが合いません。深度合成の練習用にと持ち帰りました。






レタッチが面倒で、なかなかすっきりした画像になりません。練習を重ねるしかありませんね。
なお、この種については時鳥庵晴耕雨読に紹介されています。

(2019.12.03・学が丘北公園)

2019年12月18日水曜日

マルサヤワムシ科 Beauchampia crucigera

このワムシは以前のブログでヒルガタワムシ目の一種として掲載していたものですが、これとよく似たワムシの画像がマルサヤワムシ科の crucigera (Dutrochet, 1812)としてネット上で見られることを最近になって知りました。それらはすべて海外ものですがいくつものサイトに画像が掲載されていて、同種として間違いないと思います。
このワムシを最初に見た時は長い巣(管室)に収まっていることからマルサヤワムシ科と考えたのですが、手元の図鑑のマルサヤワムシ科の項にはこれほど長い背触手を持つ種の記載はなく、同じ特徴を持つ種が含まれるヒルガタワムシの仲間と判断していた次第です。

非常に長い足を持つワムシで、この個体で全長0.8mmほどにもなります。驚くと管室の中に引っ込んでしまいます。


輪盤(周囲に繊毛の生えた部分)のすぐ下に細かな縞模様が見えますが、動画ではこの縞模様が波のように移動して行くのが見られます。何の器官でしょうか。

長い背触手。

ワムシの繊毛の動きはきれいですね。

動画です。


(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)

2019年12月17日火曜日

シカクミジンコ?(?Alona quadrangularis)

やや小型の、左右に扁平で赤みがかった殻を持つミジンコです。最近ようやく購入した「日本産ミジンコ図鑑」で調べると、写真で確認できる限りの特徴はシカクミジンコ Alona quadrangularis に一致するのですが、ただ一点、説明文にある殻の「背縁に平行した明瞭な縞模様」が確認できません。他の Alona 属やマルミジンコ科にひとわたり目を通しましたが、より特徴の一致する種は無さそうなので、とりあえず疑問符付きでシカクミジンコの名を挙げておきます。


暗視野で。

殻面にピントを合わせても縞模様が見えません。

頭部です。二つの黒い円い点は左が複眼、右が単眼、吻の下に半円形に張り出しているのは唇片です。

後腹部。黒っぽい大きな爪が尾爪、その基部から出ている小さい爪が基刺、下面に鋸の歯のように並んでいるのが肛刺・側刺です。このあたりの形状や数が同定のための重要なポイントですが、写真はピントが浅いので何枚か撮って見比べないとなかなか全ての特徴は確認できません。

(2019.11.25・明石公園 桜堀にて採集)