2020年5月26日火曜日

ヒョウタンカスミカメの一種・幼虫

生け垣のシャリンバイで、葉裏のサツマキジラミを眺めていたらこの幼虫が見つかりました。ヒョウタンカスミカメの一種だと思います。
体長は1.4mm足らずで、2齢あたりでしょうか。ここから成虫の姿を推測するのは難しいですが、この季節、別の場所のシャリンバイにホソヒョウタンカスミカメ Pilophorus erraticus が多数集まっているのを見ているので、この種かも知れません。




この仲間は捕食専門かと思っていましたが、ここでは葉から樹液を吸っているようです。

(2020.05.14・明石公園)

2020年5月24日日曜日

コリケウス科 Corycaeus affinis と付着珪藻(改題)

* 2020.12.31・追記とタイトル変更 *

このカイアシ類について、匿名の方から Corycaeus affinis という種名を教えていただきました。大きなレンズ眼は水中の光の度合いを識別し、位置する水深を決定する点が示唆されているそうです。また付着珪藻は交尾抱接時に珪藻は他個体に付着し、移動するとのことです。タイトルを修正して種名を掲げておきます。

頭部にある巨大なレンズ眼が特徴のカイアシ類、コリケウス科(Corycaeidae)の一種で、メガネケンミジンコという和名が付いています。
以前のブログにも何度か出していますが(2012.03.15,2013.02.18,2015.04.05)おそらくすべて同種でしょう。体の幅よりも高さの方が大きいので、カバーガラスの下に封入すると横向きになってしまい、背面あるいは腹面から見ることが難しく、今回は側面の写真しか撮れませんでした(2015年の記事には背面観も出しています)。

付属肢や後体部についている黄色いバナナ状のものは付着珪藻です。

この大きなレンズは一体どんな像を結ぶんでしょうか。

この大きな眼を一度正面から撮影したいと考えているのですが、良い方法が思い浮かびません。


付着している珪藻は羽状目の Pseudohimantidium pacificum という、浮遊性カイアシ類専門に寄生付着する種だと思います。

(2020.04.24・西舞子海岸にて採集)


2020年5月23日土曜日

プレウロシグマ属の一種(Pleurosigma sp.)

プレウロシグマ Pleurosigma はかつて顕微鏡レンズの分解能をテストするのにその殻の条線が使われていたそうで、メガネケイソウの名があります。これは生きた細胞なのできちんと処理した被殻標本のようには明瞭ではありませんが、その条線が見えています。

偏斜照明で、細胞表面付近にピントを合わせています。

内部には葉緑体が詰まっています。

核は中央にあります。

中央部を拡大。


(2020.04.24・西舞子海岸にて採集)


2020年5月22日金曜日

タイワントガリキジラミ1齢幼虫

この3月から4月にかけて、タイワントガリキジラミ Trioza formosana の終齢幼虫新成虫の羽化を見たモチノキに新葉が出そろっていて、裏返してみるとすでにあちらこちらに1齢幼虫がついていました。

幼虫が定着した場所は葉面がすでに少し凹んでいます。

体長は0.3~0.4mmくらいで、同属のカシトガリキジラミクストガリキジラミの1齢幼虫とよく似ています。




寄生された葉の表面には幼虫が成長するにつれ真っ黒な染みが拡がってきますが、まだこの段階ではやや白っぽいわずかな隆起が見られるだけです。

このタイワントガリキジラミに関しては、以前のブログでも成虫幼虫の脱皮、などの記事を出しています。

(2020.05.14・明石公園)


2020年5月21日木曜日

アワフキ幼虫の泡

アラカシの葉を捲ってみると、アワフキ幼虫の泡の巣が。

中に幼虫の赤い色が見えます。多分シロオビアワフキでしょうね。傍らでタマバチが死んでいますが、本題には関係ありません。

この泡が、よく見ると大変面白いのです。

一つの泡の中にたくさんの小さな泡。どんな仕組みでこういう泡が出来るんでしょうか。

(2020.05.02・明石公園)


2020年5月20日水曜日

マスダアラカシタマバチ 単性世代(その3)および別種のタマバチ

アラカシの雌花の花芽に産卵するマスダアラカシタマバチ単性世代を見てから約1週間後、同じ場所ですでに花が開き子房が膨らんだ雌花に産卵している個体がいました。
この日は同じ種は他に見当たらず、この個体だけ羽化が遅れていたのかも知れません。ただ、前の記事でも参照した TAMABACHI JOHO-KAN を見るとマスダアラカシタマバチの両性世代が出現する(つまり単性世代の産卵によって作られる)虫こぶ(カシメフクレタマフシ)はアラカシの冬芽に形成されるもののようです。とすれば雌花に産卵するというのは理解に苦しみます。



時期と堅果の成長段階は異なりますが、産卵部位は9月頃にドングリに産卵するタマバチ(?Synergus itoensis アラカシミイソウロウタマバチ)と同じように見えます。

上の写真からさらに約一週間後、やはり同じアラカシの雌花に産卵している別種のタマバチを数匹見かけました。写真を見ただけでもマスダアラカシタマバチともアラカシミイソウロウタマバチとも違う種であることは確かだと思いますが、これが虫こぶ形成者なのか、それとも同居者あるいは寄生者なのか分かりません。


これも産卵部位は同じです。



枝に産卵しているものもいました。

アップで撮れなかったので同種かどうかは分かりませんが、マスダアラカシタマバチではなさそうです。

(2020.05.08/16・明石公園)




2020年5月19日火曜日

カシエダフクレズイフシとカタビロコバチの一種(Sycophila sp.)

先日のマスダアラカシタマバチ単性世代の産卵を見てから十日あまり後、それらのハチが出たと思われる多数の脱出口の開いた枝(カシエダフクレズイフシ)に小さなカタビロコバチが来ていました。2匹の♂が、枝に開いた穴から顔を出した♀の脱出を待っているようです。おそらくSycophila 属の一種で、キイロカタビロコバチ S. variegata かも知れません。
カタビロコバチ科では多くの種が虫こぶを作る昆虫に寄生、あるいは同居することが知られていて、以前のブログでも何度か、この仲間が虫こぶなどに産卵する様子を掲載しています(2012.10.15,2012.10.23,2013.08.24,2016.10.22,2017.06.02)。
おそらくこのカタビロコバチもマスダアラカシタマバチの寄生者、または同居者なのではないかと思います。是非♀の誕生の瞬間を見たいと思い長い間待っていたのですが、ちょっと目を離したすきに穴から出てきて♂とともに消えてしまいました。

2匹の♂はこういう状況で見ない限り同種とは思えないほど体色が違います。やはりこの種もニッポンオナガコバチ♂のように、大型になるほど黒色部が広くなる傾向があるんでしょうか。




こちらのような場面を期待したのですが、今回は叶いませんでした。

(2020.05.14・明石公園)