クサギの葉裏にとまっていた綺麗な緑色の虫にレンズを向けてみると、
昨年9月に初めて見たアマクサキジラミ Cacopsylla amakusensis でした。これは80年も前に記載されて以来数えるほどしか採集例がなく、その幼虫もホストも未確認のままだったのを、2014年に
BABAさんがモッコクで繁殖しているのを発見し、その謎が一挙に解決されたといういわくつきの珍種です。
私にとっては2匹目の貴重な成虫だったのですが、1回シャッターを切った後倍率が高すぎることに気づきカメラの調整をしている間に逃げられてしまったのでした。それでも辛うじて特徴的な白い顔面が見えます。尾端の形は♀でしょう。
慌てて周囲を見回すとホストのモッコクが1本、しかし枝が高すぎて何も見えません。そこでもっと手頃な木が数本ある場所へ探しに出かけました。
そして手の届く範囲の新葉を探すと、多くはありませんが幼虫が見つかりました。大量のワックスを出していて、BABAさんの撮影されたものと見比べるとアマクサキジラミの幼虫に間違いなさそうです。
ある種の愛玩犬の巻き毛みたいです。
同じ個体を後ろから。
しかしこの日は他の成虫は見つからず。少し時期が早いのかと思い、3日後に同じ場所を覗いてみました。
数本の木を探し回って見つけた成虫は2匹だけ、うち1匹は撮る前に飛んでいき、残った1匹は♂のようです。
顔面が白くないのはまだ成熟していないからだそうです。
ちらほらと幼虫の姿も。
どの幼虫も長い綿毛のようなワックスと、排泄物の大きな球をお尻に付けています。
今回見た限りでは個体数は多くなさそうですが、こういう珍種がこの場所で繁殖していることが分かったことは嬉しい限りです。
(2020.06.09/12・明石公園)