2020年8月11日火曜日

ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ・つづき

昨日の記事の、ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ科 Mymaridae の一種を採集して深度合成撮影をしてみました。
このくらいの大きさになると透化処理をしてプレパラート標本にするのが正しい方法なんでしょうが、その技術もないのでいつものように冷凍殺虫の後、いつもの方法で撮影しています。大きなゴミが残っているのやレタッチが行き届かないのはご容赦ください。






上5枚と下2枚は別個体です。



(2020.08.04・明石公園にて採集)


2020年8月10日月曜日

ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチに再会

4年前に初めて見て以来気をつけてはいたのですが、ようやく再会することが出来ました。サクラの葉の裏で、ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ科 Mymaridae の一種です。しかも今回は1枚の葉で数匹の個体が産卵していて、また同じ木の別の葉でも見つかりました。おそらくあまりに小さいので、注意していたつもりでも見逃していたのでしょう。体長は0.35から0.4mm、翅端の総毛の先まででも0.5から0.6mmほどで、野外で追いかけるにはかなり苦しいサイズです。

サクラの葉裏にナシグンバイの成虫が数匹。よく見れば小さな黒い粒々が集まっているところがあって、産卵中か産卵を終えた後のようです。

葉を引き寄せて何枚か撮るうち、なにか小さなものが視野を横切るのが見えたのでモニタを確認すると、写っていました。忘れもしない、あのホソハネコバチです。

葉を枝からそっとちぎり取ってその場に座り込み、レンズを替えて撮影を続けます。やはり前回も見たように、卵を覆う噴火口状の塊の横腹に産卵管を刺しています。

ピンボケですが、頭上を巨大なナシグンバイが通り過ぎても全く動じません。その後撮影の邪魔なので、グンバイさんにはそっと退去してもらいました。


この1枚の葉の2カ所にナシグンバイ卵塊があって、正確には数えられませんが6~7匹のホソハネコバチが産卵していました。



仲間に邪魔されそうになった時に翅を開くようです。

最後は別の葉の卵塊です。撮影時には全く気が付かなかったのですが、卵を覆うタール状物質にホソハネコバチが1匹埋もれています。産卵中の事故か、あるいは羽化した後の脱出に失敗したのかも知れません。

(2020.08.04・明石公園)


2020年8月9日日曜日

ヒトスジトビコバチ?(Comperiella ?unifasciata)(改題)

* 2020.08.12・タイトル変更 *

当初ニジモントビコバチ属の一種ではないかと考えていたのですが、BABAさんより、北隆館の大図鑑Ⅲに掲載されているヒトスジトビコバチ(Comperiella unifasciata)あたりではないかと教えていただきました。調べてみると確かにその種か、少なくとも同属で間違いなさそうですので、タイトルを変更しました。ミカンマルカイガラムシの寄生者だそうです。なお、記事中で“体長”1.8mmとしていたのは“翅端まで”の誤りでしたのでこれも修正しました。

この日はバッグにルーペを入れるのを忘れていて、イヌビワの葉裏になにか小さな虫がついているのをアザミウマかと思って直接カメラを向けてみると、これまで見たことのない綺麗なトビコバチでした。
撮影を始めるとすぐに歩きはじめ、そのまま見失ってしまうことを恐れてフィルムケースに採集したのですが、なんたることか、その日のうちに誤って蓋を開け、逃げられてしまったのでした。残念。

足早に歩くので、なんとかうまく収まったのはこの1枚だけ。鮮やかな背面や太い触角などを見るとニジモントビコバチ属(Cerapteroceroides)の一種ではないかと思います。体長は翅端まで約1.8mmです。
翅が折れ曲がっているので最初羽化に失敗した個体かと思いましたが、これが正常な形のようです。その証拠に容器の蓋を開けた途端、元気に飛んで行きました。

もう1枚、撮りそこないですが・・・。
いつかまた、再会したいものです。

(2020.08.04・明石公園)


2020年8月8日土曜日

アラムネクチカクシゾウムシ

昨日に続いてゾウムシ。今回のものは多分初めて撮影した種で、アラムネクチカクシゾウムシ Monaulax rugicollis で合っていると思います。ナシの害虫だそうですが、サクラの葉の縁につかまっていました。体長は約6.7mmです。



その名のとおり口吻が隠れて見えません。


複眼も半分隠れています。

保育社の甲虫図鑑には、「前胸背板は縦長の点刻を網目状に装う」とあります。

(2020.07.28・明石公園)









2020年8月7日金曜日

三度目のクワノコブコブゾウムシ

アラカシの幹に、顔をうずめるようにしてしがみついていた真っ黒なゾウムシ。あまりに色が違うので最初分かりませんでしたが、以前のブログで二度(2015.05.232018.07.26)掲載しているクワノコブコブゾウムシ Styanax kuwanoi のようです。
稀種とされていますが、この公園ではそこそこ繁栄しているのかも知れません。

体長は約7.7mm。以前見た個体はどちらも茶色っぽい鱗片に覆われていましたが、この個体には鱗片ほとんどなく全身黒光りしています。この写真では見えにくいですが左前・中脚の跗節が失われています。

上翅の基部に近い方には顕著な瘤。

前胸背板は大仏さんの頭のようです。

幹にしがみついたまま顔を見せてくれないので、引きはがして近くの切り株に移してやると歩きはじめました。

太短い吻も特徴の一つ。

裏返して腹面も撮らせてもらいました。

(2020.07.18・明石公園)


2020年8月6日木曜日

ヨツモンホソチャタテ

久しぶりに見たヨツモンホソチャタテ Graphopsocus cruciatus です。特徴的な模様のチャタテですが、近所の公園巡りではあまり多くは見かけません。桜の葉裏にいました。

体長約2.9mm、翅端まで3.9mm。大きなお腹をしているので産卵間近の雌かも知れません。
頭上に縦横に糸を張り巡らせていますが、非常に細くて肉眼では気づかないくらいです。

(2020.07.20・明石公園)

2020年8月5日水曜日

ネズミモチの実に産卵するコマユバチの一種

ネズミモチの実にとまるコマユバチがいました。
よく探すと周囲を何匹も飛び回っていて、時々実の上にとまるのですがすぐにまた飛び立ってしまいます。おそらく産卵のために集まっていると思われ、実際に産卵管を実に突き刺している個体もちらほら見つかりますが、かなり敏感でなかなか撮らせてくれません。
このコマユバチは6月のはじめにネズミモチの蕾につくられたゴール(ネズミモチツボミトジフシ)から羽化してきたものと同じコマユバチ亜科 Braconinae の一種のようで、同じゴールから羽化してきたタマバエ(おそらくイボタミタマバエ Asphondylia sphaera)に寄生するのだろうと思っています。イボタミタマバエはネズミモチの蕾と同様実にもゴール(ネズミモチミミドリフシ)を作ることが知られていて、コマユバチが産卵している実はおそらくすでにタマバエが寄生しているんでしょう。このコマユバチはどちらのゴールにも寄生するということかも知れません。





(2020.07.20・明石公園)