2020年12月2日水曜日

ナシミドリオオアブラムシの産卵

 シャリンバイの葉の裏で産卵中のナシミドリオオアブラムシ Nippolachnus piri を見つけました。以前にも見たように、産卵後卵の周囲の葉面に粘液を塗り付ける動作も見られました。この粘液は風雨などで卵が剥がれ落ちないように固定するためか、あるいは寄生者などの外敵から守るためかよく分かりませんが、卵から離れて広い範囲に塗り付けていることや、たまに微小な虫がこの粘液に捕まっているのが見られることを考えると後者の役目も果たしているのではないかという気がします。

ちょうど腹端から次の卵が覗いています。




出てきた卵は長さ約0.9mm。

1枚目から7、8分で腹端を離れました。

1個産み終えるとそれに続いて腹端から分泌した粘液を周囲の葉面に塗り付け始めます。

粘液は産み付けた卵の直近だけでなく、その周囲広い範囲に塗り付けるようです。

この動作はかなり念入りに、7、8分続きました。

これは別の葉ですが、時々このように小さな虫が粘液に捉えられているのが見られます。ただ、明らかに寄生者や捕食者と思われる虫が犠牲になっているのはまだ見たことがありません。

(2020.11.26・明石公園)


2020年11月30日月曜日

カクレミノのアオモンツノカメムシ

 アオモンツノカメムシ Elasmostethus nubilus のホストとしてはヤツデが知られていますが、近所の公園ではヤツデで見られることは少なく、同じウコギ科のカクレミノでより多く見られます。

2枚重なったカクレミノの葉の間にたくさんの黒い影が見えます。

拡げてみるとやはりアオモンツノカメムシ。

幼虫と成虫が入り混じっていますが、ちょうど羽化の時期のようで、幼虫はほとんどが終齢です。

羽化直後の、体色がまだ薄い成虫もいます。

葉の表で日向ぼっこをしている成虫もいました。

(2020.11.26・明石公園)

2020年11月25日水曜日

ニッポンオナガコバチ・メスの誕生と待ち受けるオスたち

 この10年来、毎年のようにニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum の発生を見ているクロガネモチの木で、赤い実のついた枝に多数の♂たちが集まっていました。実の中で羽化し、脱出してくる♀を待ち受けているので、こちらも♂と一緒に待っていれば♀の誕生を見ることが出来るはずです。スチール写真は以前にも撮ったことがあるので、今回は動画でその瞬間を狙うことにしました。

今回は静止画は撮らなかったので、上の写真は二つ目の動画からの切り出しです。
たくさんの実をつけたクロガネモチの枝のあちこちに♂が集まっている中で、特にその動きの激しい場所があれば♀の出現が近い徴です。今回は午前中一杯粘って2匹の♀の脱出を撮ることが出来ました。普段は持ち出すことのない三脚を準備し、風に揺れる枝をカメラ側から伸ばした半田付け用のアームの先に固定して撮影しています。背景音は鳥の声に散策する人の声、公園の樹木を伐採するチェーンソーの音に遠くを走る電車の音等々です。

まず1匹目。


次は2匹目。♀は動画の途中で一度頭を出しますが、頭上♂たちの争いに怖れをなしてか、引っ込んでしまいます。


このニッポンオナガコバチについては以前のブログをはじめたころから何度も記事を書いていますが、その主なものは昨年9月のクロガネモチの実に産卵するニッポンオナガコバチの末尾にリンクをまとめています。

(2020.11.17・明石公園)

2020年11月22日日曜日

ヒラタアブ幼虫に産卵するヒラタアブトビコバチ

 ヤブガラシの葉の裏で、ヒラタアブの一種の幼虫に産卵しているトビコバチがいました。以前のブログでも一度紹介したヒラタアブトビコバチ Syrphophagus nigrocyaneus だと思います。


前回見たのと同様に、片方の後脚を持ち上げてその下から産卵管を伸ばしています。

ヒラタアブ幼虫の後端部に移動して再び産卵管を突き刺しますが、刺される方は全く動きません。

産卵姿勢はやはり同じで、産卵管以外、ホストの体には触れていません。余計な刺激を与えるのを避ける為ではないかと推測していますが、真相は如何に。



ヒラタアブの種名は分かりませんが、幼虫の体長は約4.5mm、ハチは1.7mm。刺点を変えながら何度も産卵を繰り返しているようでした。
以前、ヒラタアブの蛹に産卵するのを見たヒラタアブコガネコバチ Pachyneuron groenlandicum は、このヒラタアブトビコバチに2次寄生するそうです。

(2020.11.16・明石公園)

2020年11月20日金曜日

ナカオビキリガ

 これはナカオビキリガ Dryobotodes intermissa だと思います。
コナラの幹にいたのですが、こんなふうにじっと動かずにいてくれるとつい翅の鱗粉をアップで撮りたくなります。





(2020.11.16・明石公園)


2020年11月19日木曜日

ヒゲナガホソクチゾウムシ

 イヌビワの葉裏にいた小さくて真っ黒なゾウムシ。ヒゲナガホソクチゾウムシ Pseudopiezotrachelus placidus で合っていると思います。体長は口吻を除いて約2.3mmです。





(2020.11.16・明石公園)

2020年11月18日水曜日

ヒトスジコガタハネオレバエ?

黄色く色づいたカクレミノの葉の上で交尾していたハネオレバエの一種です。この時期ヤツデやカクレミノでよく見かける種で、以前のブログに掲載した際に、(交尾器を見ないと確定は出来ないが)おそらくヒトスジコガタハネオレバエ(Psila kanmiyai)だろうとのコメントをいただきました。




何枚も撮るうちに嫌がって葉の裏に回り込んでしまいました。
交尾の後、♀はおそらくカクレミノやヤツデの実の近くに産卵するのではないかと推測されますが、まだ現場を見たことがありません。

(2020.11.16・明石公園)