この公園にもトゲナナフシ Neohirasea japonica がいることは分かっていましたが、ここ数年は道に落ちた死骸しか見ていませんでした。ところがこの夏はこれが3度目。ただしはじめの2度は虫仲間が見つけてくれたものだったので、自力で見つけたのはこれが最初、実に久しぶりの発見なのでした。
薄暗い林の中で、アラカシの幹の周りに生えたひこばえの低い枯れ枝につかまっていました。体長75mmくらいの大型の個体です。試しにちょっとつついてみても全く動きません。もともと逃げ足の速い虫ではないので、敵が迫っても完成度の高い擬態に頼りひたすら枯れ枝になりきってやり過ごす、という戦略なんでしょうね。
2023年9月14日木曜日
トゲナナフシ
2023年9月13日水曜日
イタチムシの一種(Polymerurus ?nodicaudus)
イタチムシの仲間(腹毛類)は池の水などを採ってきて顕微鏡で覗いていると割合普通に見つかる動物ですが、伝統的(?)にプランクトンとしては扱われていないようで、手持ちの何冊かの「プランクトン図鑑」ではほとんど取り上げられていません。唯一の例外は最近出た「プランクトンハンドブック・淡水編」で、「底生性で、意外とふつうに見られる」とあります。厳密な定義に従うと底生性ならばプランクトンではなくベントスだということになるんでしょうが、それを言えばほとんどのアメーバ類をはじめ、なじみ深い多くの生物がプランクトン図鑑から消えることになるでしょう。専門家向けのものはともかく、一般向けの「プランクトン図鑑」にはぜひこのイタチムシにもページを割いてほしいものです。
今回のイタチムシですが、たまに見かける大型の種で、ずばりイタチムシという和名の与えられた Polymerurus nodicaudus という種ではないかと思います。いつもはこちらのような小型種ばかり見ているので、こんな立派な奴に出会うとうれしくなります。
2023年9月11日月曜日
ヒメトビケラの一種(?Hydroptila sp.)の幼虫
プランクトン観察のために水田で採ってきた水の中に、こんなものを見つけました。筒形の巣に入った小さなトビケラの幼虫で、ネット上の情報を参照するとヒメトビケラ科で間違いなさそうです。同科の中でもヒメトビケラ属 Hydroptila の可能性が高いと思っていますが、こちらの方は確かとは言えません。この仲間の成虫は以前に一度だけ撮影しています(こちら)。
巣は小さな砂粒などを綴って作られています。両端が開いていて、時々長い体を反転させて反対側から顔を出すところは、類縁は遠いのですが以前のブログに出したフサゴカイの幼生を思い出しました。
終盤では巣の表面に棲みついた(?)繊毛虫やイタチムシが見えます。
2023年9月9日土曜日
ボクトウガの幼虫
大量の樹液を流してハナムグリやスズメバチを集めているアベマキの樹皮の割れ目から、ボクトウガ Cossus jezoensis の幼虫が顔を出していました。
いかにも肉食らしい顔つきです。2023年9月8日金曜日
クヌギシギゾウムシ
アベマキのドングリにシギゾウムシのなかまがきていました。何度も場所を変えながら口吻を突き刺しています。殻斗に顔を埋めるように深く穿孔しているので、やがて産卵に移るのだろうと思って見守っていたのですが、ドングリの状態が気に入らないのか、それよりもこちらが邪魔をしたせいか、産卵を始めることなくやがて立ち去ってしまいました。いつものように保育社の甲虫図鑑を調べてみると、クヌギシギゾウムシ Curculio robustus のようです。クヌギとアベマキに実に産卵、とありました。
2023年9月5日火曜日
2023年9月4日月曜日
ミスジミバエ
頭上に広がったクサギの葉の裏を見上げていると、歩き回るハエの影が見えました。歩き方や翅の動かし方でミバエの仲間と分かります。この場所でこの大きさのミバエといえばミスジミバエ Zeugodacus scutellatus しかありませんが、そっと枝を引き下ろしてみるとはたしてその通りでした。オスのようです
手元の図鑑を見ると北隆館・保育社ともに、幼虫はカラスウリの雄花の花筒内で育つ、とあります。すぐ近くにカラスウリの群落があったので、そこで発生しているのかも知れません。成虫越冬で、以前にはヤツデの枯葉の中で集団越冬しているのを見たことがあります。