トウネズミモチの葉の上にとまっていた蛾で、フタナミトビヒメシャク Pylargosceles steganioides だと思います。ネット情報によると春型(1化)と夏型(2化)で見かけがかなり異なり、夏型では斑紋が不鮮明になるそうですが、これはもちろん春型ですね。また♂では触角が櫛歯状になるらしいのですが、下の写真ではよく見えません。幼虫はいろいろな植物を食べるようで、ネット上でも多数の画像が見られますが、顔面の模様に特徴があるようです。見たことがあるような、無いような。芋虫毛虫の写真も撮ってはいるのですが、ほとんどは名前も調べず放置しているので、探せばその中にあるかもしれません。前翅長約12mmです。
2025年5月7日水曜日
2025年5月6日火曜日
アベマキ幹に集まるクヌギハバチの幼虫たち
何気なく眺めていたアベマキの幹で、ハバチの幼虫が丸まっているのに目がとまりました。ひょっとして蛹化の準備だろうかと思いながら周りを見ると、幹や太い枝で多数の同じ幼虫がくっついていて、どれも同じように丸くなったまま動きません。このアベマキの木では毎年のようにこのハバチ幼虫が葉についているのを見ていましたが、こんなふうに多数が幹や枝に集まっているのを見たのはこれが初めてです。おそらく毎年同じ光景が繰り返されていたのに気づかなかっただけでしょう。
この幼虫については何年も前に一度調べてみたものの正体が分からず、そのまま放置していたのですが、今回もう一度ネット情報を探してみました。アベマキにつくのだからクヌギにもつくだろうと、試しに“クヌギハバチ”で検索するとこちらのリストにその和名が見つかり、さらにその学名 Apethymus kunugi Togashi, 2005 で再検索するとこちらの論文が出てきました。その中で本種についての解説や載せられている幼虫の写真を見るとどうやら当たりのようです。生活史の説明には宿主として新たにコナラが記録され、他のコナラ属の種もこのハバチの宿主となる可能性がある、とされているので、アベマキもその一つになるのでしょう。また飼育下では成熟幼虫は土中に潜ったということなので、アベマキの幹に集まっていた幼虫もやがて幹から下りてきて土中で蛹化するのだろうと思います。成虫は秋に羽化してくるそうなので、気を付けていれば見られるかと期待しています。
2025年5月5日月曜日
オドリバエ科 Rhamphomyia SP.
先日のクロアシボソケバエにちょっと似ていますが、こちらはケバエではなくオドリバエの仲間です。アカメガシワの、その名の通り赤い毛におおわれた新葉の上に乗っていました。幸い翅脈もはっきり写っているので、いつも参考にしている三枝豊平さんの“日本産双翅目の図解検索システム Ⅰ オドリバエ科”の検索表を辿ってみると、いくつか写真では確認できない部分も残るものの、Rhamphomyia(ホソオドリバエ属)の特徴によく一致します。MNDの翅脈図を見てもよく合っているのでこの学名でネット検索すると、昔の自分の記事が出てきました。今回と同様♂個体で非常によく似ていますが、翅の色が少し違うように見えるので別種かもしれません。それにしても、撮った写真もその後の身元調査も13年前と全く同じことをやっているのに我ながら笑ってしまいます。こちらの記事の♀も同属だと思います。
2025年5月4日日曜日
ホンクロホシテントウゴミムシダマシ
引き続き三木山です。何の木か確認し忘れましたが、その幹を歩いていたホンクロホシテントウゴミムシダマシ Derispia maculipennis です。普通種ですが、近所の公園にはいないので久しぶりの撮影でした。以前はただ(?)のクロホシテントウゴミムシダマシと呼ばれていたはずですが、いつの間にか頭に“ホン”がついていたようです。推測するに、国内の Derispia 属9種のうち本種以外の8種もすべて○○クロホシテントウゴミムシダマシという和名がついているし、“クロホシテントウゴミムシダマシ” は属の和名でもあるので、混同を避けるためでしょうか。そう言えば、子供の頃(半世紀以上前!)に買ってもらった図鑑ではオオスズメバチは単に“スズメバチ”で、ナミテントウは“テントウムシ”、ナミアゲハは“アゲハ”でした。
それはさておき、本種はこのあたりでもちょっと低山に入ると樹幹で普通に見つかりますが、地衣類などを食べているようです。同じ場所で暮らしている幼虫はこちらに出しています。
2025年5月3日土曜日
クロアシボソケバエ
引き続き三木山森林公園で撮った虫です。
何の木か忘れましたが、葉裏にとまっていた真っ黒のケバエです。ネット上には同種と思われる画像がクロアシボソケバエ Bibio holomaurus としてたくさん見られますが、おそらくよく似た種も多いだろうし、何か決め手があればと思って探すと、運よく「廊下のむし探検」でこの種が取り上げられていました。このブログでは毎回、採集した標本の各部の顕微鏡写真を示しながら、専門論文の検索表から同定のポイントを嚙み砕いて詳しく説明されていて、私のような素人には大変参考になります。今回撮影した写真をその記事に照らして調べてみると、いくつか確認できない部分は残りますが多くの特徴は一致しました。他に酷似種が存在しなければクロアシボソケバエとしてよいと思います。
2025年5月2日金曜日
コナラの葉裏で繭を紡ぐ不明幼虫
昨日の記事に続き三木山森林公園で見たガの幼虫です。
コナラの葉に黒っぽい影が見えるので裏がえしてみるとみると、繭を紡ぎはじめたばかりと思われる毛虫でした。ずいぶんずんぐりとした体形で、体長は1cmほどですが、これは蛹化に備えて平常時よりかなり前後に縮んだ状態なのではないかと思います。この体が長く伸びたところを想像しながら手持ちの図鑑やネット上の画像を探しましたが、今のところ一致するものが見つかりません。そのうちどこからか助け船が現れることを期待して、不明幼虫として出しておきます。
2025年5月1日木曜日
ヒメヤママユの中齢幼虫
先月に続いて、三木山森林公園での観察会に参加してきました。
このきれいな毛虫はネジキの葉裏についていたのですが、初めて見るものなのでなんだろうと思っていると同行の方が即座に「ヒメヤママユ(Caligula japonica)の幼虫です」と教えてくれました。成虫にもお目にかかったことはありませんが幼虫も初めてです。帰宅後調べてみるとかなり広食性の蛾のようなので、ネジキについていても不思議はないでしょう。これは2齢か3齢で、終齢ではほぼ緑一色になるようです。フラッシュの調子が悪くて何度も撮り直しをしている間に枝の方へ移動してしまいました。体長は約22mmです。