2019年10月7日月曜日

ヒメミミズとソコミジンコの一種

湿った落ち葉の間にいた、この長い虫はヒメミミズ科の一種だと思います。

長さは2~3mm、太さは0.15~0.2mmくらい。そのヒメミミズに混じって、はるかに小さな奴が身をくねらせていました。画面右の光っているものがそれです。

体長は0.3mmくらいで、ヒメミミズの子どもかと思いましたが、写真をよく見ると節足動物のようです。

これは別個体ですが、一対の長い尾毛が見えます。ここでようやく、ソコミジンコの仲間(Harpacticoida)らしいことに気付きました。ケンミジンコなどと同じカイアシ類ですが、この仲間には湿った土壌や落ち葉の間に生息する種がいるそうです。

ヒメミミズにくっついているものが多いのは偶然でしょうか。

よく探すと他にも沢山いました。

ピンボケですが、脚が見えています。
海水や淡水中のカイアシ類はお馴染みですが、こんな場所でお目にかかるとは予想していませんでした。しかし野外で撮影するには小さ過ぎ、いつもの虫撮りカメラではごく大雑把な外見しか捉えられません。本当は持ち帰って顕微鏡で撮影すればよかったのですが、それは次の機会に持ち越しということにしておきます。

(2019.9.20・学が丘北公園)

2019年10月6日日曜日

ヤサコムカデ属の一種・幼虫

* 2019.10.09・追記 *
BITTZUさんより、ヤサコムカデ属 Symphylella の1種だろうとコメントをいただきましたので、「コムカデの一種」としていたタイトルを変更しました。

落ち葉めくりで出てきたムカデの子ども、と思ったのですが、調べてみるとムカデではなくコムカデの一種でした。尾端にムカデのような長い脚ではなく、短い角状の突起があることが判別点の一つだそうです。

コムカデはコムカデ綱(Symphyla)に属し、ムカデ類とは綱のレベルで異なります。大きなものでも体長10mmを超えず、歩脚は成虫で11~12対ということですが、この個体は体長約1.2mmで歩脚は8対しかないので幼虫なんでしょう。

各体節の背板に三角形の突起があります。

撮影中ほとんど動かなかったのですが、ムカデの子どもと思い込んでいたものであまり丁寧に撮らなかったことが悔やまれます。

眼は無いそうです。

(2019.09.20・学が丘北公園)



2019年10月5日土曜日

ミカヅキモの一種

緑藻類のミカヅキモ (Closterium)の一種です。

ミカヅキモといえば中学校あたりの教科書にも登場する典型的な三日月形を思い浮かべますが、これは反りの小さな直線的な形をしています。またかなり大型で全長は1mm近くもあります。

葉緑体の内部にたくさん見える球状のものはピレノイドという器官ですが、数は種によって違うようです。

細胞の表面近くにピントを合わせたのものですが、葉緑体の横断面は星形になっているそうで、長軸方向に筋状に伸びているのはその出っ張りの部分(稜)でしょう。

細胞の両端には液胞があり、中に小さな顆粒が集まっていて、ブラウン運動により常に動いているのが見えます。これは硫酸カルシウムの結晶ですが、その機能は分っていないそうです。

動画です。

液胞内の顆粒のブラウン運動や、原形質流動が見られます。

(2019.06.30・明石公園 桜掘にて採集)

2019年10月4日金曜日

ハレギクダアザミウマ幼虫

落ち葉の下にいたきれいなアザミウマ幼虫。以前の記事時鳥庵 庵主さんからハレギクダアザミウマ Adraneothrips russatus (Haga)と教えていただいたものだと思います。
今回はこの幼虫一匹だけで、成虫は見つかりませんでした。

体長は約1.2mm。半透明の皮膚に不規則に赤い色素が散って、ちょっと海産の甲殻類を思わせます。


きれいに並んで生えている毛の先が小さな球状になっていますが、何か粘液でもつけているのか、元々こういう形の毛なのか判別できません。



(2019.09.20・学が丘北公園)

2019年10月3日木曜日

ケンミジンコとツリガネムシの一種(Epistylis sp.)

こちらのブログに移ってから虫ばかり続いていたので、このあたりで一つプランクトンを。ただし何カ月も前に撮ったものです。

腰の左右に卵塊をぶら下げた上にツリガネムシを満載したケンミジンコの一種です。

ツリガネムシはエピスティリス Epistylis 属の一種だと思います。群体性で、ミジンコやケンミジンコに付着していることが多いようですが、こちらのようにどこにも付着せずに遊泳している群体を見かけることもあります。


押し合いへし合いしながら盛んに繊毛を動かしています。

動画です。


(2019.06.11・神戸市西区の水田にて採集)

2019年10月2日水曜日

ヘリグロメンコガ

5年前に一度掲載したことのあるヒロズコガ科のヘリグロメンコガです。
当時の情報では和名はついているもののまだ学名は決まっていない(Opogona sp.)ということでした。今回あらためてあちこち検索してみましたが、やっぱり学名は出てきません。まだ付いていないんでしょうかね。

石垣の隙間にいたのでこの角度からしか撮れませんでした。頭端から翅端まで約4mm。



蛾の鱗粉はいろいろな形に変化していて面白いですね。長い毛のようなのは先が二股に分かれているようです。

(2019.09.17・明石公園)

2019年10月1日火曜日

オオウロコチャタテと、?

石の上を高速で走るオオウロコチャタテ Stimulopalpus japonicus は以前のブログで一度掲載しています(こちら)。
夏場にいつもの公園の石垣を探すといくらでも見つかるものですが、その割にはいざ撮ろうとすると逃げ足が速く追いかけるのも面倒なので、いつも見て見ぬふりで通り過ぎていました。
ところが今回、久しぶりに撮り始めて見ると、すべて同じ種だと思っていたのが実は2種、というか形態や模様に二つのタイプがあることに気付きました。
まず、次の2個体はオオウロコチャタテで間違いないと思います。


どちらも翅端まで約4.2mm。前翅の斑紋は細かな違いを無視すれば双方よく一致します。

次はもう一つのタイプ。



これら3個体は翅端まで約2.8~3.2mmとひとまわり小型です。これは単に翅が短いだけのようですが、そのため少しずんぐりした体型に見えます。そして前翅や頭部の斑紋は3個体の間ではよく似ていますが、はじめのタイプとかなり異なっています。

顔面はこんな感じ。以前の記事の顔面写真と見比べると斑紋の違いがよく分かります。
実はその7年前の記事にも二つのタイプが混ざっていたのですが、当時は単に個体変異だろうと片付けていたのでした。
これら二つのタイプは同じ場所で混在しているので、おそらく同じ種(つまりオオウロコチャタテ)の♂と♀(どっちがどっちか分かりませんが)ではないかと思うのですが、参考資料が無いので確かなことは分かりません。

ついでに、幼虫たち。

体長約1mm。

体長約1.5mm。
小さな幼虫もよく走りますが、成虫と違ってちょっとした窪みに入るとそこでじっとしていることが多いようです。

(2019.08.25,09.17・明石公園)