2019年12月5日木曜日

クダクラゲの一種

冬場によく見られるクダクラゲの一種(クダクラゲ目 Siphonophorae、鐘泳亜目 Calycophorae)です。この仲間は以前のブログにも三度ばかり出していますが(2010.01.27201.02.142010.10.08)、複数の種がいるようです。


ほとんど無色透明の体の中心部に、緑色に妖しく光る場所があります。

触手(?)をゆっくりと伸ばしていました。


体表に1匹だけ、以前にも見た吸虫が付着していました。


(2019.11.22・西舞子海岸にて採集)

2019年12月3日火曜日

カイアシ類の一種

近所の海で採集したカイアシ類(Copepoda)です。

その1




鳥の尾羽のような叉肢が目立ちます。

その2

こちらの方がやや大型ですが、その1と同じ種かも知れません。





(2019.11.22・西舞子海岸いて採集)

2019年12月1日日曜日

ワムシの一種・♂

* 2021.08.25・タイトル変更 *

図鑑との絵合わせで「カシラワムシ属(Cephalodella)の一種」としていたのですが、わちーさんより、「この個体はオスで、ワムシのオスはメスと形態が違うものが多いのでこの情報から同定するのは困難」とご指摘をいただきましたので、タイトルを変更しました。詳しくはコメントをご参照ください。

これはカシラワムシ属(Cephalodella)の一種だと思います。






(2019.10.10・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月29日金曜日

フロントニア(クチサケミズケムシ)の一種

大型の繊毛虫、フロントニア Frontonia(クチサケミズケムシ)の一種です。
運動を抑えるため、プレパラートに封じる際水の層をかなり薄くしたので、カバーガラスを載せた途端トリコシストを大量に放出してしまいました。

画面右上に見える針状のものが放出されたトリコシストで、外的に対する防御の役割を持つとされています。本来細胞膜直下にある袋状の組織ですが、細胞が刺激を受けて中身が放出される際に針状になるそうです。

細胞の形は本来太短い円筒状ですが、カバーガラスに押し付けられて平べったくなっています。


細胞の厚みの中心付近にピントを合わせると表面の繊毛が見えてきます。

右上に見えるのが細胞口。

呑み込んだケラチウム Ceratium が画面右に見えます。

動画です。
後半で、食物の残滓を排出する様子が見られます。


(2019.10.10・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月28日木曜日

淡水コケムシの幼生

これはコケムシ類(外肛動物門 Bryozoa)のキフォナウテス Cyphonautes 幼生だと思います。淡水コケムシの幼生を見るのはこれが初めてです。
海産のものは過去に何度か見ていますが、平べったい二枚貝のような構造をしていて、直線的な2辺を持つ扇形、または三角形に近い形をしています。ネット上で見られる画像もおおむね同様ですが、この淡水産の幼生は全体にもっと丸みを帯びた形をしています。淡水コケムシの幼生の画像はネット上にもほとんど無いようですが、ResearchGate (リサーチゲート)というサイトで Hislopia malayensis という淡水コケムシの発生と変態に関する記事が見つかりました。それに掲載されている画像の Cyphonautes 幼生が、今回撮影したものによく似ていて、近い種類ではないかと思います。






(2019.10.09・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月27日水曜日

ハオリワムシ(Euchlanis sp.)の孵化

公園の池で採ってきたサヤミドロに、何かの卵が付着していました。

いくつかの卵では孵化が近いらしく、中身がごそごそと動いています。最初水生昆虫の卵かと思ったのですが、その動きを見るとどうやらワムシのようです。今にも出てきそうだったので、夜遅くまで粘っていくつかの卵の孵化を見ることが出来ました。

その一つ。動画からの切り出しです。






随分長い時間待たされましたが、卵殻が割れるとあっという間に出てしまいました。
元の動画も出しておきます。


次は、先に別の卵から出てきてその辺を泳ぎ回っていた個体。


ハオリワムシの一種(Euchlanis sp.)だと思いますが、以前に出したもの(2017/12/06,2019/01/05)とは別種のようです。

(2019.10.10・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月23日土曜日

ミノウスバ

近所の公園などで目にする虫の数が年を追うごとに減ってきていると感じる昨今ですが、今年も例年通り、いつもの公園のマサキにたくさんのミノウスバが集まっていました。

あちこちの枝で産卵中の♀たち、それに♂もたくさん来ています。

産み付けられた卵は、雌の腹部の毛で覆われていきます。

動きがとても遅いので、見ていてもどうやって毛の覆いが出来ていくのかよく分かりませんが、おそらく♀が産卵しながら前進するのに伴って、長い毛が卵に付着して抜けていくのではないかと思います。♀は産卵後、卵塊を守るようにその場に留まったままやがて死んでしまいますが、こちらのように年が明けてもまだ生きている♀を見たこともあります。

櫛状の触角をもった♂たちが産卵中の♀をめぐって大騒ぎしています。



少し離れた場所で静かに交尾中。

ミノウスバの成虫は口器が退化していて、食事は出来ないそうです。これは♂。

これも♂です。

ミノウスバ Pryeria sinica はちょっと変わった生活サイクルを持った蛾で、例年10月下旬から11月初めにかけて羽化し、マサキやニシキギに産卵、冬を越した卵はまだ寒さの残る3月初め頃には孵化してきます(こちら)。そして5月中旬までには蛹化を完了し、長い夏を蛹のまま休眠して過ごすということです。

(2019.11.13・明石公園)