2020年6月13日土曜日

オナガバチの一種(Megarhyssa sp.)・♀の脱出を待つ♂たちと産卵する♀

昨年久しぶりににその姿を見た大型のオナガバチ(Megarhyssa sp.)が、前回と同じ木に集まっていました。

多数の♂が輪になって触角で盛んに樹皮をたたいていて、中の一匹が腹端を差し出しています。

♀の誕生の瞬間が見られるかと期待して見守っていましたが、しばらくすると興奮していた♂たちの騒ぎが少し静まり、その場を去っていく♂もいます。♀が顔を出すまでまだかなりの時間がかかりそうな気配だし、以前にはこういう状態から♀を見ることなく♂たちが解散してしまったこともあります。結局最後まで見届けることなく引き揚げました。

動画です。


近くで産卵中の雌もいました。

産卵管が付け根まで差し込まれています。

ちょうど産卵を終えたのか、こちらを警戒したのか、産卵管を抜き始めました。

長いので抜くのも大変。

こうして見ていると、オナガバチ類では産卵管が長く伸びるにつれそれを扱うために腹部も伸びてきたのではないかという気がします。

このMegarhyssa sp.は未だ記載されていないようですが、寄主はヒラアシキバチ Tremex longicollis だと思われます。

(2020.05.28・明石公園)

以前のブログに掲載した同種の記事です。

      産卵:2011.06.122013.07.012019.07.03
♀の脱出:2010.06.102012.06.26



2020年6月11日木曜日

ストリアメーバ(Striamoeba sp.)

これはストリアメーバの一種(Striamoeba sp.)だと思います。比較的移動速度は速いのですが、あまり外形が変化しないアメーバです。以前のブログにも同じものを出していますが、画像は少しだけ良くなりました。



(2020.06.02・明石公園の水溜まりで採集)


2020年6月10日水曜日

ナガタマムシ属の一種( Agrilus sp.)

日光で葉脈の透けて見えるイヌビワの葉に、動きまわるいくつもの小さな影が映っています。そっと枝を引き下ろしてみるとナガタマムシの仲間ですが、動きが活発でその場での撮影はあきらめ、持ち帰って深度合成撮影に供しました。
以前同じ時期に撮影したものと同種なのではないかと思います。Agrilus 属は手元の原色日本甲虫図鑑Ⅲにも60種以上掲載されていますが、斑紋などこれといった特徴も無く、同定は素人の手に負えそうにありません。












(2020.05.28・明石公園)


2020年6月9日火曜日

海水の繊毛虫の一種

近所の海岸で採取した海水を実体顕微鏡で眺めていると、小型の繊毛虫がシャーレの底を這うようにくるくる回っていたので拾い上げてみました。

珪藻を食べているようです。

特徴的な形ですが、手持ちの図鑑やネット情報に当たってみても正体が分からず。

これはやや大型の細胞。倍率は同じです。


横向きになったのを見るとかなり平べったい体型です。



(2020.04.24・西舞子海岸にて採集)

2020年6月8日月曜日

シロスジカバマルハキバガ

クズの葉の上にとまっていた、初めて見るきれいな蛾です。
いつものようにみんなで作る日本産蛾類図鑑V2に当たってみると、マルハキバガ科のシロスジカバマルハキバガ Promalactis suzukiella (Matsumura, 1931) で間違いなさそうです。

頭端から翅端まで約6mm。小型ながら、色彩のコントラストの美しい蛾です。





(2020.05.28・明石公園)



2020年6月7日日曜日

イスノキミコガタフシから羽化するカタビロコバチの一種(Eurytoma sp.)つづき

昨日の記事のカタビロコバチ科 Eurytoma sp. ですが、記事の後半に登場した雌雄を採集して帰り、深度合成撮影しました。

まず♀から。


産卵管はさすがに鋭く尖っています。

次は♂。

BABAさんのブログに登場した♂によく似ていますが、触角の構造が少し異なります。世界で千種も記載されているそうですから、酷似種がごまんといるんでしょうね。


左右の触角が重なって見苦しい画像になってしまいました。

翅を拡げて撮影するべきなんですが、壊してしまいそうでやめておきました。


(2020.05.28・明石公園にて採集)


2020年6月5日金曜日

イスノキミコガタフシから羽化するカタビロコバチの一種(Eurytoma sp.)

いつもの公園のイスノキで、今年もたくさんのカタビロコバチが見られました。♂はせわしなく動き回って♀の羽化を待っている様子で、またすでに羽化してきた♀はまだ小さな今年の実に産卵しています。このカタビロコバチは2016年2017年2019年と、毎年のようにこの場所で観察していて、世界で1000種以上が知られているという Eurytoma 属の一種のようです。
このイスノキの実にはイスノキハリオタマバエと思われるタマバエが寄生していて、そのせいで大きく成長できなかった実(虫こぶとしてイスノキミコガタフシと呼ばれます)に残された蛹殻が毎年たくさん見られます。この4月には羽化直後の成虫も見ることが出来ました。両種の個体数の多さから考えて、例年同じ木から発生するカタビロコバチはこのタマバエに寄生しているものと思われます。

♀の羽化を待つ♂。他にも2、3匹の♂が周囲をうろついていましたが、枝をつまんで撮影を始めるとこの1匹を残して散ってしまいました。


♀は穴の縁を齧って拡げながら頭を出してきます。


♀の触角にはまだ蛹殻が残っていて、それを脚でしごいて落とします。

個の雌雄はあまり体格に差がありません。

こちらは近くにいた別の雌雄。かなり大きさが違います。


♂が♀の顔を覗き込むような動作を繰り返していました。

同じ木で、♀が産卵しているのは今年ついた新しい実です。すでにタマバエに寄生されているのでしょうか。

(2020.05.28・明石公園)