2020年7月18日土曜日

パンドリナの一種(Pandorina sp.)

先日水田で採ってきた緑色の水の中にはパンドリナ Pandorina の一種も数多く見られました。カタマリヒゲマワリとかクワノミモという和名も付いていますが、ボルボックス(オオヒゲマワリ)やユードリナ(タマヒゲマワリ)と同じオオヒゲマワリ目の一員で8、または16個の細胞が楕円形の群体を作っています。細胞数や群体の大きさはユードリナに近いのですが各細胞が互いに離れず密着しているという違いがあります。
今回の写真や動画に登場する群体の大きさや形が様々なのは成長段階の違いによるものだと思いますが、複数の種が混在しているのかどうかは分かりません。

群体を構成する各細胞は、球形に近くて互いの接触面の小さいものからきっちり詰め込まれて完全に密着したように見えるものまで連続的な段階があるようです。やはり成長段階の違いによるものでしょうか。

元気な群体はくるくる回転しながら動きまわっています。

二つの赤い眼点のせいで何かの顔のように見えますが、この眼点は群体中の一部の細胞にしかないようです。

収縮胞やピレノイドが見えます。

細胞間の隙間の多い群体画面で一番上の細胞はすでに分裂しているように見えます。

鞭毛は各細胞から2本づつ。

カバーガラスでやや押さえつけた状態です。

動画です。
ミドリムシが周りを泳ぎ回って煩いですが・・・。


(2020.06.26・神戸市西区の水田にて採集)






2020年7月16日木曜日

赤いミドリムシ(Euglena ?sanguinea)

昨日の記事の続きですが、大量に泳ぎ回っている緑色のミドリムシの中に、それよりやや大きくて赤っぽい色をした種がちらほら見られました。
手元の図鑑やネット情報を探すと赤色のミドリムシとしてユーグレナ・サンギネアEuglena sanguinea という種が紹介されていて、今回見たものもこの種だろうと思いますが、赤色の種は他にも数種存在するようなので断定は出来ません。この赤い色はこれらの種が細胞内に持っているヘマトクロームという色素の顆粒に由来するものだそうです。


活発に泳ぎ回るので高倍率での撮影は出来ませんでした。


(2020.06.26・神戸市西区の水田にて採集)


2020年7月15日水曜日

水田のミドリムシ(Euglena sp.)

田植えの終わった近所の田んぼで、水面に張った緑色の膜のようなものを掬ってきて顕微鏡で眺めてみると、予想通り夥しい数のミドリムシが泳いでいました。

ミドリムシが自由に動き回れるように水の層を厚めにとっているのですが、そうすると明るく照明された視野に向かって周りからどんどん集まってくるので、重なり合って見苦しい画面になってしまいます。

明視野の方がすっきり見えるようです。

次の動画では大多数の、全体が緑色のタイプの他にやや小型で後半部が赤いものや、さらに小型で動きの非常に速いもの、それにユードリナやパンドリナも顔を出します。


次は薄めにマウントして少し動きの落ち着いたところを撮ったものです。



動画では鞭毛の動きがよく見えます。

こんなに忙しく鞭毛を打ち振るのは何のためなんでしょうか。

(2020.06.26・神戸市西区の水田にて採集)






2020年7月14日火曜日

ギンシャチホコ幼虫と寄生バチの繭

コナラの葉裏にガの幼虫がぶら下がっていました。

その足元には繭らしきものが。

どうやらコマユバチか何かに寄生されていたのが、すでに御用済みになってぶら下がっていたようです。

体長7mmくらいの、ギンシャチホコの若齢幼虫です。この場所では昨年の6月にも孵化したばかりの1齢幼虫を見ています。まだ生きていて一見外傷も無いように見えますが、これ以上の成長は多分望めないんでしょうね。

ハチの幼虫は繭を紡いでいる最中だったようですが、色が薄くて形がよく分かりません。

(2020.07.02・舞子墓園)


2020年7月11日土曜日

ペラネマ属の一種?(?Peranema sp.)

葉緑体を持たない、無色のミドリムシの仲間です。前方に伸ばした太い鞭毛や、細胞後端部が拡がっていることなどからペラネマ属(Peranema)の一種ではないかと思います。この属では鞭毛が2本あるはずですが、うち1本は細胞表面に密着して見えにくいそうです。


(2020.06.02・明石公園の水溜まりにて採集)

2020年7月10日金曜日

アンフィシエラ属の一種?(?Amphisiella sp.)

細長くて扁平な繊毛虫です。
アンフィシエラ Amphisiella 属の一種ではないかと思いますが、オキシトリカ Oxytricha か、それ以外の別種かも知れません。
腹側の刺毛列を使ってカバーガラス下面を歩く様子が見られます。


(2020.06.02・明石公園の水溜まりにて採集)

2020年7月7日火曜日

トウネズミモチに産卵するツヤマルカスミカメ属の一種(Apolygus sp.)

トウネズミモチの白い蕾の間に小さなカスミカメムシが見えたので枝をつまんで撮影を始ました。どうせすぐに逃げてしまうだろうと思いきや、同じところを行ったり来たりしています。おかしいなと思って見ていると、やがて腹部から産卵管を引き出して枝に突き刺しました。カスミカメ類の産卵行動を見るのはこれが初めてです。
体長約4.5mmで、体色などからおそらくツマグロハギカスミカメ Apolygus subpulchellus だと思いますが、この種と同属のウスイロツヤマルカスミカメ(ハギメクラガメ)A. pulchellus は酷似していて外見での区別は難しい場合があるようです。


最初は単に枝から吸汁しているだけだと思っていました。

が、不意に産卵管を伸ばすのが見えました。

ちょうど蕾の根元のあたりに産卵管が差し込まれていますが、密集した蕾が邪魔になってなかなか良い角度から撮れません。

少し移動してすぐに別の蕾でも産卵。カスミカメムシがこんなに立派な産卵管を持っているとは意外でした。

ずいぶん深くまで入っています。

終わるとすぐにまた別の蕾に移動。

やはり周りの蕾が邪魔ですね。

しょうがないので後ろ側から。
同じ枝で何度か産卵を見せてくれましたが満足な写真は撮れず、カメラに追い回されるのが嫌になったのか、やがて飛んで行ってしまいました。

(2020.07.02・明石公園)