2021年5月12日水曜日

ラッパムシ(Stentor sp.)

 何度も出しているラッパムシですが、この巨大な単細胞生物は眺めていて飽きることがありません。


細胞内部にピントを合わせています。大小の収縮泡が黒っぽく見えます。

撮影中に食べかすを排出しました。

動画です。


次はDIC撮影です。


囲口部の動きがダイナミックで見ごたえがあります。



付着部です。

何度か食べかすを吐き出していました。


動画をもう一つ。


(2021.04.16・明石公園 桜堀にて採集)

2021年5月11日火曜日

キモグリバエ科の一種 Chloropidae gen.sp.・つづき(深度合成)

 昨日の記事の、キモグリバエ科の一種です。
まず♀です。








♀に時間をかけすぎて♂は2枚しか撮れませんでした。



(2021.04.27・舞子墓園にて採集)

2021年5月10日月曜日

キモグリバエ科の一種

 ネジキの葉の上で、鳥の糞に小型のハエが数匹集まっていました。


♀と♂が入り混じっているようで、小柄な♂が大きな♀の背中に何度も乗るのですが、相手にその気がないのかなかなか交尾には至らないようですぐに降りてしまいます。

♀の1匹。

この♀ははち切れそうな腹部から産卵管を伸ばしています。産卵間近なんでしょうか。

動きが早くて上手く撮れないので、雌雄1匹づつ採集して帰りました。翅脈を見るとキモグリバエ科 Chloropidae のようです。深度合成画像は次の記事で。

(2021.04.27・舞子墓園)

2021年5月9日日曜日

カシルリオトシブミ♂(深度合成)

イタドリの葉にカシルリオトシブミ Euops (Synaptops) splendidus が乗っていたので捕まえて帰りました。前脚が長大なので♂でしょう。縮こまった脚を少しでも拡げようと悪戦苦闘しているうちにゴミだらけになってしまいました。











(2021.04.22・明石公園にて採集)

2021年5月7日金曜日

ストロボを使った顕微鏡撮影について(つづき)

一昨日の記事の続きです。
顕微鏡撮影にストロボを使うようになったきっかけは、20年ほど前に行きつけの中古カメラ店から引き取ってきた古いツアイスの顕微鏡でした。一面にパラフィンがこびりついてジャンク同然に見えましたが、連日格闘した結果十分使える状態になり、大量の付属品の中には本で見たことのある微分干渉装置というものが含まれていることも分かりました。使い方もよく分からないままその微分干渉装置を取り付け、それらしい像を初めて見たときは感動したものですが、これで原生動物などを撮影しようとすると光源が少々非力で(8V15W)動くものを撮影はかなり困難、そこでストロボを使う方法を考えてみることになりました。

当時の撮影風景です。対物レンズは沢山ありましたが微分干渉に対応しているのはPlan16X/0.35とPlan40X/0.65の2本だけ。アナライザーはリレーレンズが曇っていてコントラストを落とすのですぐに使うのをやめて、㈱光洋のカタログで取り寄せたポラロイドの偏光板を3眼鏡筒の下に置いて代わりにしました。上の写真のニコンのPFM(これも同じ店で買った)はやがてフィルム一眼レフ、さらにデジタル一眼レフに代わりましたが、中古のオプチフォトを手に入れるまで15年以上これが主力機になっていました。
ストロボ撮影装置は、顕微鏡の下に見える木の箱です。


このツアイスの顕微鏡は裏返すと裏蓋というものがなく、ランプのコレクターレンズから前方のレンズと反射鏡までの間にも何もありません。それでこの部分でストロボ光を割り込ませることにしました。撮影時には手前に見える窓にストロボの発光面をあてがいます。ストロボ光は古いルーペのレンズを通り2枚の鏡で反射して顕微鏡の光路に入りますが、鏡の1枚は可動式です。使った材料は有り合わせのアルミ材や手鏡、タミヤのギヤボックスの部品などでした。

右に見えるレバーを押すと2番目の鏡が上がってハロゲンランプの光路を遮り、代わりにストロボ光を導入します。一眼レフに使われるクイックリターンミラー以前の、距離計連動カメラの時代に作られていたミラーボックスのような動作です。シャッターとの連動には最初は二又レリーズを使い、カメラをワインダー付きの一眼レフに替えるとマイクロスイッチを仕込んでリモートコードを繋ぎ、最後にデジタル一眼になるとスイッチをもう1個増やしてシャッター半押しに対応させました。
もともと設計が理に適っていない上に今のデジタルカメラのようにその場で撮影結果を見ながら調整を加えていくということもできないので、効率が悪くて光量が十分でなかったり照明ムラが出たりと問題は色々ありましたが、とにかく動き回る動物プランクトンをスナップ風にパチパチ撮りたいという目的は一応これで達せられました。

フィルムカメラ時代に上の機材で撮影したものをいくつか出しておきます。2001年から2005年頃の撮影ですが、当時の撮影法は顕微鏡に付いていたものの他にニコンやオリンパスの接眼レンズを使ってコリメートで撮ったり、その接眼レンズを少し持ち上げて投影レンズ代わりにしたりと、かなりいい加減なものでした。すべてネガフィルム原版を複写したものですが、経年劣化のせいかデジタル化のせいか元々あった色ムラがさらに強調されているようです。

スピロストマム DIC Plan16X/0.35 

ゾウリムシ DIC Plan40X/0.65

トリコディナ DIC Plan40X/0.65

ゴニウム DIC Plan40X/0.65

腕足類の幼生 異色照明 Neofluar6.3X/0.20

二枚貝の幼生 異色照明 Neofluar6.3X/0.20

2021年5月6日木曜日

ヒゲクロキジラミ・幼虫と成虫

 ネジキの葉の裏で黄色いキジラミ幼虫を見つけました。他の葉にもいて、どちらも終齢のようなので成虫もいるだろう思って周囲を探すと羽化直後の個体が2匹見つかりました。以前のブログに(種名は疑問符付きで)出したことのあるヒゲクロキジラミ Cacopsylla nigriantennata だと思います。



幼虫の体長は1.6mm前後で、触角の先が黒色です。多分終齢だと思います。


羽化後、翅を伸ばしている成虫。♂のようです。



撮影している間にもだいぶ翅が伸びてきました。

これは別の個体で、翅はほぼ伸び切っていますが体色がまだ出ていません。触角もまだ淡色ですが、脱皮殻の触角は先が黒色です。

これは♀ですね。触角はこれから黒くなるんでしょう。体長約2.1mm、翅端まで約2.7mmです。

(2021.04.27・舞子墓園)

2021年5月5日水曜日

ストロボを使った顕微鏡撮影について

いつもご覧いただいている方はお気づきかも知れませんが、このブログに掲載している顕微鏡写真の多くは光源にストロボを使っています。海外サイトで見る原生動物やワムシの写真ではストロボ使用は珍しくはないようで、最近ではそのための装置を作って販売されている方もあるようですが、日本のサイトではあまり見かけません。使用上いろいろ問題もあって定常光源にとって代われるものではありませんが、動きの速い動物プランクトンの撮影などには大変有用な面があると思うので、私が現在用いている方法をここで紹介します。

これは今使っているニコンオプチフォトにストロボ装置をセットした状態です。4年ほど前にこの顕微鏡を入手した時に作ったもので、その後多少の変更を加えています。
中央の黒い箱の中に集光レンズ、コンデンサの下に見える箱の中には45°に傾けたガラス板を入れてビームスプリッターとしています。ただの透明ガラスなので主光源からの光にはほとんど影響はなく、またストロボ光は非常に強いので通常の撮影で光量が不足することはまずありません。微妙な高さ調節が必要なのでストロボは小型のラボジャッキに載せています。顕微鏡の操作には非常に邪魔になりそうな配置ですが、慣れるしかありません。また常に定常光とストロボ光がミックスされているので、ストロボ撮影の場合でもシャッタースピードが遅かったり定常光が強すぎると画像に影響してしまいます。

集光レンズを収める箱は3mm厚の発泡塩ビ板で作りました。中のレンズは以前ジャンク品で入手した古いスライド映写機から取ったものです。テストをしながらレンズの位置を変えられるように差し込み溝をいくつか作っています。低倍率の場合に照明ムラが出ることもあるので、必要に応じてここに拡散板も入れます。

このストロボ(キャノンの550EX)は前面パネルの後ろで放電管の入ったケースを前後にスライドさせ、照射角を変える仕組みになっています。顕微鏡光源としては出来るだけ均一な発光面が欲しいのですが、照射角を変えながらパネル面を撮影してみるととても均一どころではありません。もちろん、拡散板を間隔を開けて何重にも重ねるとかなり均一な発光面が得られますが、どんどん光量が落ちていきます。いろいろテストを繰り返した結果、照射角を最も広角側に設定し(放電管が前面パネルの直下)、その前にアクリル製の棒状ルーペ(シリンドリカルレンズです)を置く方法に落ち着きました。

ストロボの発光状態を前面から撮ったテスト画像です。左は照射角を最大(24mmレンズに対応)にした状態で、実際はもっと広い範囲が写っているはずなのですが、中央の4X1.5cmほどの部分以外は真っ暗です。右はその上にシリンドリカルレンズを載せたもので、撮影倍率は同じです。

ストロボ光をコンデンサに導くためのビームスプリッターで、左が最初に作った通常照明用です。オプチフォトは微分干渉装置を使う際ステージを3cmばかり下げなければならないので、右はそのために高さを低く作ったものです。これは上下の2個パーツに分けて、上部が左右にスライドできるように作りました。どちらも枠は発泡塩ビ、ガラス板は約0.7mm厚で、6X7判用のスライドマウントに入っていたものをカットして使っています。また微分干渉では高倍率の際ガラスだけでは光量が不足気味になるので、ダイソーで買ってきたスマホ用のハーフミラーシートを貼り付けています。これで光量が2EVばかり稼げましたが、その分主光源からの光量が落ちるので動画撮影などの際には光路から外さなければなりません。またビームスプリッターで反射させると偏光が生じて、微分干渉ではその方向も考えなければなりません。1枚目の画像の配置ではポラライザーの偏光軸と45°くらいで交わるので多少光量がカットされるのですが、装置全体を45°回転させると顕微鏡の操作に差し支えるのでこのまま使っています。

ストロボ撮影で厄介なのは、照明された状態を肉眼で見ることができないことです。確認するにはテスト撮影をして画像を見るしかありません。上はそのテストをしているところで、微分干渉装置を付けた時のコンデンサ開口絞りの位置に置いたスクリーンに光源像を投影しています。

上の方法で真上から撮った光源像です。左がオプチフォト付属のハロゲンランプ、真ん中がCOBタイプのLED、右がストロボで、黒い円の直径は27mm、撮影倍率はすべて同じです。ストロボではまだ照度ムラが残っているので、現在ではシリンドリカルレンズの下に拡散板を加えています。
実際の撮影で定常光とストロボ光を比較してみると、通常の明視野や微分干渉などではあまり差が感じられないのですが、高倍率の偏斜照明ではかなり違いが出ることもあります。

次はいつものMWSさんのプレパラートを対物100/1.25の油浸、旧型の(千代田?)アッベコンデンサ1.25、偏斜照明で撮影したものです。1枚目が定常光(LED)、2枚目がストロボで、色収差が強いのでグリーンチャンネルだけ取り出しています。


陰影の付き方にかなり違いがありますが、まずは実用範囲内だと思います。もっと解像限界に近いような撮影では問題があるかもしれませんが、そんな目的にあえてストロボを使うこともないでしょう。
その他、この方法では視野絞りが使えないという問題もあります。理想的には光源にごく近い位置でストロボ光を導入するのが良いのでしょう。昭和44年発行の「顕微鏡写真」に(竹村嘉生編)各顕微鏡メーカーの装置の図が載っています。ニコンとツアイスでは主光源の位置にストロボ放電管を置き、タングステン球はその後ろに置いて集光レンズによりフィラメントの像を放電管の中心に投影するという方式、ライツではそれぞれの光源にコレクターレンズを配したものを光軸を直交させる位置に置き、反射鏡で光路を切り替える仕組みのようです。どちらもケーラー照明が可能になりますが、素人工作で実現するのは難しいかもしれません。
逆にあまり細かなことを気にしないならば、集光レンズなど抜きにして、コンデンサの下に置いた拡散板にガラス板で反射させたストロボ光を照射するだけでも十分な画像が得られます。レンズの下で跳ね回るミジンコでも高速で運動するゾウリムシの繊毛でもブレることなく確実に写し止められるので、関心のある方は試してみる価値はあるでしょう。