毎年いつもの公園のクロガネモチで観察しているニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum ですが、今回初めて同じ公園内のナナミノキの実に♂が集まっているのを見つけました。実はまだ黄色いのですが、すでにハチが出たらしい穴の開いているものもあって、この♂たちは一足先に羽化して♀の誕生を待っているようです。
このハチの宿主植物としては北隆館の大図鑑にもナナミノキとウメモドキが挙げられていて、この公園内にも数本のナナミノキがあるのですが、どれも低い位置の枝がほとんどなく、これまでよく見る機会がありませんでした。今回も頭より高い位置の枝を引っ張り下ろして撮影しています。
ナナミノキでのニッポンオナガコバチについてはそよかぜさんが詳しく観察されています。その中で、クロガネモチの実から羽化してきた個体よりもナナミノキから出てきたものの方が明らかに大型で、また♂の背面の色が明るいということに注意されています。確かにこの日見た♂は大きな個体が多く、また撮影できた2個体はどちらも胸部背面が明るい色をしているようです。
これまでに見てきた限りではこのハチの♀がクロガネモチの実から羽化してくるのは11月中旬から12月上旬くらいで、そよかぜさんの観察も考え合わせるとナナミノキではそれより半月から1か月ばかり早いようです。どちらの場合でも羽化した♀はそのまま冬を越した後に産卵するものと考えられますが、9月はじめにクロガネモチに産卵に集まる♀個体は明らかに小型で、また時期も離れすぎているので、越冬する♀とは世代が違うものと思っています。それでは越冬♀はいつどこで産卵するのでしょうか。他の宿主として知られているウメモドキやソヨゴとも考えられますが、ハンマーさんが11月上旬にウメモドキで、またBABAさんは11月中旬にソヨゴで♀の羽化を観察されていて(いずれも兵庫県内)、時期はクロガネモチやナナミノキと大差ありません。つまりそれらの実に産卵したのはやはり越冬明けの♀ではなく、その次の世代でしょう。越冬♀はおそらく春から初夏にかけて未知の宿主植物に産卵し、次世代は夏頃に羽化してくるのではないかと想像しています。
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