2022年5月28日土曜日

アラカシの幹で産卵する Anastatus(ナガコバチ科)

 昨日の記事に出したシロモンコバネナガカメムシを探している間、このナガコバチの一種(Anastatus sp.)を何度も見かけました。こちらこちらのように、昆虫の卵に寄生卵を産みこむ寄生バチです。苔の間や樹皮の割れ目を触角で探りながらうろついているので、おそらくそのような場所に寄主の卵が隠れているんでしょう。今にも目当ての卵を見つけて産卵を始めるのではないかと期待して追いかけましたが、いつまでも歩き回るばかり。音を上げかけた頃、ちょっと目を離した隙に立ち止まって産卵管を突き刺していました。


体長約3.2mm。美しい寄生バチです。


長時間費やした挙句、肝心の産卵シーンはちょっとピンボケでした。こんな場所に卵を産む寄主は何者でしょう。

(2022.05.22・明石公園)

2022年5月27日金曜日

今年も出てきたコバネシロモンハナカメムシ

昨年6月はじめに種名不詳のハナカメムシ幼虫として掲載したものが実は最近記載された新種、コバネシロモンハナカメムシ(Temnostethus mirificus・和名は仮称)だったということは記事に追記した通りですが、同じ場所のアラカシの幹で今年は幼虫・成虫ともに見ることができました。

これは今年初めて見た幼虫。この日、このハナカメムシを探しに他県から来訪された方のお供をすることになったのですが、その方が発見されたものです。体長約2.1mm。この日見付かったのはこの1個体だけでした。(5月7日)

約2週間後に見に行くと、すでに成虫が出てきていました。口吻で苔や地衣類の間を探りながら足早に歩き回ります。体長は約2.4mm。

ときどき、餌を見つけたのか口吻を差し込んだまま長い間じっとしていることがあります。何を食べているのか分かりませんが、先に触れた他県からのお客様との話の中で昆虫の卵のようなものではないかという推測が出ました。そうであればこの行動の説明もつくし、また今回このハナカメムシを探している間に同じ場所を卵寄生のナガコバチ(Anastatus sp. )が徘徊しているのを何度か見かけているので、可能性はありそうです。

この幼虫はおそらく終齢でしょう。成虫と変わらない大きさです。


 
動きも成虫と同じで、ときおり動きを止めて口吻を差し込んだままじっとしています。

体長1.6mmほどの若齢幼虫もいました。(以上2-6枚目:5月20日)

その2日後、成虫や終齢幼虫の他に羽化直後の成虫を見つけました。この状態では体長が2.8mmほどもあります。外骨格が固まるまで腹節間の膜が伸びているんでしょう。美しい色彩なので羽化途上のものがいないか探しましたが、見つかりませんでした。(5月22日)

(2022.05.07,20,22・明石公園)

2022年5月25日水曜日

ヒゲナガハナノミ♀

 ノゲシ(あるいはオニノゲシ?)に来ていた♀のヒゲナガハナノミ Paralichas pectinatus です。以前はこの公園でもよく見かけたのですが、ここしばらく撮影の機会がありませんでした。体長は約12mm。大量に繁殖したアブラムシの甘露が目当てだったようです。






(2022.05.20・明石公園)

2022年5月24日火曜日

セグロアシナガバチ肉団子づくり

 街灯の支柱にとまって肉団子を作っていたセグロアシナガバチ Polistes jokahamae です。この時期ですから越冬した女王かも知れません。見つけた時には獲物はすでに見る影もなく噛み潰されていましたが、鱗翅目の幼虫だと思います。数枚撮ると飛んで行ってしまいました。



(2022.05.18・明石公園)

2022年5月23日月曜日

バラハタマフシに産卵するタマバチ

 ノイバラの葉に出来たバラハタマフシと思われる虫こぶに、小さなタマバチが産卵していました。バラハタマフシを作るのはバラハタマバチというタマバチだそうですが、その虫こぶに産卵しているのは何者でしょうか。手元の「虫こぶハンドブック」によれば、この虫こぶで「突起が長く星状になるものには寄居蜂が見られることが多い」とあります。「寄居」とは平たく言えば居候のことだと思いますが、このタマバチもその一種なんでしょう。産卵されている虫こぶもやがて「星状」になるのかも知れません。この日は等倍マクロしか持っていなくて、タマバチのアップが撮れませんでした。

3個の虫こぶのうち一番小さなものに産卵しています。

葉をつまむと真ん中の虫こぶが脱落してしまいました。ハチが産卵している虫こぶは直径約5mmです。

(2022.05.18・神戸市西区伊川)

2022年5月22日日曜日

オフリオグレナ(Ophryoglena sp.)

これはオフリオグレナ Ophryoglena という繊毛虫です。観察を始めた時はゾウリムシに似た細長い形だったのですが撮影するに泳ぐのが速すぎ、やがて動きが遅くなった時には下のようにずんぐりした形になってしまいました。

細胞口が右上に見えます。「淡水微生物図鑑」の説明には「口部域はLieberkuhn(凹面反射鏡)、または時計皿と呼ばれる独特の構造を持つ」とあります。

細胞中心付近にピントを合わせていて、口部域の断面が見えています。中央に大きな液胞(?)ができているのは細胞が弱ってきているせいかもしれません。

棒状の大核が見えます。


動画です。


(2022.04.26・神戸市西区伊川にて採集)

2022年5月21日土曜日

ノコギリカメムシ

 ここ数年見る機会のなかったノコギリカメムシ Megymenum gracilicorne ですが、虫撮り仲間に居場所を教えて貰って久しぶりに撮影することができました。カラスウリと思われる蔓につかまっているのですが、あまり協力的ではなくて近づくとすぐに裏側にまわってしまいます。全身枯葉色の地味な装束に触角の先だけ赤くて目立つのは、何か意味があるんでしょうか。




(2022.05.17・明石公園)