2025年5月19日月曜日

キバラルリクビボソハムシ 卵・孵化幼虫・成虫

 食痕が目立つツユクサがあったので、以前から撮影したいと思っていたキバラルリクビボソハムシ Lema concinnipennis の幼虫を期待して適当に葉を裏がえしていくと、何枚かの葉裏にハムシのものらしき黄色い卵が産み付けられていました。周りを探すと成虫も数匹見つかったので、卵もこのハムシのもので間違いなさそうです。まだ幼虫の姿はありませんが、一端に眼点のような斑点の現れているものもあって、孵化が近いと思われました。
数日後に訪れると、いくつかの卵塊は孵化していて小さな幼虫が摂食を始めています。まだ生まれたばかりと思われますが、すでに少量ながら自分の糞を背中に乗せているものもいました。また孵化直前と思われる卵では、卵殻を通して孵化直前の幼虫の姿がはっきり見えています。周囲ではまだ何組かの成虫が交尾していたので、産卵はまだしばらく続くのでしょう。まだ実物を見たことがありませんが、幼虫の成長につれて背中の荷物も大きくなっていくようです。少し日を置いてまた見に来なければなりません。

卵は数個から十数個をかためて産み付けられていました。1個の長さは約1mm。

こちらの卵では一端に赤い点がいくつか見えて、やや進んだ発生段階だと思いますが、なぜかどれも少し凹んでいます。

5日後。いくつかの卵塊はすでに孵化していました。

孵化幼虫の体長は約1.2~1.5mm。

葉の表側の表皮を残して食べています。

孵化間近の卵。

大あごの形が見えます。

交尾中の雌雄。和名の由来の、黄色い腹部が見えます。

両方の顔面にピントを合わせたいのですが、なかなかうまく行きません。

別のペアです。

(2025.05.08/13・明石公園)


2025年5月18日日曜日

オオヒメグモに捕らえられたウロコアシナガグモ

 初夏のこの時期、広葉樹の葉の裏で、こちらのようにウロコアシナガグモの母グモが卵嚢や孵化したばかりの子グモのそばに留まっているのはよく見る光景ですが、その間はやはり捕食者に狙われやすくなるんでしょうか。この♀はアラカシの葉裏でオオヒメグモに捕まっていました。卵はまだ孵化していないように見えますが、卵嚢から出た幼虫も母グモがそばにいないと生存率に違いが出てくるかもしれません。




(2025.05.08・明石公園)

2025年5月17日土曜日

ホシミスジの若齢幼虫

 これも虫仲間のNさんに居場所を教えてもらった、ホシミスジ Neptis pryeri の幼虫です。長年この公園に通っていて、成虫なら何度か撮っていますが、幼虫についてはユキヤナギにつくというくらいの知識しかなく、実物を見たこともありませんでした。
その幼虫がいたのはユキヤナギではなく同属のコデマリでしたが、計3匹が別々の枝の先端近くで、それぞれぶら下がった小さな枯葉にくっついていました。体長は10mm前後で、まだ若齢と思われます。色と言い形と言いほとんど枯葉と一体化していて、目の前で指差してもらってもすぐには分かりませんでした。予備知識を持ってその気で探さないとまず見つけることは出来ない気がします。

こうして見るとまるでミノムシです。

反対側から。体長約8mmです。

これはやや大きな別個体。

顔面を撮りたくて枝をひねくり回していると枯葉を離れて移動し始めました。

やっと顔が見えました。

これでようやく全体像が分かります。

糞をしました。


最後に顔面アップ。

もう一枚。

(2025.05.08・明石公園)


2025年5月16日金曜日

クノギハバチ幼虫と寄生バチ幼虫(ツブヒメバチ亜科?)

 アベマキの幹や枝にクヌギハバチの幼虫が集まっているのを見てから約1週間後、再び様子を見に行くと、大量にいた幼虫はすべて姿を消していました。おそらく蛹化のために地面に降りて、落ち葉の間か地中に潜ってしまったのでしょう。一方、まだアベマキの葉に残っている幼虫も少数いましたが、よく見るとほとんど(あるいは全部?)が寄生者の幼虫に取りつかれていました。一見正常に見えた丸まった幼虫もその腹部に体長1mm強くらいの寄生幼虫をつけていて(写真1~4枚目)、また既に萎びかけて葉からだらりとぶら下がった幼虫には3mmを超える寄生幼虫が何匹もついています(5~6枚目)。完全に吸い尽くされた寄主の亡骸だけ残っているのもありましたが、寄生幼虫は蛹化のために離れていったのでしょう。寄生された幼虫が幹や枝では全く見られなかったのは、葉から移動するより前の段階で寄生を受けて動きを止められたせいだと思います。
この寄生者について調べてみたのですが、残念ながらよく分かりません。外部寄生ということから最初 Euplectrus (ヒメコバチ科)を思い浮かべたのですが、そちらの寄主は鱗翅目ですし、またコバチ類の幼虫にしては大きすぎます。やはりコマユバチ科が本命かと思って調べてみると、ハバチ類に寄生する種は多くないようです。ハバチヤドリコマユバチ亜科という仲間も存在しますが、こちらを見ると(全てかどうか不明ですが)“ハバチの幼虫の内部寄生性飼い殺し型単寄生蜂”ということなので該当しません。他の亜科の中にも候補があるのかもしれませんが調べがつかないので次のヒメバチ科に行くと、「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」(一色出版)という本に亜科の系統関係と寄主、寄生方法に関するリストがあって、その中でハバチ類に外部寄生するものはハバチヒメバチ亜科とツブヒメバチ亜科の二つです。さらに同じ記事の中で、“ハバチヒメバチの1齢幼虫は卵のなかで、寄主が繭を作るのを待ち、寄主が前蛹になった後で卵から顔を出して食べ始める”とあるのでこれも当てはまりません。残ったのはツブヒメバチ亜科 Adelognathinae で、これはハバチ類幼虫に寄生する外部捕食寄生者であることは間違いないようですが、それ以上の説明を見つけることはできませんでした。他にも可能性はあるのかも知れませんが、とりあえずこれを有力候補としておきます。







(2025.05.08・明石公園)


2025年5月15日木曜日

マガリケムシヒキの産卵

 最近いつもの公園でご一緒することの多い虫探しの達人のFさんが、産卵中のマガリケムシヒキを見つけました。イネ科らしき枯草の折れた茎の先端にとまり、腹端を茎の穴に差し込んでいます。幸い、何枚か撮る間その姿勢でいてくれましたが、まもなく腹端を抜いて飛んでいきました。茎の穴を覗き込んでみると、内径0.7mmばかりの筒の奥に詰め込まれた複数の卵が見えます。この季節、公園を歩けば必ず何匹かは見かける普通種ですが、?十年も虫撮りをやっていて産卵行動を見たのはこれでやっと二度目で、一度目は14年も前のことでした。貴重な場面を見つけてくれたFさんに感謝するほかありません。
その一度目では、本種がエノキの樹皮の隙間に腹端を差し込んで産卵していました。林の中で見かけることの多い種なので産卵も樹幹で行われるのかとその時は解釈していましたが、今回は完全に開けた場所なのが意外です。
ムシヒキアブ類の幼虫は、生態が分かっているものでは地中や朽木の内部で他の虫や幼虫を捕食して暮らしているものが多いようなので、この卵から孵化した幼虫もおそらく地面に降りて地中生活を送るのでしょう。以前に一度、アラカシの枯れ木からトゲツヤイシアブが羽化してくるところを見たことがあります。


卵は以前にエノキの樹皮下に産みこまれたものを撮影しているので、今回はそっとしておきました。

おまけの1枚。同じ日に、キアシキンシギアブを捕えていた♀です。

(2025.05.08・明石公園)


2025年5月13日火曜日

ガザミグモ♂

 脚をいっぱいに広げたガザミグモ Pistius undulatus の♂です。アベマキの葉の上に乗っていたのですが、手を近づけると葉裏に回り込んできました。異様に長い脚は第1と第2歩脚ですが、に比べて体が小さいわりにこの脚の長さはあまり変わらないようで、余計に目立ちます。アズチグモなど他のカニグモ科と同様待ち伏せ型のクモで、巣網は張りません。この長大な脚を拡げて獲物が近づくのを待っているんでしょう。第3・第4歩脚ははるかに短くて、移動にはもっぱらこの2対の脚を使います。体長は5mmほどですが、脚を拡げた差し渡しは25mmを超えています。


(2025.05.08・明石公園)


2025年5月12日月曜日

トゲナナフシの幼虫

 同じ公園に来ていた虫仲間のYさんから、トゲナナフシの幼虫を発見、との知らせをいただいたので早速駆けつけました。体長約15mm、私には初めての大きさ(というより小ささ)ですが、よく見るとなかなかかわいらしい幼虫です。この3月にお馴染みのそらさんのブログで自宅で孵化させた幼虫がアップされていましたが、それと比べると2齢くらいかもしれません。
Yさんは大のナナフシ好きで、このところずっとこのトゲナナフシの幼虫を探しておられたのですが、ほんとに見つけられたのには驚きました。なにしろこの姿かたちで薄暗い林の中の樹木の根際などでじっとしているので、はるかに大きな成虫ですら簡単に見つかるものではありません。ただし日が暮れると活動をはじめいろいろな植物の葉を食べるそうです。昨年1匹だけ自力で見つけた成虫はこちらに出しています。

写真は明るい場所の葉の上に移して撮っています。


(2025.05.03・明石公園)