2019年9月13日金曜日

クロガネモチの実に産卵するニッポンオナガコバチ

初めて見た、ニッポンオナガコバチの産卵です。

いつも通っている公園のクロガネモチの赤い実からこのニッポンオナガコバチ Macrodasyceras japonicum (Ashmead, 1904) が出て来ることを知ったのは9年前の11月末のことです。それ以来毎年晩秋から初冬にかけて同じ木でこのハチの発生を確認していたのですが、産卵行動はまだ一度も見ることが出来ず、その時期も分かりませんでした。

これまでにもこのハチの産卵が見たくて度々足を運び、実が膨らみ始める8月から10月にかけては特に注意していたはずなのですが、見逃していたようです。

形も色も同属のモチノキタネオナガコバチ Macrodasyceras hirstum Kamijo によく似ていますが、産卵管がはるかに短いので簡単に見分けられます。

上と同じ個体です。

これも同じ。産卵管を抜き始めたところです。

これはまた別の個体。

これで産卵時期は分かりましたが、まだ疑問が残ります。このハチの♀は冬の間、各種の木の葉の裏や落ち葉の間で越冬している個体がたくさん見つかるのですが、それらの♀が夏を越して9月の産卵時期までどこかで待機しているというのは考えにくいことです。また今回産卵していた♀はどれも翅端まで2.5~3mmくらいで、これまでに撮影した越冬中の個体よりもひとまわり小型であることからも、新たな世代の♀なのではないかと推測されます。とすれば、これらの♀はどこで育ってきたのか、言い換えれば冬を越した♀たちはどこで産卵しているのでしょうか。
このニッポンオナガコバチはクロガネモチの他に、同じモチノキ属の数種の樹木の実に寄生することが知られていて、そよ風さんのブログではナナミノキBABAさんのブログではソヨゴハンマーさんのブログではウメモドキの実から、それぞれこのハチが羽化してくる場面が紹介されています。しかしいずれも11月初旬から中旬にかけての観察で、多少前後したとしても9月の産卵には間に合いません。
それと関連して、この産卵を見る1週間ほど前に同じ公園で、ニッポンオナガコバチと思われる♂を1匹撮影しています。

翅端まで3mmくらいで、サクラの葉の裏にいました。♀と違って産卵管が無いのでモチノキタネオナガコバチと見分けにくいのですが、そちらはひと回り大柄なので、これはニッポンオナガコバチとして間違いないと思います。とすれば、産卵していた♀たちと同じ世代でしょう。
このハチはこのあたりでは個体数の多い種で、特に越冬中の♀はいたるところで目にします。それらの♀たちが冬が明けてからどこへ産卵に行くのか、いつか突き止めたいものです。

(2019.09.11/♂の写真のみ09.03・明石公園)

ニッポンオナガコバチについては以前のブログでたくさん記事を書いているので、ここで主なものをリンクしておきます。


2 件のコメント:

  1. こんばんは。
    凄い!!とうとう産卵現場をおさえられましたか!素晴らしいです!長年の?がこれでスッキリしました。もう1つの謎もおちゃたてむしさんによって解明される日が近そうですね。

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  2. ありがとうございます。実際にたくさんの雌が産卵しているのを見ると、これまで見つけられなかったことが全く不思議に思えてきます。「もう一つの謎」も、ほんとにそれが存在するのなら、いつか突き止めたいですね。

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