キリの幼木の葉の裏に集まった多数のヒメイトカメムシの間に、細長いカスミカメが数匹混じっていました。
調べてみるとタバコカスミカメ Nesidiocoris tenuis で間違いなさそうです。
体長約3.6mm、翅端まで約4.2mm。トマトやナス、タバコなどナス科の作物につく重要害虫だそうですが、一方では近年アザミウマやコナジラミ類に対する生物農薬としての利用が進められているということです。キリの葉にいたのはそれらの餌昆虫を狙ってのことか、それとも近くにナス科の食草があって偶然移ってきただけなのか、よく分かりません。ただ次の写真のように同種と思われる幼虫も複数見かけたので、この植物でも繁殖しているのかも知れません。
体長約3mmの幼虫で、おそらく終齢でしょう。頭上にはヒメイトカメムシの脱皮殻。
こちらはまだ斑紋の現れていない羽化後間もない個体でしょう。
ただ、分岐した太い葉脈の間から動かず、ゆっくりと体を前後させている格好は産卵行動を思わせます。
無理矢理その場から立ち退いてもらったあとの葉面には、小さなお椀型の突起がいくつも見えます。
もしやこれが葉に埋め込まれた卵の先ではないかとも思ったのですが、植物自身が生じさせたものである可能性の方が高いでしょうね。
(2019.10.17・明石公園)