2019年11月13日水曜日

スリコラ属の一種(Thuricola sp.)

ロリカ(コップ状の殻)に2個の娘細胞が収まったツリガネムシの仲間で、先月このブログにバジニコラ属の一種?(?Vaginicola sp.)として掲載したものによく似ています。しかしこちらの方が大型で、さらにロリカの内部に、細胞が収縮した際に閉まる弁(valve)を持っています。
同じようにロリカに入った繊毛虫で旧ブログに掲載したピキシコラ属(Pyxicola sp.)もオペルキュルム operculum と呼ばれる、収縮時に閉まる蓋のようなものを持っていますが、これは細胞の一部が変化した構造で、スリコラの弁とは全く異なります。最後の動画で、この弁の動きがよく分かると思います。

2個の娘細胞がちょうど上下に位置していて、同時にピントを合わせることが出来ません。

矢印で示したのが弁(valve)です。

上の細胞にピントを合わせています。円い収縮胞や細長い核が見えていて、弁も確認できます。

収縮した細胞が弁(ピントが合っていませんが)を押し開けながら伸び始めたところ。

動画です。

周りをウロウロするワムシに驚いて収縮した後、細胞が伸びてくる様子が見られます。

(2019.10.10・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月12日火曜日

脱皮直後のジョロウグモ

陽だまりで、脱皮したばかりのジョロウグモがそよ風に揺れていました。
もっと早い段階で見つけていれば良かったのですが、そういう幸運にはなかなか恵まれません。




この季節、いたるところで大きなお腹の♀が見られるはずのジョロウグモですが、今年は例年よりずいぶん少ない気がします。

(2019.11.08・明石公園)




2019年11月11日月曜日

内肛動物の一種?

いつもの公園の池での採集物の中で見つけたものです。
繊毛の生えた触手を拡げていることから最初淡水性のコケムシ(外肛動物門 Bryozoa)ではないかと思ったのですが、コケムシの仲間はすべて群体性で、それぞれの個虫はキチン質や石灰質の虫室に収まっているはずです。そこで更にネット情報を探して、内肛動物門(Entoprocta)という分類群があることを知りました。
内肛動物の名称の由来は触手冠の内側に肛門が開いていることで、それが外側に開いている外肛動物に対して名付けられたようです。この仲間には単体性の種もあるそうで、画像検索をかけると今回撮影したものによく似た形態の写真や図が多数出てきます。ただほとんどの種が海産で、淡水産ではシマミズウドンゲ Urnatella gracilis Leidy という種がいくつかのサイトで紹介されていますが、これは「茎」の部分がいくつかの節に分かれていて、写真を見る限り同じ種ではなさそうです。
上のような事情で確信はありませんが、いつか詳しい方からご教示いただけることを期待して、タイトルは疑問符付きで内肛動物の一種としておきます。





(2019.06.30・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月10日日曜日

キイロテントウ

シンジュの枝を見上げると、キイロテントウの蛹や成虫がたくさん。

いろいろな植物に発生するうどん粉病菌などの菌類を食べるテントウムシですが、このあたりでは特にクワやシンジュ、ハナミズキなどで見かけることが多いようです。

ちょうど羽化のシーズンだったようで、ほとんどの成虫はまだ蛹の抜け殻にしがみついています。



個の蛹は羽化間近でしょう、赤い複眼が少し不気味です。

蛹化前の幼虫もいました。卵や1齢幼虫はこちらに出しています。

(2019.11.01・学が丘北公園)

2019年11月8日金曜日

糞を背負ったキノコバエ科幼虫


落葉の間にいた、自分の糞を背負った双翅目幼虫です。どこかで見たはずだと思い帰宅して調べてみると、やっぱりBABAさんのところにありました。そこでは ezo-aphid さんとともに詳細に調べられた結果キノコバエ科 Epicypta sp. とされています。幼虫の体型はよく似ていて、同属かも知れません。

湿った落ち葉にくっついた、何かの糞のようなものを見ていると、

動き出しました。

自分の糞を背負ったウジムシのようです。全体の長さは約2.5mm。下から小さな頭が覗いています。

逆光で見ると体の下の部分が透けています。

ときどき頭を持ち上げるのですが、薄暗い場所でなかなかピントとタイミングが合いません。

一対の角のようなものは何でしょうか。

落葉の先でそっと裏返してみました。

糞の覆いから身を乗り出すようにして起き直ろうとしています。

脚はありません。

なんとか起き直ったのですが糞のお家が落ち葉にくっついてついてこず、結局裸になってしまいました。

ずんぐりとした体型で、体長もやはり約2.5mmです。

皮膚の下の気管がよく見えます。

これでお終い。たくさん食べて早くお家を再建してくれればいいんですが。

(2019.11.01・学が丘北公園)

2019年11月7日木曜日

ヤノイスアブラムシの出産

この時期、コナラの葉の裏でよく見られるヤノイスアブラムシ Neothoracaphis yanonis です。

葉脈に沿って点々と、黄色い粒と黒い粒が散っていますが、黄色いのはやがて有翅成虫になってイスノキに戻る幼虫、黒いのは無翅成虫ということです。

その黒い無翅成虫の中に、ちょうど出産中の個体がいました(画面中央やや下)。成虫と言っても、一緒に写っている有翅幼虫と比べるとかなり小柄です。

母虫は体長約0.55mm、生まれてくる幼虫は約0.45mm。

真っ黒の小さな母虫から、大きさがあまり違わない黄色い幼虫が生まれてくる光景はちょっと不思議です。この大きさの差からすると、一匹の成虫が産む幼虫の数はおそらく多くはないでしょう。このあたりからしばらく動きが止まってしまったのでここで撮影中止。

近くの葉でも出産が進行中でした。

最初のより小さく、成虫の体長は約0.4mm。

こちらの方が進行が早くて、ちょっと目を離した間に生まれた幼虫が歩きまわっていました。体長約0.35mmです。
ヤノイスアブラムシは一次寄主(有性生殖が行われる)のイスノキと二次寄主(単為無生殖が行われる)のコナラの間を往復する移住性のアブラムシです。旧ブログで何度か記事にしているのでここでまとめてリンクしておきます。

2010.05.212013.04.132018.04.19(イスノキのゴールと幹母)
2012.10.21(コナラの幼虫と成虫)
2013.12.04(イスノキの有翅産性虫と無翅卵性虫)
2014.01.15(1月にコナラにいた有翅幼・成虫)

(2019.11.01・学が丘北公園)