2020年2月4日火曜日

アブラゼミの卵?

ハイイロチビフサヤスデのたむろするケヤキの樹皮下に産み付けられていた虫卵。
ネット上に多数アップされているアブラゼミの卵によく似ています。セミの産卵場所と言えば枯れ木枯れ枝と思っていたのでこんな場所に産卵するものだろうかと疑問を感じたのですが、こういう生木の樹皮下に産卵することも珍しくないそうです。
ただこの場所ではアブラよりクマゼミの方が多いし、両者の卵の外見の違いもよく分からないので、タイトルには疑問符をつけておきます。




(2020.01.21・明石公園)


2020年2月3日月曜日

ステファノピクシスの一種(Stephanopyxis sp.)

引き続き海の珪藻です。
これはステファノピクシス属 Stephanopyxis の一種でしょう。7細胞の群体です。以前のブログでも同じタイトルで出していますが、それよりも細胞の直径が大きく、直径に対する高さが小さく、そして円筒の外周(帯面)の網目模様が中央部(上下両殻が接する部分)で最も小さく、離れるにしたがって大きくなっています。細胞の大きさはあまりあてににはなりませんが、殻面の部位による網目の大きさの変化は種によって違うようです。前回出したものでは場所によらずほぼ同大ですから、今回のものは別種だと考えられます。



細胞の中心軸付近にピントを合わせています。

細胞同士は殻の縁から伸びた刺で繋がっています。

網目模様は六角の蜂の巣状。茶色の粒々は葉緑体です。

(2019.12.26・西舞子海岸にて採集)


2020年2月2日日曜日

コアミケイソウの一種(Coscinodiscus sp.)と粘液糸

これはおそらくコアミケイソウ Coscinodiscus の一種で、近所の海岸でネットを曳くとごく普通に採れるものです。以前のブログに出したもの(こちら)もおそらく同じものだと思いますが、殻の周縁部から放射状に伸びる細くて長い刺を持っていて、これが前々からの疑問なのでした。
手持ちの図鑑類にはその存在について全く触れられていなくて、ネット上を探してもこの構造の確認できる画像が見つかりません。生きている細胞であれば実体顕微鏡でも簡単に見えるものなので不思議に思っていたのですが、今回改めて調べてみてようやく、珪藻の世界というサイトの被殻構造というページにその説明を見つけました。
それによればこの刺のようなものは中心珪藻に見られる有基突起という、殻外側に突出する中空の突起から放出される粘液糸で、プランクトン性の種類はそれによって浮遊性を高めているのだそうです(正確にはリンク先をご覧ください)。これまでひょっとしたら自分はものすごく珍しい種を見ているのかと思っていたのですが、そういう訳でもなかったようです。それにしても、このような明確な特徴を捉えた画像が見つからないのはなぜなんでしょうね。





次は同じ日に見つけたやや小型の別種ですが、やはり同様の粘液糸が見えます。



(2019.12.26・西舞子海岸にて採集)




2020年1月31日金曜日

ハナノミダマシ科の幼虫

ケヤキの幹の、五百円玉くらいの大きさの樹皮を剥がしてみると、こんな幼虫が出てきました。

体長は4mmくらいですが、お尻の先に妙なものをくっつけているように見えます。
頭部を見ると甲虫らしいので保育社の原色日本甲虫図鑑の第1巻で探してみると、よく似たものが出ていました。ハナノミダマシの一種 Scraptia sp.とあります。属はともかくとして、同じハナノミダマシ科 Scraptiidae の一種であることは間違いなさそうです。

その線でネットを検索してみると、害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)で取り上げられているのが見つかりました。その記事へコメントが寄せた方がポーランドの研究者による論文を紹介されていて、そこにはこの幼虫が外的な刺激に応じてその「尾」を自切し、またその後再生もするということが書かれているそうです。



(2020.01.21・明石公園)


2020年1月30日木曜日

カシトガリキジラミに寄生するヒメコバチ科の一種(深度合成)

先日の、カシトガリキジラミ幼虫に産卵していたヒメコバチを採集して深度合成撮影をしてみました。撮影には1匹あれば良かったのですが、いつもつまらないミスをして標本を駄目にするので可哀そうですが2匹とも捕まえました。最初の2枚は体長約1.5mmの大きい方の個体、次の5枚は1.2mmの小さい方です。








ついでに、産卵されていた個体ではありませんが、寄主であるカシトガリキジラミの幼虫も。これは動かないので生体です。




(2020.01.21・明石公園にて採集)

2020年1月28日火曜日

カサボネケイソ ウ Corethron criophilum

何かのカプセルのような面白い形をした珪藻 Corethron criophilum です。「日本の海産プランクトン図鑑」では「新称」としてカサボネケイソウという和名が与えられています。



(2019.12.24・西舞子海岸にて採集)


2020年1月27日月曜日

カシトガリキジラミに産卵するヒメコバチ科の一種

アラカシの葉裏にカシトガリキジラミの幼虫が沢山ついていたので、脱皮中のものでも見つからないかと探していると、この幼虫に産卵しているヒメコバチがいました。
同様の光景は7年前の3月にも撮影していて、寄生者のヒメコバチも同じ種だろうと思っていたのですが、帰宅して確認すると腹部や脚の色が異なり、別種のようです。それにしても、暖冬とはいいながら年中で最も寒いはずの季節に産卵行動が見られるとは意外でした。

1枚の葉に数匹のキジラミ幼虫が寄生していて、その中の1匹に産卵していました。体長は約1.2mm。

産卵管を抜いてもまだ同じ寄主を探っています。

先ほどとは反対側に産卵管を差し込みます。

その後しばしの探索を経て次の犠牲者を見つけました。

同じように寄主の体の下面に産卵管を差し込みます。

キジラミ幼虫はどれも終齢のようでした。

別の葉でもう一匹、産卵中のヒメコバチを見つけました。最初のよりやや大きく体長1.5mmほどですが、同種のようです。

これは別の木のカシトガリキジラミ幼虫で、体長約2.4mm。さて無事に羽化できるでしょうか。

(2020.01.21・明石公園)