2020年5月22日金曜日

タイワントガリキジラミ1齢幼虫

この3月から4月にかけて、タイワントガリキジラミ Trioza formosana の終齢幼虫新成虫の羽化を見たモチノキに新葉が出そろっていて、裏返してみるとすでにあちらこちらに1齢幼虫がついていました。

幼虫が定着した場所は葉面がすでに少し凹んでいます。

体長は0.3~0.4mmくらいで、同属のカシトガリキジラミクストガリキジラミの1齢幼虫とよく似ています。




寄生された葉の表面には幼虫が成長するにつれ真っ黒な染みが拡がってきますが、まだこの段階ではやや白っぽいわずかな隆起が見られるだけです。

このタイワントガリキジラミに関しては、以前のブログでも成虫幼虫の脱皮、などの記事を出しています。

(2020.05.14・明石公園)


2020年5月21日木曜日

アワフキ幼虫の泡

アラカシの葉を捲ってみると、アワフキ幼虫の泡の巣が。

中に幼虫の赤い色が見えます。多分シロオビアワフキでしょうね。傍らでタマバチが死んでいますが、本題には関係ありません。

この泡が、よく見ると大変面白いのです。

一つの泡の中にたくさんの小さな泡。どんな仕組みでこういう泡が出来るんでしょうか。

(2020.05.02・明石公園)


2020年5月20日水曜日

マスダアラカシタマバチ 単性世代(その3)および別種のタマバチ

アラカシの雌花の花芽に産卵するマスダアラカシタマバチ単性世代を見てから約1週間後、同じ場所ですでに花が開き子房が膨らんだ雌花に産卵している個体がいました。
この日は同じ種は他に見当たらず、この個体だけ羽化が遅れていたのかも知れません。ただ、前の記事でも参照した TAMABACHI JOHO-KAN を見るとマスダアラカシタマバチの両性世代が出現する(つまり単性世代の産卵によって作られる)虫こぶ(カシメフクレタマフシ)はアラカシの冬芽に形成されるもののようです。とすれば雌花に産卵するというのは理解に苦しみます。



時期と堅果の成長段階は異なりますが、産卵部位は9月頃にドングリに産卵するタマバチ(?Synergus itoensis アラカシミイソウロウタマバチ)と同じように見えます。

上の写真からさらに約一週間後、やはり同じアラカシの雌花に産卵している別種のタマバチを数匹見かけました。写真を見ただけでもマスダアラカシタマバチともアラカシミイソウロウタマバチとも違う種であることは確かだと思いますが、これが虫こぶ形成者なのか、それとも同居者あるいは寄生者なのか分かりません。


これも産卵部位は同じです。



枝に産卵しているものもいました。

アップで撮れなかったので同種かどうかは分かりませんが、マスダアラカシタマバチではなさそうです。

(2020.05.08/16・明石公園)




2020年5月19日火曜日

カシエダフクレズイフシとカタビロコバチの一種(Sycophila sp.)

先日のマスダアラカシタマバチ単性世代の産卵を見てから十日あまり後、それらのハチが出たと思われる多数の脱出口の開いた枝(カシエダフクレズイフシ)に小さなカタビロコバチが来ていました。2匹の♂が、枝に開いた穴から顔を出した♀の脱出を待っているようです。おそらくSycophila 属の一種で、キイロカタビロコバチ S. variegata かも知れません。
カタビロコバチ科では多くの種が虫こぶを作る昆虫に寄生、あるいは同居することが知られていて、以前のブログでも何度か、この仲間が虫こぶなどに産卵する様子を掲載しています(2012.10.15,2012.10.23,2013.08.24,2016.10.22,2017.06.02)。
おそらくこのカタビロコバチもマスダアラカシタマバチの寄生者、または同居者なのではないかと思います。是非♀の誕生の瞬間を見たいと思い長い間待っていたのですが、ちょっと目を離したすきに穴から出てきて♂とともに消えてしまいました。

2匹の♂はこういう状況で見ない限り同種とは思えないほど体色が違います。やはりこの種もニッポンオナガコバチ♂のように、大型になるほど黒色部が広くなる傾向があるんでしょうか。




こちらのような場面を期待したのですが、今回は叶いませんでした。

(2020.05.14・明石公園)


2020年5月18日月曜日

ヒラタケシキスイ属の一種(Epuraea sp.)

伐採木の上を歩いていた小甲虫です。カメラを近づけると立ち止まったのでじっくり撮れると思ったのですが、数回シャッターを切っただけで転がり落ちてしまいました。体長約3.1mmで、ヒラタケシキスイ属 Epuraea の一種だと思います。



(2020.05.02・明石公園)


2020年5月17日日曜日

マスダアラカシタマバチ 単性世代(その2)

昨日の記事の、マスダアラカシタマバチ Plagiotrochus masudai の単性世代を採集して深度合成撮影しました。






(2020.05.02・明石公園)



2020年5月16日土曜日

マスダアラカシタマバチ 単性世代(その1)

アラカシの新梢で赤いタマバチが産卵していました。
初めて見るものですが、調べてみるとこれまで度々この時期に産卵を見ているマスダアラカシタマバチ Plagiotrochus masudai の単性世代だということが分かりました。これまで見ていた黒い個体はその両性世代だったのです。
同じアラカシの新梢といっても黒い両性世代の♀は必ず枝の真直ぐな部分の中ほどに産卵していましたが、この赤い♀は葉柄の付け根にとまって、雌花の花芽に産卵管を刺しているようです。ただ、多数の個体の内1、2匹、枝の途中で産卵しているものもいました。これまで見逃していたのは産卵部位のせいで目につきにくかったためでしょう。
このマスダアラカシタマバチは2010年に日本で新種記載された種ですが、その命名者の一人である井手竜也博士のサイト TAMABACHI JOHO-KAN でその生活環の概略が紹介されています。両性世代が産卵した枝に生じたカシエダフクレズイフシから春に単性世代の♀が羽化し、そして新梢の芽に産卵、翌年春にそのカシメフクレタマフシから両性世代が出現、そして枝に産卵し、翌々年の春に再び単性世代が出現、という3年周期の世代交番が解明されているようです。

ほとんどの個体は葉柄の付け根に生じた雌花の花芽に産卵していました。







枝の途中に産卵している個体もいました。

右の個体は花芽に、左のは枝に産卵しています。

この日、これらの♀の脱出口を確認していなかったのを思い出して、数日後同じ木を見に行きました。

去年伸びた枝に、たくさんの脱出口が開いていました。このように少し膨らんだ部分も、普通の枝の代わりが無いように見える部分もありますが、これがカシエダフクレズイフシですね。

開口部の直径は.07mm前後です。

(2020.05.02・明石公園)