2020年8月15日土曜日

ヨツモンシガニセクビボソムシ(Shigaderus nakagawayui M. Saitô & Young, 2015)

これは以前のブログで8年前、ニセクビボソムシ科の一種として掲載していたもので、当時甲虫図鑑などを調べても該当する種が見つかりませんでした。その時点では未記載だったようですが、滋賀県大津市で多数の個体が採集されていて、それらの標本をもとに2015年11月に日本甲虫学会の斎藤昌弘氏によってヨツモンシガニセクビボソムシ(Shigaderus nakagawayui M. Saitô & Young, 2015)と命名・記載(新属新種)されました。
また2014年7月に採集してお送りした5頭の標本は斎藤氏により同定され、「月刊むし」No.547(2016年9月号)にヨツモンシガニセクビボソムシの追加産地(兵庫県明石市)として報告されています。
今回は数年ぶりの再会で、サクラの葉裏で静止していたものですが、数枚撮影すると動き出したのでそのまま採集して深度合成撮影に供しました。

これまでに撮影した個体はすべてこのように広葉樹の葉裏で静止しているだけでした。夜行性なんでしょうか。体長約1.8mmです。
以下深度合成。








(2020.08.06・明石公園にて採集)


2020年8月14日金曜日

ボルボックス、フクロワムシ、他

残暑お見舞い申し上げます。
今夏はコロナ騒ぎも重なってひときわ暑さが身にこたえますが、このあたりで涼し気な(?)プランクトン遊泳画像をひとつ。
登場するのはボルボックス(若い群体ばかり)、フクロワムシ、ツボワムシ、カメノコウワムシ、豆粒のようなカラヒゲムシ、等々です。


少しは涼を感じていただけましたでしょうか。

(2020.07.17・明石公園 剛の池にて採集)

2020年8月13日木曜日

ブチミャクヨコバイの一種の幼虫

イヌビワの葉裏にいたヨコバイ幼虫です。
一対の長い尾角があるのでブチミャクヨコバイの一種だと思いますが、ブチミャクヨコバイ属(Drabescus)の一種とすべきかブチミャクヨコバイ亜科(Selenocephalinae)の一種とすべきかよく分かりません。体長は約4mmです。





(2020.08.04・明石公園)


2020年8月12日水曜日

ナガゴマフカミキリ・産卵行動?

ウバメガシの幹にいたナガゴマフカミキリですが、腹端を樹皮につけてじっとしているので覗いてみると、産卵管のような管を伸ばしています。産卵中だろう思って撮影を始めたのですが、その管を出したり入れたり、中途半端な動作をしていて、よく見ると♂の交尾器のようにも見えます。カミキリムシの産卵管も♂の交尾器もじっくりと見た経験がないのでよく分かりませんが、♀もいないのに♂が交尾器を伸ばす必要もないだろうし、やっぱりこれは産卵行動なんでしょうか。





(2020.07.28・明石公園)


2020年8月11日火曜日

ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ・つづき

昨日の記事の、ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ科 Mymaridae の一種を採集して深度合成撮影をしてみました。
このくらいの大きさになると透化処理をしてプレパラート標本にするのが正しい方法なんでしょうが、その技術もないのでいつものように冷凍殺虫の後、いつもの方法で撮影しています。大きなゴミが残っているのやレタッチが行き届かないのはご容赦ください。






上5枚と下2枚は別個体です。



(2020.08.04・明石公園にて採集)


2020年8月10日月曜日

ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチに再会

4年前に初めて見て以来気をつけてはいたのですが、ようやく再会することが出来ました。サクラの葉の裏で、ナシグンバイの卵に産卵するホソハネコバチ科 Mymaridae の一種です。しかも今回は1枚の葉で数匹の個体が産卵していて、また同じ木の別の葉でも見つかりました。おそらくあまりに小さいので、注意していたつもりでも見逃していたのでしょう。体長は0.35から0.4mm、翅端の総毛の先まででも0.5から0.6mmほどで、野外で追いかけるにはかなり苦しいサイズです。

サクラの葉裏にナシグンバイの成虫が数匹。よく見れば小さな黒い粒々が集まっているところがあって、産卵中か産卵を終えた後のようです。

葉を引き寄せて何枚か撮るうち、なにか小さなものが視野を横切るのが見えたのでモニタを確認すると、写っていました。忘れもしない、あのホソハネコバチです。

葉を枝からそっとちぎり取ってその場に座り込み、レンズを替えて撮影を続けます。やはり前回も見たように、卵を覆う噴火口状の塊の横腹に産卵管を刺しています。

ピンボケですが、頭上を巨大なナシグンバイが通り過ぎても全く動じません。その後撮影の邪魔なので、グンバイさんにはそっと退去してもらいました。


この1枚の葉の2カ所にナシグンバイ卵塊があって、正確には数えられませんが6~7匹のホソハネコバチが産卵していました。



仲間に邪魔されそうになった時に翅を開くようです。

最後は別の葉の卵塊です。撮影時には全く気が付かなかったのですが、卵を覆うタール状物質にホソハネコバチが1匹埋もれています。産卵中の事故か、あるいは羽化した後の脱出に失敗したのかも知れません。

(2020.08.04・明石公園)


2020年8月9日日曜日

ヒトスジトビコバチ?(Comperiella ?unifasciata)(改題)

* 2020.08.12・タイトル変更 *

当初ニジモントビコバチ属の一種ではないかと考えていたのですが、BABAさんより、北隆館の大図鑑Ⅲに掲載されているヒトスジトビコバチ(Comperiella unifasciata)あたりではないかと教えていただきました。調べてみると確かにその種か、少なくとも同属で間違いなさそうですので、タイトルを変更しました。ミカンマルカイガラムシの寄生者だそうです。なお、記事中で“体長”1.8mmとしていたのは“翅端まで”の誤りでしたのでこれも修正しました。

この日はバッグにルーペを入れるのを忘れていて、イヌビワの葉裏になにか小さな虫がついているのをアザミウマかと思って直接カメラを向けてみると、これまで見たことのない綺麗なトビコバチでした。
撮影を始めるとすぐに歩きはじめ、そのまま見失ってしまうことを恐れてフィルムケースに採集したのですが、なんたることか、その日のうちに誤って蓋を開け、逃げられてしまったのでした。残念。

足早に歩くので、なんとかうまく収まったのはこの1枚だけ。鮮やかな背面や太い触角などを見るとニジモントビコバチ属(Cerapteroceroides)の一種ではないかと思います。体長は翅端まで約1.8mmです。
翅が折れ曲がっているので最初羽化に失敗した個体かと思いましたが、これが正常な形のようです。その証拠に容器の蓋を開けた途端、元気に飛んで行きました。

もう1枚、撮りそこないですが・・・。
いつかまた、再会したいものです。

(2020.08.04・明石公園)