2020年8月23日日曜日

ヘクソカズラグンバイとクモに捕えられたホソハネコバチ

先日のナシグンバイ卵に産卵するホソハネコバチや、BABAさんの、アワダチソウグンバイのコロニーにいた♂のホソハネコバチの記事を見て以来、グンバイムシのコロニーが気になります。
この日はヘクソカズラグンバイに寄生されたヘクソカズラの葉を片端からルーペで調べて回りましたが、グンバイの卵はあってもホソハネコバチらしきものは全く見つかりません。

とりあえず、羽化後あまり時間がたっていないと思われるヘクソカズラグンバイ成虫がいたのでそれを撮影。

左右に大きく張り出した翼のような突起が魅力ですが、よく見るとその表面を走る翅脈のような筋のパターンが左右で少し違っています。

ついでに幼虫、体長約1.7mm。

こちらは約0.9mmの若齢幼虫。

この日グンバイに寄生された葉で何度も見かけた、幼体と思われる体長0.9mmほどのクモです。獲物を咥えていますが・・・。

ひょっとして、ホソハネコバチ?

翅には長い総毛。

触角はナシグンバイ卵に産卵していた種によく似ていて、翅の長さも同じくらいです。同種かどうかまでは判断できませんが、ホソハネコバチに間違いないでしょう。
このホソハネコバチが寄生卵を産むためにこの場所にいたとは言い切れませんが、貴重な獲物をクモに横取りされた気分になったのでした。

(2020.08.18・明石公園)


2020年8月22日土曜日

ボルボックス・娘群体の脱出

先日の記事と同じ池で採集したたくさんのボルボックスを眺めていると、ちょうど娘群体が親群体から離れるところを見ることが出来ました。

大小7個の娘群体を持った群体です。

最初の娘群体が出ようとしています。


この後すぐに動画に切り替えました。


動画では最初の状態と、すでに2個目の娘群体が出た後3個目から6個目が出る様子が見られます。

(2020.07.31・明石公園 桜堀にて採集)

2020年8月21日金曜日

カメムシ卵から出て来るナガコバチ科 Anastatus sp.雌雄

昨日の記事の、寄生を受けているらしいカメムシ卵はそのまま持ち帰り、毎日様子を見ていたのですが、15日目の朝、ようやく2個の卵で穿孔作業が始まっていました。

卵塊にくっついていたタマゴクロバチの♀は数日後に死んでしまい、また1個の卵ではなぜか蓋が凹んでしまっています。

しかし穴から顔を覗かせたのは、あのタマゴクロバチではありません。

見覚えのある顔です。

充分な大きさに穴を拡げるにはまだ時間がかかるだろうとのんびり構えていたところ、不意に出てきました。

頭に続いてごく短い時間で全身が出てしまい、倍率を下げるのが間に合わず途中が撮れませんでした。出てきたのはお馴染みの、ナガコバチ科 Anastatus 属の一種、♀です。よく見かける種で、先日別のキマダラカメムシ卵にとまっていたのもおそらく同種でしょう。

その間にもう一つの卵でもだいぶ穴が拡がっていましたが、そこから覗く顔は最初のとは色が違います。

やはり、前触れなくいきなり頭を出してきました。

しかし今回はそこで若干手間取ったので、その間に急いで倍率を下げます。

太い触角はまだ蛹殻に覆われています。

欲を言えば背面からではなく真横から撮りたかったのですが、角度を変える余裕がありません。

出てきたのは♂でした。後脚で翅を伸ばしています。以前、やはりカメムシ卵から出てきたものと同じ種のようです。その時出てきたのは♂ばかりで、それはおそらく寄主の卵が小さかったせいと推測されますが、今回はサイズに余裕があったので雌雄両方の寄生卵が産み付けられたのではないかと思われます。
この11個の卵塊からは翌々日に♀がもう1匹出てきましたが、他は死んでしまったのか、その後ハチもカメムシも出て来ることはありませんでした。

(2020.08.05・自宅にて撮影)

2020年8月20日木曜日

カメムシ卵とタマゴクロバチの一種

コナラの葉裏に産み付けられたカメムシの卵に、タマゴクロバチ(ハラビロクロバチ科)の一種が乗っていました。

大きさからするとキマダラカメムシの卵のようですが、多くはすでに寄生されているのか黒い影が透けて見えます。

触角が片方失われています。最初♀の羽化を待つ♂かと思いましたが、残った左の触角を見ると♀のようです。

タマゴクロバチはどれも同じように見えて区別が難しいのですが、これまでに撮影したものの中ではこちらによく似ていて、同種かも知れません。

♀であれば産卵行動が見られるかと期待しましたがそんな様子もありません。この卵から何が出て来るか見たいのでハチごと卵塊を採集して帰りました。

(2020.07.20・明石公園)


2020年8月19日水曜日

ニセウチワヒゲムシ属の1種(Lepocinclis sp.)

ずんぐりしたミドリムシだと思って調べてみると、ミドリムシ(Euglena)ではなくニセウチワヒゲムシ(Lepocinclis・レポキンクリス)の一種のようです。淡水微生物図鑑に載っている Lepocinclis salina によく似ていて、この学名で検索するとよく似た画像がいくつか出てきました。写真だけ見るとウチワヒゲムシのように扁平であるかのような印象を受けますが、動画を見れば分かるとおり瓜のような回転楕円体です。ユーグレナ運動はしません。



動画です。


(2020.07.22・明石公園 桜堀にて採集)

2020年8月18日火曜日

ボルボックスの有性群体

昨日の動画にも登場しましたが、ボルボックス(Volvox sp.)の有性群体(Sexual spheroid)です。

群体内に散らばっているオレンジ色の球体が受精卵ですが、初めて見た時にはこれも初期娘群体かと思いました。

ほとんど動かなかったので深度合成撮影。ただし手前側半分にしかピントを合わせていないので受精卵の数が少なく見えます。


受精卵は円錐形の棘に覆われています。

群体表層の体細胞。細胞を繋ぐ連結糸と、鞭毛もどうにか見えます。

動画です。


(2020.07.17・明石公園 剛の池にて採集)


2020年8月17日月曜日

ボルボックスの遊泳

先日の記事の動画を撮影した5日後、今度は同じ公園の別の池でたくさんのボルボックス(Volvox sp.)が採れました。前回はまだ娘群体を持たない、小型の若い群体がほとんどでしたが、今回は内部に娘群体を持った大型の群体が多く、また赤っぽい色の受精卵を持った有性群体、それに誕生後間もないと思われる小さな群体もたくさん見られます。


この有性群体は、最初手元の図鑑やネット上でも画像が見つからず、どういう状態なのか分かりませんでした。調べてみるとボルボックスの培養株では有性群体や卵の観察は難しいということで、画像や動画が少ないのはそのせいかも知れません。

(2020.07.22・明石公園 桜堀にて採集)