2020年9月1日火曜日

キマワリ幼虫を運ぶアリガタバチの一種

ごつごつとしたアラカシの根方を大きなイモムシをぶら下げた黒いアリが、と思って近づくとアリではなくハチでした。これは初めて見る狩りバチか、と興奮しつつカメラを向けようにも手に持っていたのは高倍率レンズつきで、慌ててバッグからもう一台を取り出す間にもハチはどんどん歩いて行きます。見失うまでにどうにか数枚撮影できましたが、どれも遠すぎる上に半分はピンボケでした。
辛うじてピントの合った写真を見るとイモムシはキマワリの幼虫、ハチはアリガタバチのように見えます。キマワリの幼虫を獲物にするアリガタバチというのは聞いたことがありませんでしたが、いろいろ検索してみると1件だけ、ゴミムシダマシの幼虫を捕えたアリガタバチの写真が見つかりました。その記事ではそれ以上詳しい情報は得られませんでしたが、アリガタバチの仲間にその種の獲物を狩るものがいることは確かなようです。
以下、写真はすべて大幅にトリミングしているので不鮮明です。



ハチの体長は約9mm、キマワリ幼虫は約16mm。ハンターに比べてずいぶん大きな獲物ですが、頭を咥えてぐいぐい引き摺り、やがて樹皮の下に姿を消してしまいました。冬場に葉の裏で越冬しているのは何度も撮影しているアリガタバチですが、生態の一端を見たのはこれが初めてです。

(2020.08.06・明石公園)


2020年8月31日月曜日

モンスズメバチ

暑さのせいか何の木だったかメモするのを忘れてしまいましたが、幹から流れる樹液に来ていたモンスズメバチ Vespa crabro です。こちらのようにセミを好んで獲物にすることが知られていますが、このあたりの公園ではオオスズメバチやコスズメ、キイロスズメなどに比べて個体数は少ないようです。





(2020.08.18・明石公園)


2020年8月30日日曜日

ファコタス(Phacotus sp.)

これは緑藻類のファコタス(Phacotus)の一種だと思います。
ちょうど碁石のような、厚めの空飛ぶ円盤とでもいった形で、小石が転がるように回転しながら視野を横切っていきます。二つのお椀を合わせたような殻の中に細胞が納まっているのだそうです。活発に運動している間はいろいろな角度をとるのでその全体の形が理解できるのですが、静止してしまうと円盤型であることしか分かりません。

アオミドロと比べると分かるように、かなり小さな生き物です。

ちょうど横向きになると、二つのお椀を合わせたような形がよく分かります。画面左の赤っぽいものはカラヒゲムシ(Trachelomonas)です。

運動している同じ一つの細胞を撮ったもので、辛うじて鞭毛らしきものが見えています。

ほぼ静止した状態。赤い眼点が見えます。

動画です。


(2020.07.23・明石公園の水溜まりにて採集)

2020年8月29日土曜日

ウロレプタス(Uroleptus sp.)

細長い繊毛虫で、ウロレプタス(Uroleptus)属の一種だと思います。

右が頭部。後端部は尻尾のように長く伸びています。


腹側には刺毛列が見えます。

動画です。

非常に活発に泳ぐのでかなり追いかけるのに精一杯です。微生物はなるだけ活きのいい内に撮影したいのですが、こういう動きの速いものは少し弱ってくるのを待つか、何らかの方法で動きを押さえないとまともな映像が撮れません。

(2020.07.23・明石公園 桜堀にて採集)


2020年8月28日金曜日

明石で昆虫写真二人展

お知らせが遅くなりましたが、去年に続いて今年も昆虫写真展に参加しています(こちら)。
場所は明石アスピア スマイルギャラリー(アスピア北館3階通路)、
期間は本日8月28日(金)より9月16日(水)、10時から20時(最終日は16時まで)です。



スペースにも限りがあるので、今回の私の展示はカメムシに絞りました。
と言ってもそれほどネタがあるわけでもないので、既にブログに掲載した写真がほとんどです。
出品者が二人だけなのでどちらも不在の場合も多いかと思いますが、お近くに来られる機会があれば覗いていただければ幸いです。(とりあえず明日の午前中は会場に詰める予定です。)

2020年8月25日火曜日

ミンミンゼミの交尾

サンシュユの幹で、1匹のミンミンゼミが中途半端な鳴き方をしながらじりじりと後退りに降りて来るので何だろうと思って見ていると、その先に♀がいました。

向きを変えて♀に近づきますが、残念ながら枝が邪魔になって撮りにくい場所です。

交尾が始まったようです。セミは大きくて沢山いて目立つ割には、交尾を目撃する機会の少ない虫です。

反対側に回って撮影。手前が雌です。

ミンミンゼミの斑紋は結構変異があるようですが、雌雄による違いもあるんでしょうか。

(2020.08.06・明石公園)

2020年8月24日月曜日

ボルボックスの細胞

ボルボックスの群体をたくさん見ていると、球の表面に並ぶ体細胞の形にもいろいろ違いがあることが分かります。細胞の形の違いは種の区別点にもなるようですが、群体の状態や成長段階によっても違ってくるのかも知れません。

その1

これは先日の記事に出した、娘群体の脱出を見た群体です。各細胞は糸のようなもの(細胞質連絡糸と呼ぶようです)で繋がれていますが、細胞間の境界は見えません。

1枚目と同じですが、鞭毛が写るようにピントを少し上にずらせました。各細胞から2本の鞭毛が伸びているのが見えます。

その2

細胞質連絡糸は見えますが不明瞭で、やはり境界は見えません。油滴のようなものが散らばっていて、少し弱っているのかも知れません。

その3

この群体では各細胞は連絡糸で繋がれていますが、細胞の形はアメーバ状で“その1”とはあまり似ていません。またコントラストが弱く見えにくいのですが各細胞の周りが多角形の境界線で仕切られています。連絡糸が細胞に接するあたりに小さな収縮胞もちらほら見えます。

その4

細胞はきれいな球形で、連絡糸は見えません。細胞間の境界は規則正しい蜂の巣状で、境界線上に小さな粒が見えます。

(2020.07.31・明石公園 桜堀にて採集)