2020年11月10日火曜日

Aaroniella sp.(クロフチャタテ科)の奇妙な行動

 先月も出したばかりのクロフチャタテ科 Aaroniella sp.ですが、この日は奇妙な行動を目撃しました。いつ見てもじっと樹幹に張り付いたままほとんど動きのないこのチャタテが4匹、アラカシの幹で追いかけっこをするように活発に歩きまわっていたのです。
翅を震わせながら互いに体を頻繁に接触させるので、最初は求愛・交尾行動かと思ったのですが、よく見ると参加者はすべて♀です。時々1、2匹が圏外に出て一休みしたりすることもありましたが、撮影しながら見ていた約30分の間、同じ場所で休みなくこの行動が続いていました。いつまでも同じ行動を続けているので一旦その場を離れましたが、1時間後にもどって来た時には完全に動きが止まり、4匹すべていつも見るように身じろぎもせずに樹皮に貼り付いていました。あの騒ぎは何だったのでしょうか。

1匹だけ体色がやや白っぽい個体もいますが、すべて♀です(♂は複眼がかなり大きい)。


勢い余って(?)頭上に張り巡らした糸に翅を取られるものもいます。




動画です。手持ちで揺れが激しく、見苦しいのはご勘弁ください。


そして、その場を離れて約1時間後。

4匹とも完全に動きを止めていました。

(2020.11.05・明石公園)



2020年11月9日月曜日

クサギのコナジラミ・羽化

クサギの葉の裏で羽化しているコナジラミを見つけました。
コナジラミの羽化を見るのは初めてですが、見つけた時にはすでにほぼ全身が出てしまっていて、2分もたたないうちに蛹殻を離れて歩きはじめました。残された蛹殻を見ると長い刺毛があって、以前のブログでクサイチゴコナジラミ(Pealius rubi Takahashi,1936)ではないかとしたものと同じかも知れません。







体長はこの状態で約0.85mmです。

蛹の抜け殻は長さ約0.7mm。長い刺毛が見えます。

別の葉にいた成虫です。やはり羽化直後のようで、すでに翅は伸びていますが、まだワックスの白い粉に覆われていません。

(2020.11.05・明石公園)

2020年11月6日金曜日

ヤガの一種(?)の孵化

 シャリンバイの葉の裏で蛾の卵塊を見つけました。ヤガ科の一種ではないかと思います。大半の卵が黒っぽく変色していたので、寄生バチでも出てこないかと期待して持ち帰ったのですが、早くもその日の夜、孵化してきたのは本来の蛾の幼虫たちでした。

見つけたのはお昼前でした。

夕食後の8時過ぎに見に行くと早くも数匹、孵化していました。

さらにあちこちの卵から幼虫が顔を覗かせています。

小さいながらに大顎には鋭い歯。

頭が出ました。

こちらでも。

頭が出ると後は簡単です。

孵化した幼虫はまず卵殻を食べます。別に自分の出てきた殻でなくても良いようです。


夜10時過ぎには9割がたの卵が孵っていました。

(2020.10.27・明石公園にて採集)

2020年11月3日火曜日

コナラの葉裏の不明幼虫

 コナラの葉の裏にくっついていた幼虫です。ダニヒメテントウ属(Stethorus)かと思いましたが、以前見たものと比べるとかなり大型で、形も違います。他のテントウ類かも知れませんが、とりあえず甲虫類には間違いないでしょう。

この個体で体長約3.8mm。

体表には細かな毛が多数生えていて、毛の先には水滴のような粒々がついています。

頭を引っ込めたまま、じっとして動きません。

こちらは別個体。ヤノイスアブラムシ Neothoracaphis yanonis の無翅虫を食べようとしていたようですが…。

硬くて歯が立たないのか、あきらめたようです。

これは小型の個体で。体長約2.4mm。やはり全身に水滴状の粒を纏っていますが、外敵を防ぐ役にでも立つんでしょうか。

(2020.10.27・明石公園)

2020年11月2日月曜日

コマユバチ科の一種

 コナラの葉裏にいた小さなハチです。コマユバチ科 Braconidae の一種には間違いなさそうですが、亜科の見当はつきません。頭部と複眼が大きくてちょっと可愛らしい感じがします。触角が(片方切れていますが))体長より長く、腹部が小さいので♂かも知れません。





(220.10.27・明石公園)

2020年11月1日日曜日

シリジロメナガヒゲナガゾウムシ

腐朽の進んだ伐採木の木口に集まっていたシリジロメナガヒゲナガゾウムシ Phaulimia confinis です。枯れ木の上などで時々見かける種で、以前のブログにも出していますが、こんなに多数集まっているのは初めて見ました。

菌類を食べているんでしょうか。

体長は大きな個体で6mm、小さなもので4.5mmくらい。

これは小さめの個体ですが、白いお尻が見えます。

なんと言っても印象的なのはこの顔ですね。

(2020.10.27・明石公園)

2020年10月31日土曜日

シラカシムネアブラムシ

 アラカシの葉の裏に白い綿毛のようなものが付いて風にそよいでいました。シラカシムネアブラムシ Xenothoracaphis kashifoliae だと思います。

最初この葉を見ただけでは何者か分からなかったのですが…。

こちらのコロニーを見てムネアブラムシの仲間らしいと分かりました。

皿を伏せたような形で脚の見えない固着型のものと、アブラムシらしい形で長いワックスを伸ばしたもの、それに有翅虫もいます。

この固着型の個体は無翅型の成虫のようで、以前BABAさんが出産の様子を紹介されています。

大きなもので体長約1.4mm。

これらは有翅型の幼虫ではないかと思います。体長約1mm。



1匹ひっくり返っていました。

少数ですが有翅虫もいました。

体長約1.7mm、翅端まで約3.2mm。

このコロニーは葉の表に出来ています。必ずしも裏ではなく、陰になった側が適しているということかも知れません。

(2020.10.27・明石公園)