2022年3月28日月曜日

レンバディオン(Lembadion sp.)

 大口の繊毛虫、レンバディオン(Lembadion)の一種です。フロントニアに近い仲間ですが、口部域がほとんど細胞全長にわたって大きく開いていて、その縁からカーテンのように長い繊毛の列(膜板と呼ぶそうです)が伸びています。下の1~3枚目はくるくると回転しながら高速で泳いでいるのを追いかけながら撮ったものですが、4~5枚目ではほぼ動きが止まっています。そうなると弱ってしまうのか、5枚目では長い繊毛を周囲に撒き散らしているように見えます。






動画です。



(2022.03.11・明石公園の池にて採集)

2022年3月27日日曜日

トベラキジラミ

この辺りでトベラにつくキジラミと言えば和名(仮称)だけでまだ学名の無いマダラトベラキジラミ(Cacopsylla sp.)をよく見かけますが、これはちゃんと学名の付いたトベラキジラミ Cacopsylla tobirae だと思います。体色が薄くて前種のような暗色のまだら模様がなく、前翅後縁の黒紋もありません。たくさんの葉を裏返しましたが単独でいるのが数匹見つかっただけなので、成虫あるいは幼虫で冬を越した個体でしょう。

綺麗な緑色の♂です。翅端まで約3.3mm。

これは♀ですが、体色の違いは雌雄差でしょうか。翅端まで約3.5mm。

同じ個体です。

その顔面。

別の♀ですが大柄で、翅端まで3.8mmほどあります。

(2022.03.25・明石公園)

2022年3月26日土曜日

Pediobius atamiensis(ヒメコバチ科・深度合成)

久しぶりに Pediobius atamiensis を見かけたので採集してスタック撮影しました。このヒメコバチはBABAさんのブログに素晴らしい深度合成画像が度々掲載されていますが、確かに何度も挑戦したくなる精巧な美しさです。数年前までは冬場の葉裏探しでいくらでも見つかる気がしていましたが、このところめっきり少なくなってしまいました。








(2022.03.04・明石公園にて採集)


2022年3月25日金曜日

ヒシモンナガタマムシ

 ムクノキ樹皮下で越冬中のヒシモンナガタマムシ Agrilus discalis。小さくて地味ですが、ようく見るとやはりタマムシのはしくれだけあって渋い美しさがあります。この公園でも以前はいくらでもいるように思っていたのですが、他の多くの“普通種”同様見かけることが少なくなってきました。


横を歩いて行くのはアオモンツノカメムシ。




(2022.03.16・明石公園)

2022年3月24日木曜日

アニソネマの一種(オナガヒラタヒゲムシ,Anisonema sp.)

 2本の鞭毛を持った鞭毛虫、アニソネマ(Anisonema)の一種です。以前のブログに出したものよりやや大型ですが形はほとんど同じに見えます。2本の鞭毛のうち細くて短い方は常に前方に伸びて活発に運動していますが、太くて長い方は後方に引きずっていて(後曳鞭毛)能動的な動きは無いようです。

細胞前端は右側で、ピントが外れていますが後曳鞭毛が左上に伸びています。

大きな珪藻を飲み込んでいるようです。撮影中に反転したので上2枚は背面を、次の2枚は腹面(鞭毛が出ている方)を向けています。

後曳鞭毛も一度前方に向かった後、U字を描いて後方に伸びているように見えます。

頻繁に方向転換をするので後曳鞭毛が輪を描きます。

動画です。



(2022.03.11・明石公園の池にて採集)

2022年3月23日水曜日

イスノキエダイボフクロフシとヨシノミヤアブラムシ

 いつも見ているイスノキに、果実のような虫こぶができていました。以前のブログにも掲載したイスノキエダイボフクロフシだと思います。


直径約16mmで、前の記事より若い虫こぶだと思います。同じくらいの大きさのものがいくつもありましたが、一つ割ってみました。

中にはたくさんのアブラムシ。

葉を一枚ちぎって中身を空けました。ヨシノミヤアブラムシ Quadrartus yoshinomiyai だと思います。大きいものは体長2mmくらいで、これらが無翅成虫でしょう。有翅虫はまだいません。このヨシノミヤアブラムシは最近の研究で、産卵を終えた無翅成虫と1齢幼虫がそれぞれ「兵隊」として外敵からの防衛を担う、社会性アブラムシであることが判明したそうです(こちらこちら)。




(2022.03.16・明石公園)

2022年3月22日火曜日

フタモンホシカメムシ

南に面した石垣の上を、たくさんのフタモンホシカメムシ Pyrrhocoris sibiricus が歩き回っていました。石の間で冬を越したものが陽気に誘われて出てきたんでしょうか。長翅型に短翅型、それに幼虫も含めて数は多いのですが、足が速くてほとんど立ち止まらないのでピンボケの量産になりました。近縁のクロホシカメムシ P. sinuaticolli との区別が難しいのですが、基節窩の外面が黄白色というフタモンの特徴が最後の写真でどうにか確認できます。

これは長翅型。

これは短翅型。

ちょっと中途半端な翅ですが、これも長翅型でしょうか。

越冬明けのせいか、翅の先(膜質部)が擦り切れてしまってどちらとも分からない個体もたくさんいました。

これは幼虫。もっと若齢の個体もいましたがうまく撮れず。

短翅型ですが、“基節窩外面の黄白色”が辛うじて見えると思います。

(2022.03.16・明石公園)