2023年7月18日火曜日

コウガイビルの一種

 朽木の上をすべるように移動するコウガイビル。扇形に広がった頭部をわずかに浮かせて、木の表面にはほとんど触れることなくその凹凸に応じて自在に形を変えながら進んでいきます。何か非常に高感度のセンサーを備えているかのような滑らかで正確な動きは見ていて飽きません。不思議な生き物です。






(2023.06.24・明石公園)

2023年7月16日日曜日

オオクロトビカスミカメ

 イノコヅチの葉の上に小さなハムシがいると思ってカメラを向けると、黒いカスミカメムシでした。以前にも出したオオクロトビカスミカメ Ectometopterus micantulus です。たくさんいたのですが逃げ足が速く、葉に触るとすぐにぴょんと跳ねたり葉の裏にまわったり、それを猛暑の中しつこく追い回して撮りました。幼虫もいたので多分このイノコヅチで発生しているんでしょう。日本原色カメムシ図鑑には「暖地のカボチャ畑や海浜の草むらに多い」とありますが、前回の記事もイノコヅチの上で撮ったものでした。

成虫の体長は3mmたらず。黒くて丸っこくて光沢があるので、遠目には甲虫のように見えます。

1枚目に比べると触角が長いようですが、雌雄差でしょうか。

この人は葉縁から吸汁していたようです。

体のわりに太くて立派な口吻です。

すぐそばのナガイモの葉の上にもいました。

幼虫もいました。これは体長約1.5mm。ここから3枚は同一倍率です。

もっと大きな幼虫もいましたが、逃げ回るのでこんな姿しか撮れず。

左側にピンボケで写っているのが初齢くらいでしょうか。

(2023.07.16・明石公園)

2023年7月15日土曜日

ヒメツチカメムシ

 サクラの幹を上っていたヒメツチカメムシ Fromundus pygmaeus です。普通のツチカメムシ Macroscytus japonensis によく似ていますが体長は半分ほどの約4mmです。地表性のカメムシなので普段こんなところで目にすることはありませんが、このところ雨が多く、樹皮が湿っているせいでつい足をのばしたのかも知れません。




(2023.07.07・明石公園)

2023年7月14日金曜日

久しぶりのゾウリムシ

 実物を見たことがなくても名前くらいは誰でも知っている、ゾウリムシ(Paramecium)の一種です。この前出したのがいつだったかと調べてみると、すでに12年も経っていました(こちら)。どちらも同じ微分干渉・ストロボ撮影ですが、12年前とは機材も替わり、少しは要領もよくなっているので画質もいくらか改善されたと思います。
水田で採ってきたサンプルで、採集当日に見た時にはほとんど見かけなかったのが、室内に数日放置していた後で調べると大量に泳ぎ回っていました。


カバーガラスで適度に押さえつけられた状態で撮影していますが、本来の細胞形はほぼ棒状で、もっと細身に見えます。この写真を含めて以下4枚、細胞中心からカバーガラスに接するあたりまで、順にピントをずらして撮っています。




中央左寄りの大きな黒い楕円が大核、その右側から食い込んでいる丸くて小さいのが小核、下側左右に丸い穴のように見えるのが収縮胞、そして口部は上側です。

収縮胞は数秒おきに消長を繰り返し、その際にお馴染みのお日さま印が現れます。

細胞表面はこんな繊毛に覆われています。

動画です。


(2023.07.06)


2023年7月13日木曜日

ヤバネウラシマグモ♂

 薄暗い林の中で、モチノキの幹になにやらくっついているなと思ってルーペで眺めると、見慣れない細身のクモでした。歩脚を1本失っていて、少し弱っているのかレンズを近づけても逃げません。体長は約3.3mm、触肢が大きいので♂でしょう。一見黒っぽくて地味ですが、拡大すると頭胸部の鱗毛が金色銀色に輝いてなかなか綺麗なクモです。
手元の図鑑でウラシマグモの仲間と見当をつけ、ネット情報からヤバネウラシマグモ Phrurolithus pennatus に落ち着きました。本州・九州に分布する徘徊性のクモだそうです。





(2023.07.02・明石公園)

2023年7月11日火曜日

ミツオホシハナノミ

 ミツオホシハナノミ Hoshihananomia mitsuoi が来ている、という耳よりな情報をいただいたので早速見に行きました。現場はかなり衰弱したサクラの木で、幹は地衣類に覆われています。じっと見ていると、ブンという羽音とともに1匹飛んで来て、幹を歩きはじめました。さらにもう1匹。この大型のハナノミはまだフィルムカメラを使っていた時代に二、三度見たきりで、およそ20年ぶりの再会です。
このあたりで見かけるハナノミと言えばどれもこちらこちらのような小さな種ばかりで、このように体長1センチを超えるような大型種は貴重品です。幼虫はサクラで育つらしく、以前に見た時も立ち枯れのサクラで産卵していました。今回も、少なくとも1匹は♀だったようで、歩き回りながらしきりに産卵管を伸ばしていました。

ほとんど立ち止まることなく歩き回るので、追いかけるのが精一杯です。

長時間追いかけた末にようやく、数秒間立ち止まってくれました。ピンと跳ね上げた尾節板が素敵ですね。


これは産卵中らしく、尾節板も下げています。しばらくの間この姿勢でいたのですが、場所が悪くこの角度からしか撮れませんでした。二十数年前にはじめて見た時はもっと多数の個体が一本の木に集まっていましたが、そんな情景をまた見たいものです。

(2023.07.07・明石公園)

2023年7月10日月曜日

増えてきた外来ハゴロモ(Pochazia shantungensis)の幼虫

 去年までは公園内でも居場所が限られていた外来ハゴロモ Pochazia shantungensis ですが、この6月に入ってから園内いたるところで幼虫が見られるようになりました。
ネット情報によればチュウゴクアミガサハゴロモという和名がつけられたそうです。


同じフジの蔓についていた、どちらも終齢と思われる2匹ですが、背中を蔽うワックスの色がずいぶん異なります。何か理由があるんでしょうか。

(2023.06.24・明石公園)