2023年9月9日土曜日

ボクトウガの幼虫

 大量の樹液を流してハナムグリやスズメバチを集めているアベマキの樹皮の割れ目から、ボクトウガ Cossus jezoensis の幼虫が顔を出していました。

いかにも肉食らしい顔つきです。

顔を出していたのも束の間、せっせと大あごを働かせて樹液でペースト状になった木屑を周りに積み上げ、すぐに見えなくなってしまいました。

これは別の日、やはり樹液を流すコナラの幹で、キョウトアオハナムグリの足元を上ってくるのを見つけました。


よりよい場所を求めて引越しでしょうか。

樹皮の隙間にもぐり込んでいきます。

間もなく完全に姿を隠してしまいそうです。

(1~2枚目/2023.08.22、3~6枚目/08.27・明石公園)


2023年9月8日金曜日

クヌギシギゾウムシ

 アベマキのドングリにシギゾウムシのなかまがきていました。何度も場所を変えながら口吻を突き刺しています。殻斗に顔を埋めるように深く穿孔しているので、やがて産卵に移るのだろうと思って見守っていたのですが、ドングリの状態が気に入らないのか、それよりもこちらが邪魔をしたせいか、産卵を始めることなくやがて立ち去ってしまいました。いつものように保育社の甲虫図鑑を調べてみると、クヌギシギゾウムシ Curculio robustus のようです。クヌギとアベマキに実に産卵、とありました。





保育社の甲虫図鑑の検索表では、本種は「触角第2中間節は第1中間節より長い」。


(2023.09.01・明石公園)

2023年9月5日火曜日

シマケンモン

 ムクノキの幹にとまっていたシマケンモン Craniophora fasciata です。ただじっとしていただけで特に説明することもありませんが、幼虫はネズミモチやヒイラギなどのモクセイ科の樹木につくそうで、以前のブログにトウネズミモチにいたものを出していました。



左前翅の眼状紋のあたりです。

(2023.09.01・明石公園)

2023年9月4日月曜日

ミスジミバエ

 頭上に広がったクサギの葉の裏を見上げていると、歩き回るハエの影が見えました。歩き方や翅の動かし方でミバエの仲間と分かります。この場所でこの大きさのミバエといえばミスジミバエ Zeugodacus scutellatus しかありませんが、そっと枝を引き下ろしてみるとはたしてその通りでした。オスのようです
手元の図鑑を見ると北隆館・保育社ともに、幼虫はカラスウリの雄花の花筒内で育つ、とあります。すぐ近くにカラスウリの群落があったので、そこで発生しているのかも知れません。成虫越冬で、以前にはヤツデの枯葉の中で集団越冬しているのを見たことがあります。





きれいな複眼を正面から撮りたかったのですが、逃げられました。

(2023.08.27・明石公園)

2023年8月31日木曜日

ヨシブエナガキクイムシ(タイトル修正)

* 2023.09.29・タイトル修正 *

タイトルが「ヨシブエナガクチキムシ」になっていると、Aclerisさんからご指摘をいただきましたので、「ヨシブエナガキクイムシ」に修正しました。

前回の記事のヒメクチキムシダマシと同じアベマキの幹を歩いていたナガキクイムシの仲間です。ほとんど止まらないので背面の写真しか撮れませんでした。最近よく見かけるカシノナガキクイムシより細長い体型で、調べてみると以前にも出したヨシブエナガキクイムシ Platypus calamus のようです。前回は上翅先端の突起が目立つ♂でしたが、今回のは♀でしょう。体長は約3.7mmです。




3枚目から一部を拡大しました。前胸背板の後ろ寄りに細かな点刻が集まっていますが、これは胞子貯蔵器官です。この穴の中に菌類の胞子を入れて運び、穿孔した樹木の中で繁殖させ、それを食料とするそうです。ナガキクイムシ科に共通する特徴ですが、この穴の大きさや配列は種によって異なるそうで、以前撮影したカシノナガキクイムシにはもっと大きな穴が並んでいました。

(2023.08.22・明石公園)


2023年8月29日火曜日

ヒメクチキムシダマシ

 大量の樹液を流してたくさんのスズメバチやハナムグリを集めているアベマキで、そんな虫には目もくれず小さなケシキスイやキクイムシを追いかけていると、こんな小甲虫が見つかりました。大きな複眼や翅の模様には覚えがあって、たしか以前にも撮影しているはずだと思って調べてみるとこちらの記事が出てきました。クチキムシダマシ科のヒメクチキムシダマシ Elacatis ocularis。4年ぶりの再会ですが、前回はちょっとした山の上、今回はいつもの街なか公園です。図鑑には枯木性とあって、前回も倒木の上で見つけているので樹液目当てに来たわけではないのかも知れません。体長は約4mmで前回よりやや大型です。大あごをもぐもぐ動かしながらじっとしていましたが、撮影中にあたりを駆け回っていたハナムグリに蹴散らされて消えてしまいました。



触角が片方ありません。

(2023.08.22・明石公園)


2023年8月28日月曜日

産卵管を刺したまま死んだヒラアシキバチ

 先日掲載したヒラアシキバチの産卵を見たその3日後、同じ場所を訪れると産卵中のハチの姿はなく、かわりに産卵管を突き刺したまま死んだ遺骸が3つ残っていました。これらがすべて先日の3匹と同じ個体だという証拠はありませんが、おそらく同じでしょう。少なくとも3枚目の頭部のない遺骸は、足元の樹皮の状態から見て前回の記事の3枚目の個体と同じ場所に産卵管を刺しています。
このような光景は以前にも何度か見ていますが、他のキバチ類も含めて珍しいことではないようです。その理由については産卵後、力尽きてそのまま死んでしまうらしいというような説明もあって、確かに1・2枚目などを見ると捕食者に襲われたような形跡もありませんが、実際のところはよく分かっていないのではないかと思います。
まだ頭部の残っている2匹の遺骸にもすでに多数のハリブトシリアゲアリが集まっていましたが、虫仲間の話ではこの翌日には3匹とも、産卵管を含む腹部の皮だけしか残っていなかったそうです。




翌日には3つの遺骸すべて、このような状態になっていたそうです(これは3匹の産卵中にはすでにあったものです。)

(2023.08.25・明石公園)