2024年3月17日日曜日

ムツテンチャタテ属の一種?の幼虫

体じゅうに地衣のかけらや砂粒をくっつけたチャタテ幼虫です。多分ムツテンチャタテ属 Trichadenotecnum の一種だと思いますが、このように体にゴミを纏うのは他の属にも多いらしいので、別属かもしれません。モチノキの幹にいました。
ゴミをくっつけるのは外敵から身を隠すためだと思いますが、以前に一度、よく似た幼虫の脱皮を見たことがあります。古い皮と一緒にゴミも全部脱ぎ捨ててまた一から集めてくるのかと思えば、脱皮前にくっついていたゴミのうちかなりの割合が新しい体表にうまい具合に引き継がれるのを見て感心してしまいました。
ムツテンチャタテ属の成虫は、こちらこちらこちらに出しています。




持ち帰ってスタック撮影しました。倍率を変えながらたくさん撮ったので、あまり意味もありませんが全部出しておきます。


たくさんのゴミを身にまとった様子を撮りたかったのですが、持ち帰る間にかなり落ちてしまいました。


背面には先端が球(粘球?)になった毛が多数生えています。












口部のアップです。

こちらは腹端。

(2024.03.11・明石公園)


2024年3月14日木曜日

脱皮直後のクストガリキジラミ幼虫

 クスノキの葉裏で、脱皮したばかりのクストガリキジラミ Trioza camphorae の幼虫がいました。

周囲の、暗色に白いワックスを吹いた兄弟たちの中で黄色い体が目立ちます。

普段は自分で作った葉裏の窪みにぴったり収まっているのですが、脱皮のために這い出してきています。このあたりは以前に見たニッケイトガリキジラミでも同様でした。


しばらく見ていると、今度はじわじわと後ずさりをはじめました。

元の窪みに戻っていきます。

羽化直後は透明感があってきれいですが、やがて周囲の同族と同じ、虫とは思えぬ姿に変わってしまうんでしょう。
以前のブログには春に撮影した若齢幼虫も出しています。

(2024.03.11・明石公園)



2024年3月5日火曜日

カシトガリキジラミ・羽化の季節

 アラカシの葉の裏で、カシトガリキジラミ Trioza remota の羽化が始まっていました。暖冬だったおかげでやや早めのような気もしますが、もっと早いところでは2月のはじめに羽化しているのを見たこともあります。

終齢幼虫ですが、葉面から少し体を持ち上げています。普段はこちらのように葉面に窪みを作ってぴったり貼りついているので、これも羽化の準備のためだと思います。

普段は見えない脚が見え、また意外に厚みのある体つきをしていることが分かります。

触角も普段は隠れています。

以前にも同様のシーンを出していますが、ハモリダニに攻撃されているものもいました。

こちらでも。

どちらも獲物の体の下面を攻撃しているようで、やはりこの時期、羽化のために動き出して腹面を晒した時が狙われやすいのではないかと思います。

ちょうど羽化を始めた個体も見つけました。こちらのようなシーンをもう一度撮れると期待したのですが、風に葉が煽られたた拍子に落ちてしまい、続きが見られませんでした。

代わりに、これは別の木で見かけた羽化直後の成虫。

これも別の木で、すでに翅の伸びて吸汁を始めた成虫。口吻はピントが外れていますが、前足の付け根あたりに見える先の黒いのがそれです。本来の体色はまだ出ていません。この日はあちこちのアラカシでこんな色の成虫が見られました。

(2024.02.28・明石公園)


2024年3月3日日曜日

センダンコクロキジラミ

 久しぶりに見たセンダンコクロキジラミ Metapsylla uei です。エノキの幹をゆっくり上っていくところでした。その名の通りセンダンにつくキジラミですが、個体数は多くないようで、寄主植物上で見つけたのは一度きり(こちら)です。同じくセンダンを寄主とする同属のコクロキジラミ M. nigra の方はもっと普通ですが、やはりこちらのように寄主でもない樹木の幹などで見つかることが多く、センダンではほとんど見た記憶がありません。どちらの種もあまりキジラミらしくない姿をしています。




翅端まで約3mmです。


(2024.02.28・明石公園)


2024年3月1日金曜日

ウスイロチャタテ科 Ectopsocus sp.

 枝についたまま枯れたヤブニッケイの枯葉を1枚づつ捲っていると、このチャタテが何匹も出てきました。こちらと同じ、ウスイロチャタテ科の Ectopsocus 属の一種だと思います。ただし、翅脈の末端の斑紋がこちらの方はかなり薄いので別種かもしれません。


翅端まで約2.9mm、体長約1.6mmです。


腹部が貧弱なので♂だと思います。

顔つきは雌雄であまり変わりがないようです。

別の葉にいた個体ですが、これも♂のようです。

(2023.12.28・明石公園)


2024年2月28日水曜日

ズキンヨコバイ

 頭巾の名を持つヨコバイではヤノズキンヨコバイ Idiocerus yanonis を何度か掲載していますが、この本家(?)のズキンヨコバイ I. vitticollis は初めてだと思います。モチノキの幹にとまっていましたが、多分どこかの隙間か葉の裏で越冬していたのが季節外れの暖かさでウロウロしていたんでしょう。ヤナギ類に寄生するそうです。翅端まで約5.7mmです。





小楯板の紋様が印象的です。人面ヨコバイ、と呼ぶには少し足りませんが…。

(2024.02.13・明石公園)

2024年2月27日火曜日

クサカゲロウ類の幼虫(+深度合成)

 アラカシの葉の裏でじっとしていたクサカゲロウ類の幼虫です。背中にカムフラージュのゴミを背負っていない裸の姿ですが、スズキクサカゲロウの幼虫のようにそれが常態なのかどうかは分かりません。体長は大あごをのぞいて約6mmです。




体側に並ぶ突起とそこに生えた多数の長い毛は、やはり本来はゴミを背負うタイプなのではないかと思わせます。背負う習性のないスズキクサカゲロウの幼虫ではこれらがあまり発達していません。


捕えて帰って深度合成撮影をしました。

冷凍殺虫のせいで体が前後に縮んでしまいました。

これは腹面。

頭部の背面。千葉大学の日本産クサカゲロウ図鑑に掲載されている多数の頭部画像の中から斑紋が似ているものを探してみましたが、よく一致するものは見つかりませんでした。おそらくこういう特徴には個体変異が多いのだろうと思います。

頭部腹面。

頭部背面やや前方から。

前の画像の一部拡大です。
アミメカゲロウ目の幼虫では、大顎と小顎が合体して管を作り、これを獲物に突き刺して体液を吸う吸うという仕組みになっているそうです。


体側の突起。

(2024.02.13・明石公園)