昨年、虫仲間に教えられて多数のヒメアカホシテントウを見たモチノキですが、今度はその木にヨシブエナガクチキムシ Platypus calamus が集まっていると、やはり同じ方に教えていただきました。見に行くと、ひとかかえほどある幹の周囲のあちこちでこの虫が穴を掘っています。以前に♂と♀を一度ずつ掲載したことはありますが、このようにたくさんの個体が集まって穿孔しているところを見るのは初めてです。
薄暗い場所なので撮影時には気づかなかったのですが、あちこちで穴を掘ったり歩き回ったりしていたのはほとんどが♂で、♀は2匹しか写っていませんでした。♂では上翅端が釘抜きのような形になっていることで見分けられます。数日後に再度確認した時も、多数の♂に対して♀は1匹だけでした。
ヨシブエナガクチキムシやカシノナガキクイムシは養菌性キクイムシと呼ばれ、食料となる菌類の胞子を生まれた巣から新しい巣へと自ら運び、坑道内で繁殖させてそれを食べるという生活をしています。重要な樹木害虫なのでネットを検索すると多数の資料が見られますが、こちらの資料から今回撮影した状況に関連する部分を拾い読みすると、まず♂成虫が繁殖に適した木に飛来して深く穿孔し、♀成虫がやってくると一度巣外に出て交尾、次に♀が先に、続いて♂が孔道に進入、♀は♂の掘った孔道をさらに伸長させ、運んできた菌類の胞子を植え付けてから産卵、孵化した幼虫が成虫になるまで♀成虫は巣の内部に、♂成虫は入り口近くにいて幼虫の出した木屑や排泄物を排出したり外敵の侵入を阻止したりという役目を果たすと、大略このようなことが書いてありました。♂ばかりがたくさん、穴掘りに勤しんでいた理由もこれで説明できそうです。
2024年4月30日火曜日
モチノキの幹に穿孔するヨシブエナガクチキムシ
2024年4月27日土曜日
2024年4月26日金曜日
トホシクビボソハムシ
いつもの虫撮り仲間に場所を教えてもらってトホシクビボソハムシ Lema decempunctata を撮影に行ってきました。現場は住宅地の道端で、ガードレールにそって生えたクコの幼木です。ざっと探すと何組かのペアも含めて10匹程度はいたようですが、写真のひと組以外は撮る前にさっさと逃げてしまいました。以前に海岸の石の下で越冬しているのを見つけたことはありますが(2010年、2016年)、活動中のものを見たのはおそらく今回が初めてだと思います。
2024年4月25日木曜日
アカメガシワの新葉に乗るクロヒラタヨコバイ幼虫
アカメガシワの新葉の上のクロヒラタヨコバイ Penthimia nitida 幼虫です。珍しくもない最普通種ですが、赤い星状毛の密生した葉の上がお花畑のように見えませんか?
2024年4月24日水曜日
ツヤヒメハナカメムシ
昨日の記事のスイバトビハムシを追いかけていた際に、同じギシギシの葉の上で小さなハナカメムシを見つけました。こちらとよく似ていて、同じヒメハナカメムシ属 Orius だと思います。ただし前回とは体色が違うので別種でしょう。特に頭部の先端が黄色ですが、同属でよく似た4種のうちこの特徴が当てはまるのはツヤヒメハナカメムシ Orius nagaii だけのようです。他の特徴にも矛盾は無いので、おそらくこの種で間違いないでしょう。花を訪れていたらしく、全身花粉まみれでした。体長は約2.3mmです。
2024年4月22日月曜日
スイバトビハムシ
ギシギシの葉で交尾していたスイバトビハムシ Mantura clavareaui のペアです。同じくギシギシの葉につくコガタルリハムシやギシギシクチブトサルゾウムシとともにこの日はたくさん見かけたのですが、よく晴れてかなり気温が上がっていたせいか逃げ足が速く、どうにか撮れたのはこのペアだけでした。今が活動の最盛期のように見えますが、以前対岸の淡路島の海岸で、真冬にもかかわらず元気に動き回っているのを見たことがあります。体長3mm足らずの小さなハムシです。