2025年5月2日金曜日

コナラの葉裏で繭を紡ぐ不明幼虫

 昨日の記事に続き三木山森林公園で見たガの幼虫です。
コナラの葉に黒っぽい影が見えるので裏がえしてみるとみると、繭を紡ぎはじめたばかりと思われる毛虫でした。ずいぶんずんぐりとした体形で、体長は1cmほどですが、これは蛹化に備えて平常時よりかなり前後に縮んだ状態なのではないかと思います。この体が長く伸びたところを想像しながら手持ちの図鑑やネット上の画像を探しましたが、今のところ一致するものが見つかりません。そのうちどこからか助け船が現れることを期待して、不明幼虫として出しておきます。



体のわりには小さな頭部です。

(2025.04.27・三木山森林公園)

2025年5月1日木曜日

ヒメヤママユの中齢幼虫

 先月に続いて、三木山森林公園での観察会に参加してきました。
このきれいな毛虫はネジキの葉裏についていたのですが、初めて見るものなのでなんだろうと思っていると同行の方が即座に「ヒメヤママユ(Caligula japonica)の幼虫です」と教えてくれました。成虫にもお目にかかったことはありませんが幼虫も初めてです。帰宅後調べてみるとかなり広食性の蛾のようなので、ネジキについていても不思議はないでしょう。これは2齢か3齢で、終齢ではほぼ緑一色になるようです。フラッシュの調子が悪くて何度も撮り直しをしている間に枝の方へ移動してしまいました。体長は約22mmです。




毛虫の毛や棘は色や形の面白いものが多く、ついアップで撮りたくなります。触ってみる気にはなりませんが。

(2025.04.27・三木山森林公園)

2025年4月30日水曜日

クヌギトゲマダラアブラムシとツヤコバチの一種

 コナラのひこばえの、まだ柔らかい新葉を裏返してみると、白いアブラムシがたくさんついていました。他の葉を探すと黄色い有翅成虫も見つかり、背面に並んだ突起などの特徴から、クヌギトゲマダラアブラムシ Tuberculatus capitatus のようです。しばらく撮影していると、幼虫の周りを小さな黄色いハチが歩き回っているのに気がつきました。ツヤコバチの一種で、アブラムシに寄生する仲間でしょう。しきりに産卵の機会を狙っているように見えましたが、カメラで追い回したせいか産卵には至らず、やがて見失ってしまいました。アブラムシに寄生する黄色いツヤコバチは以前のブログでも2度出しています。こちらこちらですが、前者によく似ているようで、あるいは同種かも知れません。

小さな幼虫は白っぽく半透明の体です。1齢から2齢くらいでしょうか。

体長約0.8-1.0mmくらいです。

体長2mmほどの大型の有翅幼虫もいました。

有翅成虫もちらほら見られました。体長約2.6mm、翅端まで3.8mmです。

幼虫を狙っているツヤコバチ。体長約1mm、翅端まで約1.3mm。


広い葉の上を歩いては何匹もの幼虫を物色していましたが、期待した産卵場面は見せてくれませんでした。

(2025.04.25・明石公園)





2025年4月27日日曜日

ニッケイトガリキジラミ・羽化の季節

 アラカシのカシトガリキジラミにひと月ばかり遅れて、ヤブニッケイのニッケイトガリキジラミ Trioza vinnamomi が羽化の最盛期をむかえていました。カシトガリの場合は葉裏に寄生した幼虫が終齢まで成長しても葉の表側にはほとんど変化がなく、裏がえしてみないと存在がわかりませんが、こちらの方は寄生された葉には表面にいぼ状の突起、ニッケイハミャクイボフシという虫こぶが生じ、さらに幼虫の成長につれて葉の全体が丸まってくるので一目でわかります(こちらの記事)。この日はあちこちのヤブニッケイで羽化直後の成虫が多数見られましたが、残念ながらちょうど羽化の最中というのは見つかりませんでした。
羽化した成虫は間もなくヤブニッケイの新葉に産卵し、葉の表面には小さな虫こぶができはじめます(こちら)。


画面中央上寄りに羽化前の終齢幼虫(ピンぼけですが)が見えます。また下半分に4つほど見えている白い円盤はヤブニッケイシロカイガラムシの♀成虫だと思います。



ここに出していないものも含めて、この日撮った写真を調べるとなぜか♀ばかりでした。

(2025.04.22・明石公園)

2025年4月24日木曜日

マスダアラカシタマバチ(両性世代)の産卵

 このブログではたびたび登場している、マスダアラカシタマバチ Plagiotrochus masudai です。この日、公園内のあちこちでアラカシの新梢に産卵する姿が見られました。これは両性世代の♀で、単性世代の♀(その名の通り♀しか存在しませんが)とは体色が別種のように異なります。両性世代なので♂が存在するわけですが、数は少ないようで、2年前の記事と合わせてこれまでに2度しか見たことがありません。興味深い生活史を持つタマバチですが、それについては過去の記事にいろいろ書いているのでここでは省略します。







(2025.04.22・明石公園)

2025年4月20日日曜日

クロコノマチョウ・越冬明け

 越冬明けのクロコノマチョウ Melanitis phedima です。薄暗い木の下から飛び出してきて、ちょど日の当たる場所にとまってくれたのは好都合でしたが、2、3枚撮ったところで間が悪く人が通りかかり逃げていきました。翅の色が明るいので♀かとも思いますが、翅がだいぶ傷んでいるせいもあって今一つはっきりしません。秋に撮った♂はこちらに出しています。幼虫はこちらのようになかなか魅力的な姿をしていますが、この近辺ではまだ見たことがありません。


(2025.04.17・明石公園)

2025年4月19日土曜日

ジェーンアシワガガンボ?

 いつもの公園で多数のガガンボが発生している、という情報をいただいたので、早速見に行ってきました。場所は幹が地上付近で数本に分かれたエノキで、その幹の間に出来た窪みに溜まったわずかな水の中から羽化してきているらしいのです。最初に出かけた日は強い西風が吹いていてあまり期待していなかったのですが、幹の周りで♀2匹♂3匹が見つかりました。♂は風にも負けずときどき飛び回っています。また小さな水たまりには一見何かの糞のような黒っぽい抜け殻がいくつも残されていました。さらにその二日後に見に行くと、交尾中のペアひと組の他に2、3匹の♂が、やはり落ち着きなく幹の周りを飛び回っていました。羽化した成虫が何日間もその場に留まっているとは思えませんし、今回情報をくれた方の話からも、どうやらしばらくの間は連日羽化が続いていたようです。
さてこのガガンボの種名ですが、ネット上でジェーンアシワガガンボ Tipulodina joana として多数の画像が見られるものによく似ています。中でも「廊下のむし探検」のこちらの記事では同種の特徴が詳しく調べられていました。ただこの Tipulodina 属にはもう一種、T. nipponica(ニッポンアシワガガンボ)という種が存在して、両種を区別する特徴については上記の記事にもほとんど説明がありません。そこでさらに探してみると、「YAHOO!知恵袋」という質問サイトにこちらのような記事がありました。孫引きになりますが、東海大学出版の「日本産水生昆虫」によるとT. joanaは「後脛節基部近くに幅の広い白色帯を有し、ふ節は広く黒色」、T. nipponicaは「後脛節は基部近くに幅の狭い白色帯(3mm)、ふ節は第1ふ小節と第5ふ小節の一部を除き白色」ということです。その説明をもとにあらためて画像を調べてみると、今回のガガンボはやはりジェーンアシワガガンボでよさそうだという結論に達しました。ただしふ節については、♂ではほぼ黒色ですが♀では各脚に白、あるいは淡色の部分があり、少し疑問も残るので、タイトルには“?”をつけておきます。

これは最初の日にいた♂。脚が細くてやたらと長いので、老眼ではファインダーを覗きながらちゃんと画面に収めるだけでも結構苦労します。

同じ♂です。体長約19mm。こうして見ると、長い脚でもそれなりにバランスが取れているようです。

同じ♂の翅です。

こちらが♀。

おそらく羽化直後でまだ体色が整っていないようです。体長は約29mm。

同じ♀の顔です。

発生源はここ。

2度目に訪ねた時にいた交尾中のペア。はじめは水たまりの周りを飛び回っていました。落ち葉の上に黒い脱皮殻が見えます。

ようやく幹にとまってくれました。


脱皮殻を拾いあげました。長さは30-34mmくらいです。

(2025.04.15/17・明石公園)