2025年5月29日木曜日

シモツケマルハバチの幼虫

 ハチに詳しいFさんから、ハバチの幼虫がいろいろ出てきてるよ、と何箇所かポイントを教えていただきました。これはそのうちの一つ、シモツケマルハバチ Apareophora japonica の幼虫です。名前通りシモツケの葉についていました。透明感のある緑色の体で、背中には真っ白の小さな粒々を並べたきれいなイモムシです。白い粒はワックスの塊のように見えますが、拡大して見るとその中から短い棘が突き出しています。この時は葉を食べていたようですが、咲いている時期には花も盛んに食べるそうで、同じことならその時の方が写真映えしたかも知れません。この日撮影したものはどれも体長17mm前後で、ほぼ終齢のようです。





顔は撮れませんでした。


真綿の塊から針が突き出したような棘です。

半透明の皮膚の下に、気門から延びる気管が見えます。

(2025.05.27・明石公園)



2025年5月24日土曜日

ヒメカゲロウ科の幼虫

 クストガリキジラミに寄生されて黒く変色したクスノキの葉を見つけたので、羽化するところでも見られないかと何枚か裏がえしてみましたが、もうその時期は終わったようで、脱皮殻しか残っていません。かわりにヒメカゲロウ類と思われる幼虫が見つかりました。からだに白いワックスをくっつけているところを見ると、やはりキジラミの幼虫や羽化成虫を狙っていたんでしょうか。見たところ、周りにはもう餌になりそうな生きた虫は残っていないようでした。

体長は約5mm。


(20253.05.01・明石公園)

2025年5月22日木曜日

ヒメコブハムシの交尾と産卵

 去年初めて見たヒメコブハムシ Chlamisus diminutus が今年も同じ場所のイタドリに来ていました。実は 昨日の記事のオオズアリもこのハムシを探しているときに見かけたものです。前回は見つけられなかった交尾シーンもようやく撮ることができ、また産卵中の♀もいました。この場所のイタドリは、夏が終わる頃には他の雑草とともにきれいに刈り払われていたので今年も来るかどうか心配していましたが、無事に帰ってきたようです。同属のムシクソハムシは成虫で越冬するそうですが、この種も同じなんでしょう。ただ最近まで食草も不明だったようですから、まだ確認されていないのかも知れません。

交尾スタイルは同属のムシクソハムシとほとんど同じですが、♂は脚も触角もすべてたたんで、♀と繋がった交尾器だけで支えられています。




♀が歩きはじめると♂もくっついたままついていきます。

1匹のメスが卵に糞の上塗りをしている最中だったのですが、撮ろうとすると離れてしまいました。こちらを警戒して中断してしまったのかも知れませんが、仕事はほぼ終わっているようです。茎の表面が広く齧られているのが見えますが、去年の観察でも成虫幼虫ともに葉よりも茎の表皮を食料としているように見えました。

糞ケースの色は、メスが食べた茎の赤い表皮の色そのままです。
孵化後、幼虫はこの糞ケースの一端から顔を出して摂食をはじめ、こちらのように成長につれて自分の糞を付け足してケースを大きくしていきます。

(2025.05.13・明石公園)


2025年5月21日水曜日

イタドリの花外蜜腺とオオズアリ

 イタドリの茎の、葉柄の付け根のすぐ下のあたりにアリがしきりに口をつけているのでルーペで覗くと、こんな場所に花外蜜腺があるようです。お恥ずかしいことに、イタドリの茎に花外蜜腺があることは初めて知りました。アリは、アカメガシワの花外蜜腺にもよく来ているオオズアリ Pheidole nodus のワーカーです。周囲を見ると、あちこちの蜜腺に1匹づつ来ていました。滑らかな卵型の頭部と長い脚を持った美しいアリですが、何匹もいた個体はどれもいつも見ているものよりだいぶ体色が薄く、内臓や気管が透けて見えます。気になるので念のため図鑑やネット情報を改めて調べてみましたが、別種という可能性はなさそうです。











(2025.05.13・明石公園)

2025年5月20日火曜日

アラカシの葉巻の中のムラサキシジミ幼虫

 先のマガリケムシヒキの産卵を見たのと同じ日に、やはり同じFさんがアラカシの新葉が細長く巻かれているのに気づいて拡げてみると、中にはムラサキシジミ Narathura japonica の幼虫が潜んでいました。葉巻の中に身を隠したまま食事をしているようです。周囲には同じような葉巻がいくつもぶら下がっていて、さらに何匹かの幼虫が見つかり、その分泌物を求めてアリも来ていました。また巻かれて垂れ下がった葉は、葉柄近くの主脈に嚙み切られたような傷があります。ある種のオトシブミ類と同様に、葉を萎びさせて柔らかくするためでしょう。だいぶ食べられてすでに空き家になった葉巻もありました。おそらくこの公園の中でも毎年どこかで見られる光景なのでしょうが、教えてもらわなければいつまでも気づかずに終わったかも知れません。日ごろ虫が少なくなったと嘆いていても、注意してさえいればまだまだ新たな発見があるようです。

巻かれたというより、葉が萎びて自然に丸まったようにも見えます。

葉巻の中にいた幼虫。

アリも来ていました。これはシリアゲアリ類のようです。

主脈を噛み切った後がよく見えます。中の幼虫の影も。

この葉巻はすでに用済みのようで、空き家になっています。

(2025.05.08・明石公園)


2025年5月19日月曜日

キバラルリクビボソハムシ 卵・孵化幼虫・成虫

 食痕が目立つツユクサがあったので、以前から撮影したいと思っていたキバラルリクビボソハムシ Lema concinnipennis の幼虫を期待して適当に葉を裏がえしていくと、何枚かの葉裏にハムシのものらしき黄色い卵が産み付けられていました。周りを探すと成虫も数匹見つかったので、卵もこのハムシのもので間違いなさそうです。まだ幼虫の姿はありませんが、一端に眼点のような斑点の現れているものもあって、孵化が近いと思われました。
数日後に訪れると、いくつかの卵塊は孵化していて小さな幼虫が摂食を始めています。まだ生まれたばかりと思われますが、すでに少量ながら自分の糞を背中に乗せているものもいました。また孵化直前と思われる卵では、卵殻を通して孵化直前の幼虫の姿がはっきり見えています。周囲ではまだ何組かの成虫が交尾していたので、産卵はまだしばらく続くのでしょう。まだ実物を見たことがありませんが、幼虫の成長につれて背中の荷物も大きくなっていくようです。少し日を置いてまた見に来なければなりません。

卵は数個から十数個をかためて産み付けられていました。1個の長さは約1mm。

こちらの卵では一端に赤い点がいくつか見えて、やや進んだ発生段階だと思いますが、なぜかどれも少し凹んでいます。

5日後。いくつかの卵塊はすでに孵化していました。

孵化幼虫の体長は約1.2~1.5mm。

葉の表側の表皮を残して食べています。

孵化間近の卵。

大あごの形が見えます。

交尾中の雌雄。和名の由来の、黄色い腹部が見えます。

両方の顔面にピントを合わせたいのですが、なかなかうまく行きません。

別のペアです。

(2025.05.08/13・明石公園)


2025年5月18日日曜日

オオヒメグモに捕らえられたウロコアシナガグモ

 初夏のこの時期、広葉樹の葉の裏で、こちらのようにウロコアシナガグモの母グモが卵嚢や孵化したばかりの子グモのそばに留まっているのはよく見る光景ですが、その間はやはり捕食者に狙われやすくなるんでしょうか。この♀はアラカシの葉裏でオオヒメグモに捕まっていました。卵はまだ孵化していないように見えますが、卵嚢から出た幼虫も母グモがそばにいないと生存率に違いが出てくるかもしれません。




(2025.05.08・明石公園)