2019年11月27日水曜日

ハオリワムシ(Euchlanis sp.)の孵化

公園の池で採ってきたサヤミドロに、何かの卵が付着していました。

いくつかの卵では孵化が近いらしく、中身がごそごそと動いています。最初水生昆虫の卵かと思ったのですが、その動きを見るとどうやらワムシのようです。今にも出てきそうだったので、夜遅くまで粘っていくつかの卵の孵化を見ることが出来ました。

その一つ。動画からの切り出しです。






随分長い時間待たされましたが、卵殻が割れるとあっという間に出てしまいました。
元の動画も出しておきます。


次は、先に別の卵から出てきてその辺を泳ぎ回っていた個体。


ハオリワムシの一種(Euchlanis sp.)だと思いますが、以前に出したもの(2017/12/06,2019/01/05)とは別種のようです。

(2019.10.10・明石公園 桜堀にて採集)

2019年11月23日土曜日

ミノウスバ

近所の公園などで目にする虫の数が年を追うごとに減ってきていると感じる昨今ですが、今年も例年通り、いつもの公園のマサキにたくさんのミノウスバが集まっていました。

あちこちの枝で産卵中の♀たち、それに♂もたくさん来ています。

産み付けられた卵は、雌の腹部の毛で覆われていきます。

動きがとても遅いので、見ていてもどうやって毛の覆いが出来ていくのかよく分かりませんが、おそらく♀が産卵しながら前進するのに伴って、長い毛が卵に付着して抜けていくのではないかと思います。♀は産卵後、卵塊を守るようにその場に留まったままやがて死んでしまいますが、こちらのように年が明けてもまだ生きている♀を見たこともあります。

櫛状の触角をもった♂たちが産卵中の♀をめぐって大騒ぎしています。



少し離れた場所で静かに交尾中。

ミノウスバの成虫は口器が退化していて、食事は出来ないそうです。これは♂。

これも♂です。

ミノウスバ Pryeria sinica はちょっと変わった生活サイクルを持った蛾で、例年10月下旬から11月初めにかけて羽化し、マサキやニシキギに産卵、冬を越した卵はまだ寒さの残る3月初め頃には孵化してきます(こちら)。そして5月中旬までには蛹化を完了し、長い夏を蛹のまま休眠して過ごすということです。

(2019.11.13・明石公園)


2019年11月21日木曜日

トゲアリ女王

コナラの幹を歩いていたトゲアリ Polyrhachis lamellidens の女王です。
トゲアリは女王が単身でクロオオアリやムネアカオオアリの巣に侵入してそれを乗っ取ることが知られています。この公園ではトゲアリの巣はまだ見たことがありませんが、今回と同じように歩きまわる女王は以前にも撮影しています。


追いかけていると、突然立ち止まってこんな姿勢をとりました。

しばらくの間この姿勢でじっとしていましたが、間もなくまた歩き始め、そのまま手の届かないところへ行ってしまいそうだったのでフィルムケースに採集しました。メタリックに輝くこのアリを、一度じっくり深度合成で撮影してみたかったのです。

で、自宅に持ち帰り冷凍殺虫。体を丸めて縮こまってしまいましたが、これをきれいに展足して整える技術もないのでそのまま撮影しています。





深度合成処理には以前からずっとフリーソフトのCombine ZM、ZPのお世話になっていたのですが、脚や触角の重なり合った部分の処理を上手くこなせない場合が多いので、このたび思い切って評判の高い Zerene Stacker を導入しました。それでもすべておまかせと言うわけにはいかず、レタッチ作業も大変ですが、ゴミ取りなど標本の扱いや撮影・照明も含めて、これからぼちぼち練習しようと思っています。

(2019.11.13・明石公園)

2019年11月20日水曜日

ヒゲナガヤチバエ

公園内の小川べりを歩いていると、足元の草むらからたくさんこのハエが飛び出してきました。ヤチバエ科のヒゲナガヤチバエ Sepedon sauteri です。
いくらでも出て来るのですが、どれも動きが活発でなかなか近寄れず、アップは撮れませんでした。

必ず頭を下に向けて草にとまります。


体長約14mm。顔面写真はこちらにあります。

(2019.11.13・明石公園)

2019年11月19日火曜日

ニホンヒメグモ

根元から数本に分かれたエノキの幹の間に、クモの巣に引っ掛かった枯れ葉が1枚。

もちろん、ニホンヒメグモ Parasteatoda japonica の巣ですね。

横から覗き込むと、いました。

獲物はワラジムシとイダテンチャタテ。

♀のようですが、卵嚢や子グモは見えません。

真下から。
このクモの♀が卵嚢や孵化したばかりの子グモを守っている様子はこちらに出しています。

(2019.11.13・明石公園)

2019年11月18日月曜日

コガネグモ科幼体

アラカシの幹に小さな網を張っていた小さなクモです。


体長は約3mmです。コガタコガネグモではないかと思いますが、参考にできる幼体の画像がほとんどないので確かではありません。




脚の爪は縦糸に掛かっています。

(2019.11.13・明石公園)

2019年11月16日土曜日

シロカネイソウロウグモ

ジョロウグモの網の上にいたシロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadea です。
体長は約3mmで、♀の生体のようです。体長2mm以下の幼体は冬場に木の葉の裏でよく見ていたのですが、実際に他種の網の上にいる生体を撮影したのはこれが初めてです。多分数が少ないわけではなく、気付かなかっただけなんでしょう。
それにしても、網の上の小さなクモを撮るのは難しいですね。






(2019.11.13・明石公園)