2020年9月12日土曜日

シバンムシ科の一種(Gastrallus sp.)

盛夏の頃、公園のサクラなどの葉を見上げて歩くとよく見つかる小甲虫です。
以前のブログで掲載したもの(2011.07.11,2014.08.17)と同種と思われますが、今回は採集して深度合成撮影をしました。保育社の甲虫図鑑第3巻の検索表を辿ればやはり Gastrallus 属に当てはまるようです。種名が挙げられている3種の中ではツツガタシバンムシ Gastrallus affinis かヒメツツガタシバンムシ G. dimidiatus なのですが、未記載種も多いようなのでここでは Gastrallus sp. としておきます。





(2020.08.06・明石公園にて採集)

2020年9月11日金曜日

カラヒゲムシの一種(Trachelomonas sp.)

 球形の殻を持ったカラヒゲムシ(トラケロモナス属)の一種です。いつもの「淡水微生物図鑑」には10種余りが掲載されていますが、その中でこのように滑らかな球形の殻を持っているのは Trachelomonas volvocina という種だけです。野外で最も頻繁に遭遇する種、とされているので可能性は高いと思いますが、他によく似た種が無いとも限らないのでタイトルはカラヒゲムシの一種としておきました。
シャーレの中で光に集まってくるのを実体顕微鏡で眺めると微小な粒々が盛んに動きまわるのが見えますが、バーガラスの下の狭い空間に閉じ込めると段々と不活発になり、やがて動きを止めてしまいます。
カラヒゲムシはミドリムシの仲間で、種によってさまざまな形の殻(ロリカ)を持っていますが中の細胞は基本的にはミドリムシと同じなんだそうです。





動画です。


動画などの撮影後、しばらく放置している間に水分が蒸発して押しつぶされてしまいました。硬い殻を持っていることが分かります。

内部の細胞にピントを合わせています。

(2020.07.28・明石公園・桜堀にて採集)


2020年9月10日木曜日

神は細部に宿る!?「美しき小さな虫たちの図鑑」

注文していたBABAさんの「美しき小さな虫たちの図鑑」が届きました。中身は期待通り。われわれのごく身近にいながらほとんど見過ごされている小さな虫たち、その驚異的な精巧さ、美しさ。その魅力を伝えるのにこの著者ほど適した人はいないでしょう。特にこの本の中心をなす精緻な深度合成画像は他の追随を許さない見事なもので、その細部の描写には驚く他ありません。そして巧みな構成に黒を基調にした美しいデザイン、写真に添えられた説明も簡潔・的確で、大変丁寧に編集が進められたことが察せられます。
一昔前に比べると図鑑等、虫の写真を載せた出版物は格段に増えましたが、このように身近にいる小さな虫たちやその形態の魅力に焦点を当てたものは皆無だったのではないでしょうか。この本によってその魅力の虜になる人が少なからず出て来るのではないかと、今から楽しみにしています。そして今年ブログ10年目を迎えられた著者の、今後のより一層のご活躍を!


2020年9月9日水曜日

コカゲロウ科の一種

公園の案内板の支柱にとまっていた、コカゲロウ科 Baetidae の一種の♂です。以前のブログに掲載したものと撮影場所も同じなので、多分同種でしょう。体長約6mm、尾の先まで18mmくらいです。




単眼がガラス玉のようです。


(2020.09.01・明石公園)

2020年9月8日火曜日

ヤマトシリアゲ♂

ヤマトシリアゲ Panorpa japonica の♂です。久しぶりにユニークな顔面のアップでも撮りたかったのですが、暑さで集中力もなく、不用意な動きをして逃げられてしまいました。体色が黄色っぽい、昔ベッコウシリアゲ P. klugi の名で別種とされていたタイプですね。


(2020.08.27・学が丘北公園)

2020年9月7日月曜日

ヒメカゲロウ科またはクサカゲロウ科の不明幼虫

エノキワタアブラムシに寄生されたエノキの葉裏にいたヒメカゲロウ又はクサカゲロウの仲間の幼虫です。同じ場所に3匹ばかりいましたがいずれも体長は5mmで、以前のブログでヒメカゲロウ科の幼虫?として掲載したものと同種かも知れません。ただその時は木の幹を歩きながら常に頭部を高速で振動させていましたが、そのような動作は今回は見られませんでした。
あらためてネット上の画像を探してみましたがやはり似たものが見つからず、荷物を背負っていないのでヒメカゲロウ科かとも思いますが、クサカゲロウ科の幼虫でもそのような種がいるので判断がつきません。撮影中に1匹がアブラムシにかぶりつきました。







(2020.09.01・明石公園)


2020年9月6日日曜日

分裂するスティロニキア(Stylonychia sp.)

分裂しつつあるスティロニキア(Stylonychia)の一種がいました。見つけた時にはすでに最終段階だったようで、撮影を始めてから7~8分で分裂が完了しました。
スティロニキアは背腹に扁平な形の繊毛虫ですが、腹側に繊毛が束になった剛毛が多数並んでいて、ちょっと多足類の脚のように見えます。この分裂中の細胞はちょうど腹側を上に向けカバーガラスの下面に接して動いていたので、その剛毛の動きをよく見ることが出来ました。




お別れの瞬間は次の動画で。


次は分裂後の片割れです。

人間の足形のような、スティロニキアらしい形になってきました。


剛毛の先にピントの合った部分では、それが多数の繊毛の集まりであることがなんとなく分かると思います。

(2020.07.28・明石公園・桜堀にて採集)