2021年5月26日水曜日

ゾウミジンコの筏

 いつもプランクトンを採集している池でときどき、特に春と秋に多いようですが、ゾウミジンコ(Bosmina sp.)が大量に発生することがあります。そんな時に採ってきた水をシャーレに入れてしばらく置いておくと、多数のゾウミジンコたちが水面に浮かび、お互いにくっつき合って筏のような状態になることがあります。平べったい体を寝かせるような姿勢で浮かんでいて、䚡脚をせっせと動かしているのを見ると水中の酸素が足りなくなっているのかも知れません。あるいは水温の上昇が原因でしょうか。シカクミジンコの仲間(Alona sp.)が仲間入りしていることもありますが、普通のミジンコ(Daphnia)がこんなふうに浮かんでいるのは見たことがありません。水をかき混ぜてやると水中に戻って泳ぎ始めますが、しばらく放置するとまた元のように浮かんでいます。自然状態でもこんな行動を見せることがあるのかどうか興味がありますが、何しろ小さいものなので見つけるのは難しそうです。





動画です。


(2021.05.11・明石公園 桜堀にて採集)


2021年5月25日火曜日

外来?カスミカメ幼虫(?Campyloneura virgula)

ネジキの葉に、初めて見るきれいなカメムシ幼虫がいました。カスミカメ類のようですが成虫の姿が想像できません。とりあえずカスミカメ・幼虫で検索してみると、フッカーSさんの「東京23区内の虫」で同種らしい画像が見つかりました。そこでは成虫も掲載されていて、海外からの移入種と推測されています。その言葉通り Campyloneura virgula で検索すると海外サイトで多数の画像が出てきました。ここではフッカーSさんに倣って疑問符付きで種名を出しておきます。体長は約2.2mmです。





(2021.05.14・舞子墓園)

2021年5月24日月曜日

ニッケイトガリキジラミ1齢幼虫

ヤブニッケイの新葉に、お馴染みの虫こぶができはじめていました。

ニッケイハミャクイボフシ。ニッケイトガリキジラミ Trioza vinnamomi の幼虫の寄生によって生じる虫こぶです。

1枚裏返してみると、葉脈に沿って1齢らしき小さな幼虫がたくさん陣取っています。

体長は約0.3mm。右の幼虫の周囲ではすでに葉面が陥没しはじめています。

こちらでは赤く変色しています。

まだ落ち着き場所が決まらないのかウロウロと歩き回っている奴もいます。

あちらこちらに卵の抜け殻も残っていました。

(2021.05.14・舞子墓園)

2021年5月23日日曜日

ミニ水槽のボルボックス(Volvox sp.)

何度も出しているボルボックスですが、今回は顕微鏡は使わず、奥行き3mmほどの実に水槽に入れたものを水平方向から、ベローズとマクロレンズで撮影しました。照明も違うので、同じような拡大率でもプレパラートに封入して顕微鏡で撮ったものとはかなり違った感じに写っています。


(2021.05.11・明石公園 桜堀にて採集)

2021年5月22日土曜日

Trichromothrips elegans(アザミウマ科/深度合成)

 今年もこの綺麗なアザミウマ Trichromothrips elegans Masumoto & Okajima が大量に発生していました。アオキに寄生するということで、写真の個体もアオキで採集したのですが、他の様々な樹種でも多数の個体が見つかり、それほど移動能力があるとも思えないのでちょっと不思議な気がします。このアザミウマは以前のブログで種名を教えてくださった時鳥庵 庵主さんが皇居吹上御苑の生物調査の際に発見された種で、その経緯は「皇居 吹上御苑の生き物」(世界文化社)に紹介されています。またそのブログ「時鳥庵晴耕雨読」には美しいプレパラート標本の画像が掲載されています。







(2021.05.15・明石公園にて採集)

2021年5月21日金曜日

ミドリムシの一種 Euglena mutabilis

 この細長いミドリムシは Euglena mutabilis という種だと思います。池で採集したサンプルを実体顕微鏡で眺めていると、シャーレの底でのたくっているのが沢山見つかりました。動きは緩慢で、水中に浮かび上がって泳ぐということもしないようです。鞭毛はあるのか無いのか、注意して見ていましたが確認できませんでした。








動画です。


(2021.05.07・明石公園 藤見池にて採集)

2021年5月20日木曜日

ツツジトゲムネサルゾウムシ

 モチツチジの花で久しぶりにツツジトゲムネサルゾウムシ Mecysmoderes fulvus を見かけました。口吻で花弁に穴を開けているのですが、かなり臆病な虫でアップで撮ろうと植物に手を触れると逃げ回ってなかなか自然な姿を撮ることができません。それにしても、ベタベタの粘液に捕まって沢山の虫が命を落としているモチツツジの上を、この小さなゾウムシが自由に歩け回れるのは全く不思議です。







(2021.05.14・舞子墓園)