2022年1月29日土曜日

イクビホソアトキリゴミムシ

 これはイクビホソアトキリゴミムシ Dromius quadricollis だと思います。ムクノキの樹皮下にいました。保育社の甲虫図鑑で挙げられている、前頭複眼近くの縦じわ、前胸背板の上反部、その側縁中央部と後角近くの剛毛、第3間室翅端の孔点などが写真からも確認できます。樹上性のゴミムシのようです。





前胸背板側縁中央部と後角近くの剛毛が見えます。兵庫県のアトキリゴミムシ類 (2)(「きべりはむし」36)によればこの特徴は同属のキタホソアトキリゴミムシとフトヒゲホソアトキリゴミムシにも見られるということですが、県内では両種とも比較的稀だそうです。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月28日金曜日

アラカシで出産するイスノフシアブラムシ

 アラカシのひこばえで、しばらく見かけなかったイスノスシアブラムシ Nipponaphis distyliicola のコロニーを見つけました。

しかしよく見ると、多くの無翅成虫は死んだり寄生バチの脱出口が開いていたり、また脱落した後も多く元気そうな個体は多くありません。

それでも探すと出産中のものがいました。真冬に出産とは意外な気がしますが、以前には12月末3月初めにも見ているので珍しいことではないようです。



小さな体には不釣り合いに太くて長い口吻が見えます。お尻の先の白い塊は卵殻の名残でしょう。

2枚目から30分ほどかかって無事着地しました。
イスノフシアブラムシは春に有翅虫が現れてイスノキに移住しますが、それとは別に一部の系統は周年アラカシで繁殖を続けるそうです。春にアラカシで見た幼虫たちはこちら、また有翅虫と思われるものはこちらに出しています。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月27日木曜日

フロントニアの収縮胞と放射状水管

何度も登場しているフロントニア(Frontonia,クチサケミズケムシ)の一種です。

自分の体長ほどもあるミカヅキモを二つも飲み込んでいます。赤くて丸いのはナベカムリの仲間でしょうか。

背側には一つの収縮胞 contractile vacuole とその周囲に伸びる放射状水管 radial canal が見えます。教科書に載っているゾウリムシの図で二つのヒマワリの花のように描かれているのと同じものですが、フロントニアでは一つだけです。

放射状水管はゾウリムシの図では花芯を取り巻く花弁のように見える部分ですが、フロントニアでは細長くタコの脚のように細長くのたくって伸びています。

収縮胞は閉じるときにいくつかに分裂するように見えます。

放射状水管を含む収縮胞系は細胞内から余分な水を回収して排出し、細胞内の浸透圧を調整する機能を担っているそうです。しかしそんなことを知らなくても、見ていてとても面白い構造であることには間違いありません。

これは腹側で、裂け目のような細胞口が見えます。

動画も撮りましたが、さかんに動きまわるので残念ながら収縮胞や水管の消長はよく分かりません。代わりに、飲み込んだミカヅキモを排出するところが見られます。


(2022.01.13・明石公園 桜堀にて採集)

2022年1月26日水曜日

オナガグモ ♀ 褐色型

 久しぶりに見たオナガグモ Ariamnes cylindrogaster。以前のブログには何度か登場しましたが、“2”では初めてです。

緑色のもいますが、これは褐色型です。モチノキの葉の裏にぶら下がっていました。体長約17mm、伸ばした脚の先まで約27mmです。

よく見ないと顔がどこにあるのか分かりません。

葉を揺らして刺激するとクモの形になりました。触肢が小さいので♀ですね。緑色型の♂はこちらに出しています。クモを専門に捕食するクモとして知られていますが、食事の場面はまだ見たことがありません。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月25日火曜日

ミドリワムシ属の一種(Ascomorpha sp.)

 以前のブログに同じタイトルで出したものと同種かも知れません。足や趾がなく、体内の大きな部分が不透明で、全体の形を把握しづらいワムシという印象があります。「日本淡水動物プランクトン検索図説」によれば、ミドリワムシ属 Ascomorpha を含むハラアシワムシ科 Gastropodidae は「胃が大きく四方へ突き出た盲嚢を備え、体腔の空間を占める。胃全体が緑、橙黄、褐色等の色彩をもつ」とのことです。





動画です。


(2022.1.13・明石公園 桜堀にて採集)

2022年1月24日月曜日

クロバネフユシャク・シロオビフユシャク・ウスバフユシャク(改題)

 * 2022.1.29・タイトル・記事訂正 *

当初画像1・2枚目をシロオビフユシャクとしていたのですが、「明石の蛾達」のYAMKENさんから1枚目はクロバネフユシャクだろうとのご指摘をいただいたので、タイトルと記事を訂正しました。シロオビとの判別点は前翅外横線が前縁付近で曲がる角度が鈍角であること、またその部分の白色がより目立つこと、前翅前縁の線がわずかに内側に凹むこと、シロオビに比べてやや小型であること等々だそうです。

公園のトイレの外壁にとまっていたフユシャクの♂2種3種です。
♂がいるからには♀もいるはずですが、この日も一匹も見つかりませんでした。

これはシロオビフユシャク Alsophila japonensis クロバネフユシャク Alsophila foedata。前翅長約17mm。

これはシロオビフユシャク Alsophila japonensis 。やや大きく、前翅長約20mmです。

こちらはウスバフユシャク Inurois fletcheri。前翅長約17mmです。

(2022.01.22・明石公園)

2022年1月23日日曜日

クロスジホソサジヨコバイ ♀♂(深度合成)

強い北風で虫撮りをあきらめ、散歩がてらに行った近所の公園で採ってきたクロスジホソサジヨコバイ Sophonia orientaris です。目についたのを2匹採ってきたのがちょうど♀と♂でした。

まず産卵管を持った♀です。





次が♂。頭部に付着した汚れがどうしても取れませんでした。




こうして並べてみると、以前にフッカーSさんが確認された通り背面の色模様で雌雄を判別するのは無理なようです。また今回撮影した2匹では♂の方がかなり小型ですが、一般的な傾向ではなく個体差ではないかと思います。

(2022.01.18・垂水区松が丘公園にて採集)