2023年5月12日金曜日

モミジニタイケアブラムシ越夏型幼虫

 イロハカエデの葉で、モミジニタイケアブラムシ Periphyllus californiensisの 越夏型幼虫をはじめて見ました。
以前そらさんのブログでこの奇妙な形の幼虫を知り、一度見たいと思っていたものです。
成虫や通常型の幼虫もいるはずだと思い周囲の葉も探しましたが、この越夏型がまばらについているだけでした。すでに姿を消してしまったんでしょうか。
ネット上ではこのモミジニタイケアブラムシという種名で多数の記事や画像が見られますが、アブラムシ入門図鑑によるとカエデ類につくニタイケアブラムシ属は3種あり、成体での区別は難しいそうです。下の個体もひょっとしたら別種かも知れません。


体長は約0.7mm、ほぼ無色で半透明、薄っぺらな姿はアブラムシというよりこちらのようなトガリキジラミ類の若齢幼虫に似ています。

別個体。薄い体の縁を取り巻いているのは葉状毛と呼ぶそうです。

2番目の個体を透過光で。葉の裏からストロボを発光させました。

(2023.05.02・舞子墓園)

2023年5月11日木曜日

マルタマキノコムシ科の一種(Agathidium sp.)

 体長3mmばかりの、丸っこくて黒光りする小甲虫です。昨日、一昨日の記事と同じ時、同じモチノキの幹をゆっくり歩いていました。
保育社の甲虫図鑑で調べてみるとタマキノコムシ科には間違いなさそうです。さらに同科の属の検索表を辿ってみると、珍しく多くの特徴が写真で確認できました。脛節背面に縦隆がある、触角節は顕著に内方に突出しない、上翅に点刻列がない、触角の球桿が5節、などの特徴から Agathidium(マルタマキノコムシ属)と考えられます。図鑑にはさらに亜属への検索表もありますが、こちらはかなり微妙な形態の差を取り上げているので、写真からは判断できませんでした。
Agathidiumで検索すると、主に海外サイトのよく似た画像が多数出てきました。下の写真と同じように前胸背板の縁が赤いものも多いようです。






(2023.04.28・明石公園)


2023年5月10日水曜日

Scymnomorphus属の一種(テントウムシ科・ツヤテントウムシ亜科)(改題)

* 2024.11.03・タイトル変更 *

当初科の見当もつかず「所属不明の微小甲虫」として 出していたのですが、K.さんより、ムクゲチビテントウなどの属する Scymnomorphus 属の一種だろうとのコメントをいただきました。テントウムシ科で、手元の甲虫図鑑にも2種ばかり掲載されているのですが、この仲間とは気づきませんでした。K.さんに感謝して、タイトルを修正しました。

昨日の記事のハレヤヒメテントウを追いかけている時に、こんな小さいのを見つけました。


長い毛の生えた体長1mmちょっとの甲虫ですがですが、位置が悪く顔も見えません。せめて科レベルくらいまでは調べたいと思い、1匹採集しました。

持ち帰ってスタック撮影。長い毛が規則正しく並んでいます。

ガラス板の上に転がしただけで撮影しているので、腹面像はかなり傾いています。冷凍殺虫してそのままの状態で、せめて隠れた触角を引っぱり出せればいいのですが、このサイズの標本をどう扱ってよいものか分からず、そのまま撮りました。
ともかくもこの写真をもとに甲虫図鑑やネット情報を色々調べてみたのですが、科の見当もつきません。そのうち何か分かることもあるかと期待して、所属不明で出しておきます。

(2023.04.28・明石公園)

2023年5月9日火曜日

ハレヤヒメテントウ

 モチノキの幹にハレヤヒメテントウ Pseudoscymnus hareja がたくさんいる、と聞いて見に行きました。

薄暗い林の中でしたが、探せば何匹も幹の周りをうろついていました。体長2mmほどの小さなテントウムシです。交尾中のペアもいました。



邪魔が入ったと思ったのか、離れてしまいました。

(2023.04.28・明石公園)


2023年5月8日月曜日

ヨダンハエトリ♀

 土留めの丸太の上を歩いていたヨダンハエトリ Marpissa pulla の♀です。
はるかに派手な色合いの♂の方が有名ですが、まだ撮影する機会がありません。
体長約6mmです。






(2023.04.28・明石公園)

2023年5月6日土曜日

ムシクソハムシの交尾

 ムシクソハムシ Chlamisus spilotus の交尾風景は以前から見たいと思っていたものの一つですが、この日虫仲間のYさんが見つけてくれたおかげでようやく撮影することが出来ました。

アベマキの葉で交尾していたのですが、交尾中の♂の背中に余計なもう1匹がくっついています。すきあらば割り込もうという♂でしょうか。

少し角度を変えて撮りたかったのですが、その前に歩きはじめたのであきらめました。
この公園にはよく似たツツジコブハムシ C. laticollis もいて、両種の区別は腹面を見なければ難しいのですが、アベマキについていたことからムシクソハムシと判断しました。

(2023.04.28・明石公園)


2023年5月5日金曜日

はじめての蛍光撮影

 最近オークションで手に入れた顕微鏡に落射蛍光装置がついていました。
それが目当てで買ったのではなく、特に蛍光観察に興味があったわけでもないのですが、折角ついているものだから使わない手はありません。予備知識もほとんどありませんが、ネットであれこれ調べてみると蛍光試薬を使わなくても、植物細胞などの自家蛍光の観察だけでも結構楽しめそうなので、試してみることにしました。
装置にはまだ寿命のありそうな水銀ランプと大きな電源も含まれていましたが、水銀ランプは取り扱いが面倒そうです。もともと本格的な蛍光観察に挑戦するつもりもないので、さっさとLEDに交換することにしました。

4個の蛍光キューブのうち1個はフィルターが剥離していましたが、残りの3個は使えそうです。で、それぞれの励起波長に対応する単色LEDをネット通販で取り寄せ、細長いヒートシンクに並べて取り付けました。すべて3Wで、それぞれUV、B、G励起用です。

水銀ランプを取り外したランプハウスにセットしたところです。使用するLEDをヒートシンクを上下にスライドさせて光路に入れ、スイッチで切り替えられるようにしました。ひとまずこれで使えそうです。

手はじめに冷蔵庫からレタスの葉をひと切れ失敬してきて、剥がした表皮を覗いてみました。その昔、親に買ってもらった顕微鏡ではじめて見たものの一つがツユクサの葉の気孔だったことを思い出します。これは対物25XでUV励起。

同じく対物25XでB励起。孔辺細胞の葉緑体が点々と赤く光っています。それにしても、こういう画像のホワイトバランスはどう設定すればいいんでしょうか。視野が全体に赤っぽくなるのでとりあえずタングステンに設定しましたが、前のUV励起の画像はそれではほぼ青一色になるので、スライダーをかなり動かしています。

これもB励起で、対物100X。予想はしていましたが、照明の暗いのには難儀します。部屋の明かりを消してピント合わせもPCのモニタが頼りですが、露出時間は長くなり、接眼レンズからの逆入光の影響も出るので、双眼部に覆いを被せて撮影しました。

アオミドロも撮ってみました。対物40x、B励起で、14枚の深度合成です。

同じくアオミドロですが、輪郭を出すために弱く暗視野光を入れてみました。対物25X、B励起、18枚の深度合成です。

アオコの一種、ミクロキスティス。対物40X、G励起です。

同じく、UV励起。

対物25X、B励起で、ボルボックスの娘細胞です。娘細胞は小刻みに動いていることが多いのですが、これは動きのないものを探して撮影しました。
新しいおもちゃはまだ分からないことばかりですが、いろいろ勉強して楽しく遊べるようなりたいと思います。