2024年4月16日火曜日

シマトビケラ科の一種

 河川敷を歩いていると、多数のトビケラが飛び交っていました。ときどきあたりの雑草や灌木の枝、さらにはこちらの体にまでとまるのですが、ほとんどがカメラを向ける間もなくすぐにまた飛び立ってしまい、どうにか撮影できたのが下の2匹だけでした。
翅の斑紋などの特徴はコガタシマトビケラ Cheumatopsyche brevilineata によく似ていますが、この仲間は成虫での同定は難しいようなので、シマトビケラ科 Hydropsychidae の一種としておきます。

アキニレの枝にとまった個体です。翅端まで約9.5mm。手前の枝が邪魔をしてこれ以上近づけませんでした。

この人はギシギシの葉の裏でじっとしていました。大きさは1匹目とほぼ同じ。

小さなマルトビムシと睨めっこ?。


トビケラ目は毛翅目。系統的にはチョウ・ガの鱗翅目と近縁だそうです。

おもむろに動き出したと思うと、葉面を舐めるような動作をはじめました。

大あごは退化しているので、葉面のわずかな栄養分でも吸収しているんでしょうか。

(2024.04.12・神戸市西区伊川)


2024年4月14日日曜日

交尾中のムシクソハムシ

 タイトルはムシクソハムシ Chlamisus spilotus としましたが、この公園には同属の酷似種であるツツジコブハムシ C. laticollis もいるので、そちらの方かもしれません。ヤエムグラの茎で交尾していたのですが、近くにアベマキがあるのでムシクソの可能性が高いと考えただけで、腹面の特徴を確認しないと確かなことは分かりません。
この虫の交尾は昨年の春に初めて見たのですが、今回もその時と同じ虫仲間が見つけたのを撮らせてもらいました。前回は余計な♂が1匹まとわりついて三つどもえの状態でしたが、今回は人間以外に邪魔は入りませんでした。




(2024.04.10・明石公園)


2024年4月13日土曜日

芝生の上で群飛していたウスチャコガネ

 いつもの公園を虫仲間3人で歩いていると、大きなユリノキの周りを囲む環状の芝生の上を、多数の黒っぽい虫が飛び回っているのが見えました。膝より下くらいの高さを、形がよく見分けられないくらいの速さで飛んでいて、ざっと数十匹はいたようです。この時期なのでハバチの仲間が頭に浮かびましたが、地面に降りたのを見ればウスチャコガネ Phyllopertha diversa でした。飛び回りながらときどき10匹前後の個体が地上に降りて絡まりあった団子状になりますが、どうやら1匹の♀に群がる♂たちのようです。その騒ぎの最中に、♀らしき個体が地面に潜っていくのも見えて、おそらく地中に産卵するためだろうと思われますが、写真に収めるには動きが速すぎました。
初めて見る光景でしたが、調べてみるとウスチャコガネは芝草の重要害虫で、春にはこのような群飛がよく見られるということです。その生態についてはこんな資料も見つかりました。やはり群飛の際に交尾した♀は地中に産卵するそうです。

地面で群れる♂たち。この中に♀がいるんでしょう。


写真ではあまり状況が分かりませんが・・・。

地中に潜り込む♀(?)

一休みする♂。

どの♂も触角を目いっぱい拡げていました。



(2024.04.10・明石公園)

2024年4月11日木曜日

トラフシジミ

 虫仲間数人といつもの公園を散策していて見つけたトラフシジミ Rapala arata です。見覚えはあるのですが名前は思い出せず、虫仲間に教えてもらいました。長年こんなブログをやっていてもチョウやトンボには普段からどうもあまり関心がわかず、目の前にいれば一応は撮るという程度で、どこにでもいるような普通種でも図鑑を見なければ名前も分からないというのもいつものことです。この場所で見ることは少ないということなので、皆さんと同じように撮らせてもらいました。一応過去の記事を調べてみると、14年前のちょうどこの時期に、当時の仕事場の近くで撮ったものを出していました。


(2024.04.10・明石公園)


2024年4月6日土曜日

ヤナギハムシ

 虫撮り仲間が、河川敷のヤナギにヤナギハムシ Chrysomela vigintipunctata が来ているというので現場に案内してもらいました。手元の図鑑などでは普通種とされてますが、このあたりの平地ではこれまで見たことのない種です。ハムシが来ているヤナギはまだ幹の細い若い木とすぐ近くのさらに小さな幼木で、新葉が開き始めた枝のところどころに、多くは雌雄のペアでとまっていました。多くの同類のように枝に触れただけでポロリと落ちるということがないのはいいのですが、枝は細くて揺れるし足場も悪いしで、あまり満足なカットは撮れませんでした。



以上3組のペアですが、上翅の黒紋にそれぞれ微妙な違いがあります。

(2024.04.02・神戸市西区伊川)

2024年4月5日金曜日

サワグルミミツアブラムシ

 河川敷に生えたサワグルミの新葉に、きれいな緑色のアブラムシが群がっていました。
この木でアブラムシを撮影したのは多分はじめてだと思いますが、外見はアベマキなどでよく見かけるクヌギミツアブラムシ Kurisakia querciphila によく似ています。調べてみればやはり、同属のサワグルミミツアブラムシ K. onigurumiでした。種小名が onigurumi となっているようにサワグルミをはじめオニグルミ、ノグルミなどのクルミ類につく種だそうです。


日光に照らされた葉を下から見上げると、緑色の体が透けて高い隠蔽効果があるようです。

少数ですが有翅虫も見られました。


中央の大きな無翅成虫の体長が約2.6mm。その右は有翅幼虫です。

無翅成虫と有翅幼虫。体長はどちらも約2.4mm。

出産中の無翅成虫、体長約2.3mm。

有翅虫。翅端まで約3.7mm。

この有翅虫は脱皮直後でまだ体色が出ていません。

若齢幼虫たち。体長約0.7から1mm。

(2024.04.05・神戸市西区伊川)

2024年3月29日金曜日

カシトガリキジラミ幼虫に寄生していたトビコバチ

 カシトガリキジラミについてはつい先日も羽化の様子を掲載したばかりですが、羽化を控えた幼虫を探していると時々、何者かに寄生されてマミー化し、茶色く変色したものが見つかります。

アラカシの葉の裏ですが、上の茶色いのが寄生されたもの、下は正常な幼虫です。

同じ枝でいくつもマミー化されているのは、多分同じ1匹の寄生者によるものでしょう。

裏返してみましたが、状況がよくわかりません。

近くにあったマミーを3個ほど持ち帰って寄生者の羽化を待っていると、約2週間後にそれぞれから1匹づつ、小さなハチが出てきました。


出てきたのはトビコバチ科の一種でした。触角から見るとこの個体は♀でしょう。実は以前に2度ばかり、それぞれ別種のヒメコバチがカシトガリキジラミ幼虫に産卵する現場を見ていたので(こちらこちら)、今回も出てくるのはヒメコバチ科だろうと予想していたのですが、外れました。あるいは2次寄生かもしれません。

同じ個体。横にとび出しているのは長大な中脚です。

胸部背面の拡大です。小楯板に小さな穴が二つ、非対称な位置に見えますが、なんでしょうか。

これも同じ♀。

同じく、頭部。

3個のマミーのうち、2個からは♂が出てきました。

これはもう1匹の♂です。跳ね上げた中脚をうまく戻せないのでそのまま撮りました。

同じ個体の顔面です。

以下、3個の抜け殻です。



3匹とも、寄主の後部に穴をあけて出ています。以前に見た、サツマキジラミ幼虫から出てきたヒメコバチは寄主の頭部寄りから出てきていましたが、多分、マミーの中で蛹化する際の頭の向きが種によって決まっているのかも知れません。

(2024.03.14・明石公園/4枚目以降は03.27の撮影)